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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D7
管理番号 1401740 
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-03-09 
確定日 2023-08-18 
意匠に係る物品 テーブル 
事件の表示 意願2021− 15378「テーブル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和3年(2021年)7月15日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年(2021年) 11月30日付け :拒絶理由の通知
令和4年(2022年) 1月 6日 :意見書
同年 12月23日付け :拒絶査定
令和5年(2023年) 3月 9日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「テーブル」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書及び願書に添付した図面に記載のとおりとしたものであって、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「黄色で着色された部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠に係る「テーブル」の分野において、テーブルの天板部を、ベンチや椅子の座面部と共通した造形にて形成することは、例えば、下記資料1や資料2に見受けられるように、本願出願前よりごく一般的に行われています。
そうすると、本願意匠は、本願出願前に公知となった下記公知意匠の内、本願意匠の部分意匠として登録しようとする部分に該当する、座面部の表面側の態様を、材質を透光性のあるものから無いものに変更しつつ、ほとんどそのまま用いてテーブルの天板として表したに過ぎないものであるので、当業者であれば、容易に創作することができたと認められます。

(中略)

【公知意匠】
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2010年 9月 6日
受入日 特許庁意匠課受入2010年 9月15日
掲載者 designboom
表題 tokujin yoshioka
for ’sensing nat
ure’ exhibition
掲載ページのアドレス http://www.designboom.com/weblog/cat/8/view/10982/tokujin-yoshioka-for-sensing-nature-exhibition.html
に掲載された「ベンチ」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22035984号)

【資料1】
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年 7月 8日に受け入れたプラスワン 2008年 8月20日4号第11頁所載
いす及びテーブルセットの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA20006766号)

【資料2】
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2016年10月28日に受け入れた
厦▲門▼市▲■▼▲興▼▲達▼工▲■▼品有限公司
第4頁所載
屋外用いす及びテーブルの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD28005636号)」

第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠
(1)本願意匠について
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は、「テーブル」である。

(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願部分の位置、すなわち、黄色で着色された部分以外の部分の位置、大きさ及び範囲は、テーブルの天板部の上半部である。そして、本願部分は、種々の物を載置するために使用されるという用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状等
ア 基本的構成態様
本願部分の形状等は、全体を、略長方形の薄板状とし、その長手方向の辺にR面取りを施して形成されたものである。

イ 具体的形状等
天板部の表面について、「D−D部分の拡大図」及び「E−E部分の拡大図」に見られるように、凹凸が長手方向に繰り返し表れ、平面視において凹凸筋が全体として右側に膨らむような略波状に表されたものである。

2 引用意匠
原査定における拒絶の理由で引用された、「公知意匠」、「資料1」及び「資料2」(以下それぞれ「引用意匠1」、「引用意匠2」及び「引用意匠3」という。)の意匠に係る物品及び形状等、以下のとおりである。
(1)引用意匠1(別紙第2参照)
引用意匠1の意匠に係る物品は、「ベンチ」であり、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)の形状等は、透明な略長方形の薄板状であり、その長手方向の辺にR面取りを施して形成されており、座面部において、長手方向に繰り返される略波状の曲線で構成された模様が視認できるものである。

(2)引用意匠2(別紙第3参照)
引用意匠2の意匠に係る物品は、「いす及びテーブルセット」であり、意匠中に表されたテーブルの天板部といすの座面部が、共通するラタン素材で構成されたものである。

(3)引用意匠3(別紙第4参照)
引用意匠3の意匠に係る物品は、「屋外用いす及びテーブル」であり、意匠中に表されたテーブルの天板部といすの座面部が、共通する花柄に形成された線状体で構成されたものである。

3 本願意匠の創作容易
テーブルの分野において、天板部をいすの座面部と共通する形状等に構成することは、引用意匠2や引用意匠3に見られるように、ごく一般的に行われているといえる。
しかし、引用意匠1について、(ア)天板部に施されている模様が、凹凸で構成されたものであるかが不明瞭であり、(イ)長手方向の辺に設けられたR面取りの径と短手方向の長さの比は、本願のそれと相違しており、引用意匠1を示したとしても公知の例とはならず、また(ウ)天板部の材質を透明なものから不透明なものに変更することが容易であることを示す証拠も拒絶理由には示されていない。
そうすると、本願部分の天板部の形状等は、公知の形状等とはいえず、また、テーブルの当業者にとって、天板部の材質を透明なものから不透明なものに変更する手法は、ありふれた手法とはいえないから、本願意匠は、当業者が出願前に公知の形状等に基づいて容易に創作をすることができたものとは認められない。

4 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので、原査定における拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。








審決日 2023-08-02 
出願番号 2021015378 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 尾曲 幸輔
江塚 尚弘
登録日 2023-09-13 
登録番号 1753688 
代理人 國分 孝悦 

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