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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1401730 
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-28 
確定日 2023-08-08 
意匠に係る物品 Under wear 
事件の表示 意願2020−502132「Under wear」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和2年(2020年)11月10日(パリ条約による優先権主張、2020年5月11日、アメリカ合衆国)の国際意匠登録出願(意願2020−502132)であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 3年(2021年) 10月 1日付け 拒絶の通報
同年 11月16日 意見書の提出
同年 11月16日 手続補正書の提出
令和 4年(2022年) 9月15日付け 拒絶査定
同年 12月28日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「Under wear(参考訳:「下着」、以下日本語訳で示す。)」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、実線で表したものである(当審注:本願の願書には本願部分の特定に関する記載はないが、本願は、実線で表した部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願と認定する)。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
意匠に係る物品 パンツ
公報発行官庁 日本国特許庁
文献名 意匠公報
出願日 2017年3月7日
出願番号 意願2017−004639
登録日 2017年9月8日
登録番号 意匠登録第1587305号
公報発行日 2017年10月2日
権利者の氏名/名称 グンゼ株式会社
権利者の住所/居所 京都府綾部市青野町膳所1番地
に掲載された「パンツ」の意匠の赤色に着色された部分を除く部分及び、端面図において実線で表した部分。

第4 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「下着」であるのに対し、引用意匠は「パンツ」であって、表記は異なるが、どちらも男性用の下着として使用するパンツであることから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能
本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分(以下「引用部分」といい、本願部分とあわせて「両部分」という。)は、いずれも男性用下着の内側股間部に配された装着感向上のための部分であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分は、下着の内側前方中央附近で、ウエストゴム下端からクロッチ前側端部にかけて位置し、大きさ及び範囲は、横幅は、全幅の約1/4で、高さは約1/2であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致する。
(4)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、認定に際し、両部分ともに、裏返した状態の正面図に基づいて対比するものとする。
ア 共通点
両部分は、全体を太幅の略縦長「U」字状に形成している点において、共通する。
イ 相違点
(ア)本願部分は、左右2本のメッシュ地素材で形成している下端中央を約2/3程度の幅で略三角形状に重ね合わせているのに対し、引用意匠は一体状に形成し、重なりはない点、
(イ)本願部分の表面は、細かい格子状にメッシュ地を形成しているのに対し、引用部分の表面は、水平方向にメッシュ地の筋を形成している点において、相違する。

類否判断
意匠に係る物品
両意匠の物品は、同一である。
両部分の用途及び機能
両部分の用途及び機能は、同一である。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。
(4)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
この種物品分野において、男性用下着の内側に、略U字状布部を配したものが、両部分の他にもごく普通に見受けられることから(別紙第3から第5参照)、格別、需要者の注意を惹くものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
まず、相違点(ア)は、両部分の全体の構成についての相違点であり、また、正面中央の最も目立つ部分であるところ、左右2本のメッシュ地素材を、下端中央において、それぞれ約2/3程度の幅で略三角形状に重ね合わせて形成したものである本願部分に対し、一体状に形成し、重なりはない引用部分とは一見して異なる視覚的印象を与えており、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
次に、相違点(イ)について、メッシュ地を細かい格子状に形成した本願部分と、水平方向の筋を際立たせた引用部分は、相違点(ア)と相まって需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
ウ 形状等の類否判断
両部分の、形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(ア)及び相違点(イ)は、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。
(2)小括
以上のとおり、両意匠の意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、その形状等においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲









審決日 2023-07-25 
出願番号 2020502132 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
成田 陽一
登録日 2023-08-23 
登録番号 1752100 
代理人 弁理士法人信栄事務所 
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