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審決分類 |
審判 査定不服 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1400538 |
総通号数 | 20 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-12-26 |
確定日 | 2023-07-04 |
意匠に係る物品 | 包装用袋 |
事件の表示 | 意願2021− 21547「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)10月4日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 4年(2022年) 3月14日付け 拒絶理由の通知 同年 4月25日 意見書の提出 同年 9月16日付け 拒絶査定 同年 12月26日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「包装用袋」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 著者の氏名: Amazon.co.jp 表題: Spa beaute(当審注:語尾の「e」はアクサンテギュ「´」付き) スパボーテ 50g×3包 中性 重炭酸 スキンケア 入浴料 バスクリン 掲載箇所: アマゾンジャパン株式会社が運営する通信販売サイトのAmazon.co.jp(アマゾン シーオー ジェーピー) 媒体のタイプ: online 掲載年月日: 令和 3年(2021年) 9月 5日 検索日: 令和 4年(2022年) 3月11日 情報の情報源: インターネット 情報のアドレスURL:https://www.amazon.co.jp/dp/B09H6T2BV8 に掲載された「包装用袋」の意匠 第4 当審の判断 以下において、両意匠が類似するか否かについて及び、引用意匠の公知性について検討し、判断する。 1 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、共に「包装用袋」であるから、両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 (共通点1)外形状 両意匠は、正面視略縦長角丸長方形のシート状で、底面にまちを配し、正面上寄りの左右端に小さなノッチを形成し、真ん中の上端近くに円孔を形成している点、 (共通点2)模様 (ア)線模様及び文字模様 (正面) 正面において、両意匠は、ノッチのやや下側で全体の約1/3弱のエリアにおいて、大きさの異なる複数の線模様及び文字模様からなる模様群を形成したものであって、具体的には、中央上寄りに略横長帯状の太線模様を左右に余地を残して形成し、その上下に近接して複数行の横文字模様を配したものであって、上側の文字模様は、左に揃えて2行配置し、下側の文字模様は、中央右寄りに形成した縦長の細線模様を挟んで左に7行と右に6行配置している点、 線模様及び文字模様の大きさについて、上側の文字模様のうち、上の文字模様を、下の文字模様の約1/4の縦幅とし、太線模様の縦幅は、模様群全体の縦幅の約1/25とし、上から2行目の文字模様の縦幅は、模様群全体の縦幅の約1/4である点、 (背面) 背面において、両意匠は、ノッチのやや下側で全体の約1/2強のエリアにおいて、大きさの異なる複数の文字模様からなる模様群を形成したものであって、具体的には、文字模様は左右に余地を残して、左に揃えて19行配置している点、 上から2行目の文字模様の縦幅は模様群全体の縦幅の約1/6とし、当該文字模様の下側に配された4行からなる文字模様は、模様群全体の縦幅の約1/5とし、上記の、4行からなる文字模様下側に配された、13行からなる文字模様は、模様群全体の縦幅の約1/2である点、 (イ)泡模様 両意匠は、正面の大きさの異なる複数の線模様及び文字模様からなる模様群より下側全体に、大きさの異なる略楕円形の泡模様を多数形成している点において、共通する。 イ 相違点 (相違点)色彩 両意匠は、正面のノッチから下方に配した、2行の文字模様及び、その下方に配した、略横長帯状の太線模様の色彩が、出願意匠は白色で構成しているのに対し、引用意匠は黒色に構成している点において、相違している。 2 両意匠の類否判断 意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 共通点1は、両意匠の形状全体に関わる共通点であり、看者の目につきやすい大きな範囲を占める部分であるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 共通点2は、正面及び背面における線模様及び文字模様並びに泡模様に関するものであり、両意匠の正面及び背面模様の全体に関わる共通点であり、看者の目につきやすい大きな範囲を占める部分であるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 イ 相違点の評価 線模様及び文字模様の色彩については、単なる色彩の違いであるから、両意匠を別異のものとする程の大きな相違であるとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいのに対して、相違点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいから、両意匠の形状等は類似する。 (3)小括 以上のとおり、意匠に係る物品が同一で、その形状等において類似するから、両意匠は類似する。 3 引用意匠の公知性について 請求人が主張している、公知日の認定について、引用意匠が本願意匠の出願前に公知であったとみなすことができるか否かについて検討する。 請求書における請求人の主張内容の要旨 原審において、審査官が引用意匠の公知日とした令和3年9月5日は、「将来の販売に先立ち、販売サイトの立ち上げを予約し、かつ商品情報の書誌情報の一部または全部を登録した日」であり、実際に商品の画像を含むすべての商品情報が開示されたのは令和3年10月5日である。 (2)請求人が令和4年12月27日に提出した手続補足書の要旨 請求人が甲第1号証及び甲第2号証として提出した資料(以下「提出資料」という。)のうち、甲第1号証は、請求人の販売企画部販売戦略課の担当者が、当該販売サイトが公開され、予約受付が開始されたことを令和3年10月5日にメール配信した内容の写しであることが表されている。また、甲第2号証は、当該販売サイトを運営するアマゾンジャパン合同会社の担当者から請求人の担当者に、当該販売サイトに関する公開等の経緯を報告したメールの写しとなっていることが示されている。 これらを踏まえ、以下検討する。 (3)引用意匠は、令和3年9月5日において、本願意匠の出願前に公知であったとみなすことができるか 当該販売サイトにおいて、原審においては、取り扱い開始日を公知日として判断しているが、当該日をもって、引用意匠が現実に公然知られているとの確証はなく、その余の具体的な公開事実に関する証拠が提示されているものでもないため、引用意匠が令和3年9月5日において公然知られた意匠となったとは、直ちに認めることはできない。 したがって、引用意匠の公知日としては、原審において、審査官が引用意匠の公知日とした令和3年9月5日ではなく、請求人の主張する2021年10月5日と判断するのが適当であることから、引用意匠は本願意匠の出願前に公知ではなかったとみなすのが妥当である。 第5 むすび 以上のとおりであって、両意匠は類似するものと判断できるものの、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-06-22 |
出願番号 | 2021021547 |
審決分類 |
D
1
8・
-
WY
(F4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
成田 陽一 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-08-04 |
登録番号 | 1750809 |
代理人 | 三井 直人 |
代理人 | 鈴木 一永 |
代理人 | 涌井 謙一 |
代理人 | 山本 典弘 |
代理人 | 工藤 貴宏 |