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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 N3 |
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管理番号 | 1401744 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-04-10 |
確定日 | 2023-09-05 |
意匠に係る物品 | カード情報表示用画像 |
事件の表示 | 意願2021− 18210「カード情報表示用画像」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)8月24日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年(2022年) 6月22日付け 拒絶理由の通知(原審) 同年 8月 5日 意見書の提出 令和5年(2023年) 1月 6日付け 拒絶査定 同年 4月10日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願意匠 本願は、画像について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る画像は、本願の願書の記載によれば「カード情報表示用画像」であり、本願意匠の態様は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願意匠は、カード型で横スクロール可能な情報表示エリアとその情報に連動したゲージについて、カード情報表示用画像の部分意匠として意匠登録を受けようするものです。 しかしながら、同様のカード型の情報表示エリア(意匠1)、選択したカードと連動したゲージを下方に配置する態様(意匠2)、クレジットカードに関する情報ではないものの、角丸横長長方形の枠の下方に設けたゲージを画面右方に配置した態様(意匠3)、はいずれも本願出願前に公然知られています。 そうすると、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠(意匠1)を基として、カード型エリアの情報と連動したゲージを下方かつ右方に配置したものを、カード情報表示用画像の部分意匠として表したにすぎず、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。 (中略) 意匠1: 電気通信回線の種類 インターネット 公知日 2020年11月30日 掲載確認日 2022年 5月19日 受入日 特許庁意匠課受入2022年 6月 2 掲載者 株式会社PR TIMES 表題 チームラボ、三菱UFJニコスが提供する新スマー トフォンアプリを共同開発。企画、UI/UX設計 、開発、デザインを担当。|チームラボのプレスリリ 掲載ページのアドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000723.00 0007339.html に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの請求額確認機能の画像(縦長)」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第RJ04081385号) 意匠2: 電気通信回線の種類 インターネット 公知日 2021年 7月 5日 掲載確認日 2022年 5月18日 受入日 特許庁意匠課受入2022年 6月 2日 掲載者 ビッグローブ株式会社 表題 カード番号が記載されていないクレカ「ナンバーレ スカード」とは? | 【しむぐらし】BIGLO BEモバイル 掲載ページのアドレス https://join.biglobe.ne.jp/mobile/sim/gurashi/ app_0077/ に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの利用状況確認機能の画像(縦長)」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第RJ04081386号) 意匠3: 電気通信回線の種類 インターネット 公知日 2021年 7月31日 掲載確認日 2021年10月15日 受入日 特許庁意匠課受入2021年10月20日 掲載者 EATSY JOINT STOCK COMPA NY 表題 「Eatsy − ng dng gim cn」 をApp Storeで 掲載ページのアドレス https://apps.apple.com/jp/app/eatsy/id15372214 92 に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのダイエット機能の画像(縦長)」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第RJ03114374号)」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。 (1)意匠に係る画像の用途 本願意匠の意匠に係る画像(以下「本願画像」という。)は、「カード情報表示用用画像」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。なお、この「意匠に係る物品の説明」の項目名は願書の仕様によるものであり、当審では「意匠に係る画像の説明」として認定する。 「画像図に示された画像は、スマートフォン等の端末に、クレジットカードに関する情報を表示するための画像である。この画像は、クレジットカードの利用額等の情報を含む情報表示エリアと、クレジットカードの利用可能額を示すゲージと、を含む。ユーザがクレジットカードを切り替える操作をすると、変化後を示す画像図のように、表示対象のクレジットカードが切り替わり、情報表示エリア及びゲージの表示も更新される。」 また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。 「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線で表された部分は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。」 これらの願書の記載によれば、本願は、画像の部分について意匠登録を受けようとするものであり、本願画像は、クレジットカードに関する情報を表示するための画像であって、ユーザーの操作によってクレジットカードの利用額等の情報を含む「情報表示エリア」と、クレジットカードの利用可能額を示す「ゲージ」が切り替わる。また、「変化後を示す画像図」に表されているとおり、「情報表示エリア」は右から左に移動する。 (2)本願画像における意匠登録を受けようとする部分について 願書添付図面中の「各部の名称を示す参考図」によれば、[画像図]及び「変化後を示す画像図」において実線で表された部分(以下「本願画像部分」という。)は、「情報表示エリア」と「ゲージ」である。 (3)本願画像部分の位置、大きさ及び範囲 「画像図」では、本願画像の中央やや上に一つの「情報表示エリア」(以下「情報表示エリアA」という。)が表され、その右方に、別の「情報表示エリア」(以下「情報表示エリアB」という。)の左端部が表されている。「変化後を示す画像図」では、本願画像の中央やや上に「情報表示エリアB」が表され、その左方に「情報表示エリアA」の右端部が表されて、右方には、新しい「情報表示エリア」(以下「情報表示エリアC」という。)の左端部が表されている。 「ゲージ」は、「情報表示エリア」の下方に表されており、[画像図]及び「変化後を示す画像図」における位置、大きさ及び範囲は同じである。 (4)本願画像部分の用途及び機能 本願画像部分の用途は、クレジットカードの利用額等の情報を表示すること、及び利用可能額を示すことであり、本願画像部分は、ユーザーの操作によってそれらの情報が更新されるという機能を有している。 (5)本願画像部分の態様 ア 「画像図」に表された態様 (ア)「情報表示エリアA」の態様 縦横比が約1:1.9である角丸長方形状である。 (イ)「情報表示エリアB」の態様 「情報表示エリアA」と同形同大である「情報表示エリアB」の左端部約4%が表されている。なお、「情報表示エリアA」と同形同大であることは、下記イ(イ)のとおりである。 (ウ)「ゲージ」の態様 細横長帯状であって、上下幅が細く、「情報表示エリアA」の左端から「ゲージ」の左端までの長さ:「ゲージ」の横幅:「ゲージ」の右端から「情報表示エリアA」の右端までの長さの比は、約2:4:1である。 イ 「変化後を示す画像図」に表された態様 (ア)「情報表示エリアA」の態様 「情報表示エリアB」の右端部約4%が表されている。 (イ)「情報表示エリアB」の態様 「情報表示エリアA」と同形同大である。 (ウ)「ゲージ」の態様 上記ア(ウ)と同じである。 2 引用意匠の認定 当審における拒絶の理由で引用した意匠1ないし意匠3について、以下のとおり認定する。主として本願画像部分に相当する画像の態様について認定する。なお、意匠1ないし意匠3の出典や公知日などについては、前記第3のとおりである。 (1)意匠1(別紙第2参照) ア 意匠1の用途及び機能 意匠1は、スマートフォン用ソフトウェアの請求額確認機能の画像であり、画像の用途及び機能は、スマートフォン用ソフトウェアの請求額を確認することである。 イ 本願画像部分に相当する画像の態様 スマートフォンの画像の上部に、縦横比が約1:1.7である角丸長方形状である情報表示エリアが表されており、その右方には、同エリアの左端部約3%と同等の態様の別エリアが表されている。なお、この別エリアが左側に移動するか否かは不明である。 (2)意匠2(別紙第3参照) ア 意匠2の用途及び機能 意匠2は、スマートフォン用ソフトウェアの利用状況確認機能の画像であり、画像の用途及び機能は、スマートフォン用ソフトウェアの利用状況を確認することである。 イ 本願画像部分に相当する画像の態様 スマートフォンの画像の左上に、縦横比が約1:1.6である小さな長方形状エリアが表されており、その下方には、細横長帯状のゲージがスマートフォンの画像のほぼ横幅一杯に配されている。小さな長方形状エリアの横幅は、ゲージの横幅の約1/7.1である。 (3)意匠3(別紙第4参照) ア 意匠3の用途及び機能 意匠3は、スマートフォン用ソフトウェアのダイエット機能の画像であり、画像の用途及び機能は、スマートフォン用ソフトウェアのダイエットに関する情報を表示することである。 イ 本願画像部分に相当する画像の態様 スマートフォンの画像の中央やや上に、縦横比が約1:2.2である角丸長方形状の情報表示エリアが表されており、その下方には、細横長帯状のゲージが、右端位置を情報表示エリアの右端位置と揃えるように配されている。ゲージの横幅は、情報表示エリアの約1/2である。 3 本願意匠の創作非容易性について 本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。 画像を含む意匠において、角丸長方形状である情報表示エリアを有する画像は、意匠1及び意匠3に見られるように本願の出願前に広く知られており、また、長方形状エリアの下方に細横長帯状のゲージを配することも、意匠2及び意匠3に見られるように本願の出願前に広く知られている。 しかしながら、本願画像部分のように、細横長帯状のゲージを、「情報表示エリアA」の左端から「ゲージ」の左端までの長さ:「ゲージ」の横幅:「ゲージ」の右端から「情報表示エリアA」の右端までの長さの比が約2:4:1になるように配した画像は、意匠2及び意匠3の画像の態様から容易に想到できたということはできない。 そして、本願画像部分の「情報表示エリア」は右から左に移動するところ、意匠1の情報表示エリアが右から左に移動するか否かは不明であり、仮に移動するとしても、移動後の画像が、前記1(5)イで認定した、「変化後を示す画像図」に表された本願画像部分の態様と同様のものであるとは限らない。 したがって、当審における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、当審の拒絶の理由、すなわち本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するとの理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-08-24 |
出願番号 | 2021018210 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(N3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 成田 陽一 |
登録日 | 2023-09-12 |
登録番号 | 1753570 |
代理人 | 弁理士法人はるか国際特許事務所 |