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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1400542 
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-13 
確定日 2023-07-25 
意匠に係る物品 ヘアードライヤー 
事件の表示 意願2021− 27726「ヘアードライヤー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年(2021年)12月17日(パリ条約による優先権主張2021年6月18日 中華人民共和国)の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 8月 1日付け :拒絶理由の通知
同年 9月15日 :意見書の提出
同年 11月14日付け :拒絶査定
令和5年(2023年) 2月13日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「ヘアードライヤー」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
中華人民共和国意匠公報 2019年 3月19日
ドライヤー(公開番号CN305072974S)の本願意匠相当部分の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH31001288号)

以下、本審決では、本願の意匠登録を受けようとする部分を、「本願部分」、引用意匠のうち本願の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分を、「引用部分」という。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「ヘアードライヤー」であるのに対し、引用意匠は、「ドライヤー」であるが、いずれも髪を乾かすために用いられるヘアードライヤーと認められる。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれもヘアードライヤーの本体及びハンドルの筐体部であり、ヘアードライヤーの機構をカバーするためのものであるから、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は、一致する。

3 両部分の形状等の対比
両部分の形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。

(共通点1)全体の基本構成について、略太径円柱状の本体部と略細径円柱状のハンドル部から構成され、側面視において本体部中央からやや後方よりの位置にハンドル部が略T字状に接合する点
(共通点2)本体部について、直径と前後長の比が、約6:7である点
(共通点3)ハンドル部について、直径と上下長の比が、約1:4である点
(共通点4)ハンドル下端縁部について、R面取りが施された点
(共通点5)ハンドル底面部について、ハンドル部外径と同心円状の円形状区画部を有する点

(相違点1)本体前後端縁部について、本願部分は、前後端部ともに小径のR面取りが施されるのに対し、引用部分は、前端縁部において極大径のR面取りが施され、後端縁部において面取りが施されない点
(相違点2)本体後端部について、本願部分は、凹陥する内周斜状面が急斜面を形成するのに対し、引用部分は、緩斜面を形成する点
(相違点3)ハンドル底面部について、本願部分は、ハンドル部外径の約2/3の径の円形凹部及び当該凹部の径よりやや小径の円形凹部が段状に設けられているのに対し、引用部分は、円形状区画部が凹状か否か判別できない点

第5 判断
1 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致すると認められるから同一である。

2 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するから、同一である。

3 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、髪を乾かすために用いられる「ヘアードライヤー」であり、当該物品分野の需要者は、主に、使用者、製造業者、販売業者及び取引業者が含まれる。そして、需要者が注意して観察する具体的な外形状等が、需要者の注意を引く部分であるとの前提に基づいて、両部分の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について、以下評価することとする。

(1)共通点の評価
(共通点1)について、ヘアードライヤーの分野において、本体部及びハンドル部を円柱状に構成し、これらを側面視略T字状に接合することは、よく見られる構成態様であるから、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点2)及び(共通点3)について、この種物品分野において、本体部及びハンドル部を様々なサイズで形成することは、ごく普通に見られるものであるから、格別新規な特徴とはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点4)について、この種物品分野において、各縁部にR面取りを施すことが一般的であることから、格別新規な特徴とはいえず、さらに当該箇所は、通常使用時においてさほど目につかない部位であり、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点5)について、ハンドル底面部は、通常使用時においてさほど目につかない部位であり、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

(2)相違点の評価
(相違点1)について、本願部分は、本体前後端縁部に同様のR面取りが施されることにより、シンプルな印象を与えるのに対し、引用部分は、極大径R面取りの有無により、前端又は後端であるかを明確に差異化させた印象を与えており、需要者は注目するところであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点2)について、本体後端部の内周斜状面の相違により、本願部分の後端部の外縁がシャープに構成された印象を与えるのに対し、引用部分の後端部は扁平に構成された印象を与えており、需要者は注目するところであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点3)について、ハンドル底面部は、通常使用時においてさほど目につかない部位であり、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

(3)両部分の形状等の類否判断
共通点及び相違点の評価に基づき、両部分を、全体として総合的に観察し、判断した場合、(共通点1)から(共通点5)及び(相違点3)は、両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、(相違点1)及び(相違点2)は、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。

4 小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品、両部分の用途及び機能、並びに両部分の位置、大きさ及び範囲が同一であるが、形状等においては、両部分は類似しないものであって、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。







審決日 2023-07-12 
出願番号 2021027726 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 尾曲 幸輔
江塚 尚弘
登録日 2023-08-09 
登録番号 1751156 
代理人 TRY国際弁理士法人 
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