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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1402823 |
総通号数 | 22 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-03 |
確定日 | 2020-08-28 |
意匠に係る物品 | プロジェクター |
事件の表示 | 意願2019− 1503「プロジェクター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法14条1項の規定により本願に係る意匠(以下「本願意匠」という。)を3年間秘密にすることを請求し、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成31年(2019年)1月28日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和1年(2019年) 7月29日付け 拒絶理由の通知 同年 9月10日 意見書の提出 同年 10月30日付け 拒絶査定 令和2年(2020年) 2月 3日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「プロジェクター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「一点鎖線と実線で囲んだ部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図における一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」とするものである。(別紙第1参照) 第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠 原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願の意匠は、意匠に係る物品を『プロジェクター』とし、その形状は、全体を縦長直方体状(柱状)としたプロジェクターの上方域に縦長隅丸矩形状の投射窓を設けたものであり、本願では、当該投射窓部のみが部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とされています。 プロジェクターの物品分野においては、本願意匠のように、全体を縦長柱状に構成したプロジェクターの上方寄りに、縦横比が4対1程度の縦長隅丸矩形状の投射窓を構成した例が引用意匠1において、また、全体を縦長に構成した床置きのプロジェクターにおいて、上端部から全高の4分の1程度の領域に投射窓を設けた例が引用意匠2において、いずれも本願出願前から公然知られています。 そうすると、本願の意匠は、プロジェクターの物品分野で公然知られたこれら形状及び配置態様を組み合わせて表したまでに過ぎませんので、この種物品について通常の知識を有する者であれば、容易にその意匠の創作をすることができたといわざるを得ません。 (引用意匠1) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1583513号の意匠 (引用意匠2) 特許庁特許情報課が2001年11月29日に受け入れた アメリカ合衆国意匠公報:オフィシャル ガゼット 2001年10月23日4号 第4390頁所載 縦型デジタルプロジェクターの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH13045943号)」 第4 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 意匠に係る物品は、スクリーンに映像等を映し出すために用いる「プロジェクター」である。 (2)本願部分 願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、以下のとおりである。 ア 本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分の用途及び機能は、映像等を投写する投写部であり、その位置、大きさ及び範囲は、略縦長矩形状の筐体正面の上端近傍中央に形成される略縦長矩形状の凹陥部内側の左端寄りの位置であって、縦が筐体の約1/8、横が約1/5の大きさとする縦長長方形で囲んだもので、願書の意匠の説明の記載によれば、「一点鎖線と実線で囲んだ部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分」を範囲とするものである。 イ 本願部分の形態 本願部分は、正面視において、一点鎖線で縦長長方形状に囲んだ内側中央に、外形がこれより一回り小さい略縦長隅丸長方形の投写窓を設けたものであって、投写窓の縦横の比率は約4:1で、投写窓の表面は透明である。 2 引用意匠の認定 (1)引用意匠1(別紙第2参照) 引用意匠1の意匠に係る物品は、「データ受信機付きプロジェクター」であって、略短円柱形とする筐体の正面部に、正面視、略縦長隅丸長方形の投写窓を設けたものであって、投写窓の縦横の比率は約3:1で、全体が若干左右に湾曲している。 (2)引用意匠2(別紙第3参照) 引用意匠2は、「縦型デジタルプロジェクター」の意匠であって、本願部分の創作性の判断の根拠となる部分の形態は、正面視、略縦長矩形状の筐体の上端寄り中央に、略円形の投写部を設けたものである。 3 本願意匠の創作性の検討 この物品の属する分野において、正面視、略縦長隅丸長方形の投写窓は、前記、引用意匠1に見られるとおり、本願出願前から公然知られているものであり、また、略縦長矩形状の筐体の上端寄り中央に投写部を設けたものも、引用意匠2に見られるとおり、本願の出願前から公然知られているものである。しかしながら、筐体の上端近傍に設けた凹陥部内側の左端寄りの位置において、投写部を縦長長方形で囲んだ範囲とし、その内側中央に湾曲のない平坦状の略縦長隅丸長方形の投写窓を設けたものは、本願部分の他には見られないものであるから、本願部分のこの態様は、当業者にとって、一定の創作を要したものといわざるを得ない。 そうすると、本願部分の態様は、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-08-12 |
出願番号 | 2019001503 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 宮田 莊平 |
登録日 | 2020-09-16 |
登録番号 | 1669553 |
代理人 | 五味 飛鳥 |