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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 M1 |
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管理番号 | 1401726 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-03-02 |
確定日 | 2020-08-18 |
意匠に係る物品 | アルミ箔 |
事件の表示 | 意願2018− 18432「アルミ箔」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2 018年)8月24日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 平成31年 2月 1日付け:第1回目の拒絶理由 (意匠法第3条第1項柱書)の通知 平成31年 2月20日 :電話応対 平成31年 2月22日 :第1回目の拒絶理由に対する意見書の提出 平成31年 2月22日 :手続補正書の提出 令和 1年 6月26日付け:第2回目の拒絶理由 (意匠法第3条第2項)の通知 令和 1年 8月 1日 :第2回目の拒絶理由に対する意見書の提出 令和 1年11月28日付け:拒絶査定 令和 2年 3月 2日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「アルミ箔」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(「形状,模様及び色彩あるいはこれらの結合」を,以下「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「赤色で着色された部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。本意匠は、上下左右に連続するものである。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原審における拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 「この意匠登録出願は本体の一方の面が樹脂でコーティングされたアルミ箔であり、図面の記載より、食材の調理等に用いられるものと認められますが、当該調理用アルミ箔の分野において、片面を樹脂でコーティングしたアルミ箔にエンボス加工を用いて、地模様として小さな円形等の幾何形状を縦横方向交互にずらして配置した模様を設ける事は、本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であると言えます(公知意匠参照)。また、その散点状の幾何形状を円形以外の四角形や三角形等の種々の幾何形状に置き換えることは、言うまでもなく本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法といえます。 したがって、片面を樹脂でコーティングしたアルミ箔にありふれた手法を用いて、幾何形状である小さな四角形を縦横方向交互にずらして配置し、地模様としたに過ぎない本願意匠は、この程度では未だ容易に創作できたものと認められます。 (公知意匠) (当審注:別紙第2参照) 表題 暮らしニスタ|知りたい!教えたい!暮らしのアイデアがいっぱい! 掲載箇所 >TOP>ショップ>きれいに剥がれるからストレスフリー!焼くのが楽しくなるホイルです−暮らしニスタ 記事の著者の氏名 よんぴよままさん 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2018年 4月 7日 検索日 [2019年 6月25日] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://kurashinista.jp/articles/detail/45976 に掲載された第1頁、第2頁、第3頁に掲載された、商品名「DCMフライパン用サラッとはがれるホイル」の 調理用アルミ箔 の意匠 」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 (1)本願意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「アルミ箔」であって、願書の意匠の説明欄の記載によれば、アルミ箔本体の一方の面を透明又は半透明の樹脂でコーティングしたものである。 (2)本願部分の用途及び機能 本願部分は、アルミ箔の表面側であって、食材の焦げ付きを防止する機能を有しており、調理に用いるものである。 (3)本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分は、意匠に係る物品「アルミ箔」の表面側において、その右上角を避けて、右上角部付近から下辺中央部付近にかけて、上辺の約4分の1の幅を有する略平行四辺形状に表れる。 (4)本願部分の形態 本願部分は、意匠に係る物品「アルミ箔」の表面側の右上角を避けて、右上角部付近から下辺中央部付近にかけて広がる略平行四辺形状に表れる部分であって、この平行四辺形部分には、エンボス加工による略小正方形の模様を向きをそろえて、略正三角格子点上に配置したものである。 2 原審の拒絶の理由において引用された公知意匠の認定 (1)公知意匠の意匠に係る物品 公知意匠の意匠に係る物品は、一方の面を樹脂でコーティングした「調理用アルミ箔」である。 (2)公知意匠の本願意匠の表面図の縦横比率に合わせてカットした、本願部分に該当する部分(以下「公知部分」という。)の用途及び機能 公知部分は、アルミ箔の表面側であって、食材の焦げ付きを防止する機能を有しており、調理に用いる部分である。 (3)公知部分の位置、大きさ及び範囲 公知部分は、公知意匠の、樹脂でコーティングされた面のうち、その右上角を避けて、右上角部付近から下辺中央部付近にかけて広がる略平行四辺形状に表れる部分である。 (4)公知部分の形態 公知部分は、公知意匠の、その右上角を避けて、右上角部付近から下辺中央部付近にかけて広がる略平行四辺形状に表れる部分であって、表面側に、エンボス加工により、略小円形模様を略斜正方格子点上に配置しているものである。 3 本願意匠の創作非容易性の判断 意匠法第3条第2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形態に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置、その大きさ、その範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うものであるところ、本願部分の形態は、上記第4の1(1)ないし(4)に示すとおりである。 そして、「アルミ箔」の分野においては、アルミ箔の一方の面を樹脂でコーティングすることにより食材のアルミ箔表面への焦げ付きを防止する機能を付することは、上記公知資料にあるように、本願出願前より見受けられるものである。 しかしながら、本願部分の、略正三角格子点上に略小正方形状の模様を向きをそろえて配置するという態様は、原審の拒絶の理由において引用された公知部分の、略斜正方格子点上の配置の態様とは異なるものであり、当業者であれば格別の創意工夫を要しない配置であるとはいえないから、その模様及びその配置態様が本願出願前に公然知られた態様とはいえず、また、原審の拒絶の理由において引用された公知意匠に、公然知られた態様によく見られる改変を加えた程度のものともいうことができない。 一方、本願部分を表面側の右上部分から左下にかけての略平行四辺形部分とすることについては、意匠の構成態様において、エンボス加工による模様にあわせて任意の範囲を意匠登録を受けようとする部分とした程度にすぎず、特段の特徴があるものとはいえない。 そうすると、本願部分を表面側の右上部分から左下にかけての略平行四辺形部分とする本願意匠については、本願意匠の本願部分の、略小正方形の模様が、略正三角格子点上に配置される形態が当業者が容易に創作をすることができたものではないため、本願部分の位置、大きさ、範囲に特段の特徴がないとしても、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。 第5 むすび したがって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、当業者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって拒絶することはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-07-29 |
出願番号 | 2018018432 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(M1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 濱本 文子 |
登録日 | 2020-08-27 |
登録番号 | 1668201 |
代理人 | 大西 正夫 |