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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 A1
管理番号 1401738 
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-22 
確定日 2023-07-21 
意匠に係る物品 ケーキ 
事件の表示 意願2021− 27027「ケーキ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯

本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとし、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和3年(2021年)12月8日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 6月28日付け 拒絶理由通知書
同年 10月11日 意見書提出
同年 11月16日付け 拒絶査定
令和5年(2023年) 2月22日 審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「ケーキ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
2014年8月22日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「ケーキ」の意匠のうち、本願部分に相当する部分の意匠
(書誌的事項)
著者の氏名 食べログ
表題 写真10ページ目:マーサー ビス エビス(MERCER bis Ebisu)
掲載箇所 食べログ > 東京 > 東京 カフェ > 渋谷・恵比寿・代官山 カフェ > 恵比寿 カフェ > 恵比寿駅 カフェ > マーサー ビス エビス > 料理写真
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2014年8月22日
検索日 2022年6月28日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13146970/dtlphotolst/?smp=2&sby=D&srt=create&PG=10

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、スポンジ生地の上にクリームとソースを掛けた洋菓子の「ケーキ」であるから、一致する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)は、スポンジ生地、クリーム及びソースからなる可食部であって、その位置、大きさ及び範囲は、上面に散りばめたトッピング具材及び底面の外縁と内縁以外の面を除いた全体であるから、一致する。

(3)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、両部分の対比のため、本願意匠の図の向きに合わせて、引用意匠の図の向きを認定する。

ア 共通点
両部分は、肉厚の略短円筒形の周側面に上面視略弧状に隆起した縦のリブを複数本設けたクリーム層の上面に薄付きのソース層を上掛けしたものであって、ソース層は、周側面の下端からソースの一部が滴るように長さの異なる略縦長「U」字状のドリップを複数本、ランダムに設けたものであって、ドリップ同士の間隔は不均一である点において、共通する。

イ 相違点
(ア)全体の長さの比率について
本願部分は、外径と高さの比率は、約1.9:1で、外径と内径の比率は、約2.8:1であるのに対し、引用部分は、外径と高さの比率は、約3:1で、外径と内径の比率は、約3.5:1である点、
(イ)クリーム層について
本願部分は、5本のリブを等間隔に設けているのに対し、引用部分は、全体の本数や配置は不明である点、
(ウ)ソース層について
a ソース層の上掛け範囲と形状
本願部分は、周側面の上端付近まで水平な直線状に上掛けしているのに対し、引用部分は、上面のみで、クリーム層の正面側の2本のリブには上掛けしていない点、
b ドリップの態様
本願部分は、ドリップの横幅はほぼ均一で、外径の約1/14の幅であるのに対し、引用部分は、ドリップの横幅は不均一で、外径の約1/15から約1/19の幅であり、また、ドリップの本数及び高さは、本願部分は、正面視において8本、背面視において7本の合計15本で、そのうち、下端近傍までの長さのものを3本、真ん中やや下までの長さのものを3本、真ん中付近までの長さのものを4本、真ん中やや上までの長さのものを5本形成しているのに対し、引用部分は、正面視において下端近傍までの長さのものを2本、真ん中付近までの長さのものを3本、真ん中やや上までの長さのものを2本の合計7本形成し、正面側の図以外の図の開示が無いため、全体の本数は不明である点において、相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するから、同一である。

(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価
この種物品の分野において、ケーキを肉厚の略短円筒形とすることや、スポンジ生地の表面全体にクリーム層を形成することは、通常よく行われている造形手法であるところ、当該ケーキの周側面に縦のリブを複数本設けたものは、両部分以外にも一般に見られるものであり(参考意匠1、別紙第3参照)、また、ケーキ上面に薄付きのソース層を上掛けしたものも、ごく普通に見受けられるものであるから(参考意匠2、別紙第4参照)、需要者が特に注目するものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
相違点(ア)について、本願部分は、引用部分との比較において、外径に対する高さが低く、内径が大きいものであるが、当該物品の分野においては、喫食する人数等に応じてサイズ(外径や高さ)の異なるものが、ごく普通に見られるものであるから、相違点(ア)が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
相違点(イ)について、本願部分は、等間隔に設けた5本のリブが、装飾的なアクセントとしての役割を果たしているのに対し、引用部分は、全体の本数や配置が不明であり、需要者に異なる印象を与えているから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(ウ)について、まず、aのソース層の上掛け範囲と形状であるが、ソース層を周側面の上端付近まで水平な直線状に上掛けしている本願部分と、上面のみで、クリーム層の正面側の2本のリブには上掛けしていない引用部分とは、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえ、特に、本願部分のように、ソース層を、水平な直線状に上掛けしているものは、本願部分以外には見られないものであるから、この相違点が、両部分の類否判断に与える影響は極めて大きい。
次に、bのドリップの態様については、前記、共通するとして掲げたドリップの態様における部分的な相違であるから、格別需要者の注意を引くものとはいえず、この相違点が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形状等においては、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点(ア)及び相違点(ウ)のbが両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(イ)及び相違点(ウ)のaが両部分の類否判断い与える影響は大きいものであるから、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲








審決日 2023-07-11 
出願番号 2021027027 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (A1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 尾曲 幸輔
内藤 弘樹
登録日 2023-08-21 
登録番号 1751757 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 林 美和 
代理人 茜ヶ久保 公二 
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