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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1402839 |
総通号数 | 22 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-01-23 |
確定日 | 2023-10-06 |
意匠に係る物品 | 一組の運輸機器セット |
事件の表示 | 意願2021− 24976「一組の運輸機器セット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)11月15日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年(2021年)12月 1日 :新規性の喪失の例外の規定を 受けるための証明書の提出 令和4年(2022年) 3月24日付け:拒絶理由通知書の送付 同 年 5月10日 :期間延長請求書の提出 同 年 7月11日 :意見書の提出 同 年 10月21日付け:拒絶査定 令和5年(2023年) 1月23日 :審判請求書の提出 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「一組の運輸機器セット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様又は色彩の結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する、というものである。 拒絶理由通知書の記載内容及び拒絶理由通知において引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、以下のとおりである(別紙第2参照)。 「本願意匠と引用意匠を比較すると、全体皿状の運転席用フロアマット及び助手席用フロアマットと、板状のセンター用フロアマットから構成されるものであって、運転席用フロアマットの平面視形状につき、左辺上部が倒「へ」字状とされている点や、右上隅部が矩形状に凹んでいる点、上辺の左右方向中央に位置する凸部の右上の角部が隅丸とされている点、下辺につき、左右両端が矩形状に凹んでおり、結果として横長帯状部分が下方から延びている点等が共通しており、また、運転席用フロアマットの全体形状について、平面視右上部分がスロープ状に持ち上がり上げ底状とされている点や、右端から僅かに内側に位置する部分に、上下方向中程に斜線状部分を有する屈曲凸条部が設けられている点等においても共通しています。 さらに、助手席用フロアマットの平面視形状についても、右辺上部が緩やかな左右鏡像の「ノ」字状とされている点や、上辺左方が凹んで輪郭線が斜めに現れている点、下辺につき、左右両端が矩形状に凹んでおり、結果として横長帯状部分が下方から延びている点等が共通しているほか、助手席用フロアマットの全体形状について、平面視左端から僅かに内側に位置する部分に、上下方向鏡像の縦長「J」字状の凸条が設けられている点も共通しています。 加えて、センター用フロアマットについて、全体が平板状で、長手方向の片側の端から細帯状の突出部が延設されている点も共通しています。 上記共通点は、相まって意匠の骨格をなすものであって、類否判断に与える影響は極めて大きいといえます。 一方、両意匠は、主として本願意匠は運転席用フロアマットの平面視左側上方の垂壁が高く形成され、当該部分の周辺が深く成形されているのに対し、引用意匠はそのような形態であるか明らかでないとの点において相違していますが、これは、意匠全体からすると部分的な箇所におけるものであって、また、通常の使用状態において需要者から観察される平面側からは、とりたてて目立たないものといえるから、看る者に想起させる美感に与える影響は小さく、意匠の類否判断に及ぼす影響は限定的であるといえます。 したがって、全体観察すると両意匠は類似するものと認められます。 (引用意匠) 著者の氏名 高田功 表題 日産セレナ愛好会《SERENA lovers meeting》 | クラッツィオ フロアマット 立体タイプ フロントのみ セレナC27系 Clazzio ラバータイプ ブラック を購入しました 掲載箇所 (添付画像参照) 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2020年 5月 2日 検索日 [2022年 3月 23日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL: https://www.facebook.com/groups/1403314659715992/posts/2866865510027559/ に掲載された3枚の自動車用フロアマットからなる一組の運輸機器セットの意匠」 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「一組の運輸機器セット」であるから、一致するものである。 (2)形状等の対比 両意匠の形状等を対比する(以下、対比のため、引用意匠も本願意匠の図面の図の表示及び向きに合わせることとする。)と、その形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 形状等の共通点 (ア)組物の意匠全体について (共通点1)両意匠は、全体の構成を、自動車の運転席の足元に敷くフロアマット(以下「運転席用マット」という。)、助手席の足元に敷くフロアマット(以下「助手席用マット」という)、及び運転席と助手席の間のセンター部分に敷くマット(以下「センター用マット」という。)の3種類のフロアマットからなる構成とした点が共通する。 (イ)運転席用マットについて (共通点2−1)両意匠は、運転席用マットの形状等を、マット底面部分の略平坦な板状体からなる部分(以下「底板部」という。)の右辺部を除いた周囲に、ほぼ垂直若しくは傾斜した板状体からなる部分(以下「壁板部」という。)を形成し、全体を略トレイ状にした点が共通する。 (共通点2−2)両意匠は、底板部の形状等を、平面視において、上辺部を略凸状とし、右辺部を縦方向の略直線状とし、下辺部を略倒凸状とした略変形矩形状の板状体とした点が共通する。 (共通点2−3)両意匠は、壁板部の形状等を、平面視において、底板部の上辺部左側約2/7の部分に、その左辺部略下半分を略直角台形状に切り欠いた平面視略長方形状の傾斜面、及び側面視略直角台形状の垂直面からなる傾斜した略アングル状の壁板部を形成し、底板部の上辺部中央の約3/7の部分に、平面視略直角台形状の僅かに傾斜した板状の壁板部を形成し、底板部の上辺部右側約2/7の部分に、略四角錐台の左側面側及び正面側の傾斜面、並びに右上部分を略L字状に大きく切り欠いた水平面からなる段差状の壁板部を形成し、底板部の左辺部の外周部分に沿って、斜線状の部分は高く、縦方向の略直線状の部分は低くなる、略垂直面からなる帯状の壁板部を形成し、底板部の下辺部の外周部分に沿って、僅かに外側に傾斜した面からなる帯状の壁板部を形成した点が共通する。 (共通点2−4)両意匠は、底板部上面の上方右側部分に、その表面部分に縦筋模様を9条形成した平面視略隅丸長方形状のヒールパットを1つ配設し、底板部の下方部分に、鳩目加工を施したマット固定用の円孔部を2つ並設した点が共通する。 (共通点2−5)両意匠は、底板部の右辺付近に、断面視が略半円状で、平面視がその略中央部分が外側に向かって斜めに折曲している略直線状の凸条部を縦方向に1条配設した点が共通する。 (ウ)助手席用マットについて (共通点3−1)両意匠は、助手席用マットの形状等を、底板部の左辺部を除いた周囲に、ほぼ垂直若しくは傾斜した板状体からなる壁板部を形成し、全体を略トレイ状に形成した点が共通する。 (共通点3−2)両意匠は、底板部の形状等を、平面視において、上辺部を横方向の略直線状とし、右辺部を上から約半分の部分を下に向かって外側に拡がる斜線状とし、残りの約半分の部分を斜線状部分と連続する縦方向の略直線状とし、左辺部を縦方向の略直線状とし、下辺部を略倒凸状とした略変形矩形状の板状体とした点が共通する。 (共通点3−3)両意匠は、壁板部の形状等を、平面視において、底板部の上辺部分に、その左上角部を略ノの字状に大きく切り欠いた平面視略直角台形状の僅かに傾斜した面からなる板状の壁板部を形成し、この略直角台形状の壁板部の略ノの字状に大きく切り欠いた部分に沿って、側面視略平行四辺形状の略垂直面からなる折曲した板状の壁板部を形成し、底板部の右辺部の外周部分に沿って、斜線状の部分は高く、縦方向の略直線状の部分は低くなる、略垂直面からなる帯状の壁板部を形成し、底板部の下辺部の外周部分に沿って、僅かに外側に傾斜した面からなる帯状の壁板部を形成した点が共通する。 (共通点3−4)両意匠は、底板部上面の下方右側部分に、鳩目加工を施したマット固定用の円孔部を1つ形成した点が共通する。 (共通点3−5)両意匠は、底板部の左辺付近に、断面視が略半円状で、平面視が略倒J字状の凸条部を縦方向に1条配設した点が共通する。 (エ)センター用マットについて (共通点4)両意匠は、センター用マットの形状等を、平面視において、略縦長長方形状の板状体と、この板状体の約1/5の横幅で略細幅長方形状の板状体を、その中心軸をほぼ揃えて一体となるように上下に接合した、略倒凸状の平坦な板状体とし、この板状体の上辺部を僅かに略倒倒脚台形状に切り欠いた形状に形成した点が共通する。 イ 形状等の相違点 (相違点1)本願意匠の運転席用マット及び助手席用マットの壁板部の傾斜面における傾斜角度が大きく、マット全体を深いトレイ状としているのに対し、引用意匠の運転席用マット及び助手席用マットの壁板部の傾斜面における傾斜角度は小さく、マット全体が浅いトレイ状としている点で、両意匠は相違する。 (相違点2)本願意匠の運転席用マットにおける底板部の左辺部の形状等が、上から約2/3の部分を下に向かって外側に拡がる斜線状とし、残りの約1/3の部分を斜線状部分と連続する縦方向の略直線状に形成しているのに対し、引用意匠の運転席用マットにおける底板部の左辺部の形状等は、上から約1/3の部分を下に向かって外側に拡がる斜線状とし、残りの約2/3の部分を斜線状部分と連続する縦方向の略直線状に形成している点で、両意匠は相違する。 (相違点3)本願意匠の運転席用マットにおける底板部の下辺部の略倒凸状の突出部分が、マット縦方向の全長の約1/6であるのに対し、引用意匠の運転席用マットにおける底板部の下辺部の略倒凸状の突出部分は、マット縦方向の全長の約1/10である点で、両意匠は相違する。 (相違点4)本願意匠の運転席用マットにおける底板部の上面左側部分には、下方に向かって正面視略凸円弧状に突出する、平面視略U字状の僅かな凹部を形成しているのに対し、引用意匠の運転席用マットにおける底板部には、そのような凹部がない平坦な形状である点で、両意匠は相違する。 (相違点5)本願意匠の運転席用マットにおける底板部の上辺部右側の段差状の壁板部を構成する水平面の右上角部の形状等が、斜めに切り欠いたものであるのに対し、引用意匠の底板部の上辺部右側の段差状の壁板部を構成する水平面の右上角部の形状等は、隅丸に形成している点で、両意匠は相違する。 (相違点6)本願意匠の助手席用マットにおける底板部の下辺部の略倒凸状の突出部分が、マット縦方向の全長の約1/6であるのに対し、引用意匠の助手席用マットにおける底板部の下辺部の略倒凸状の突出部分は、マット縦方向の全長の約1/10である点で、両意匠は相違する。 (相違点7)本願意匠のセンター用マットの略縦長長方形状の板状体の形状等が、一定の横幅からなるものであるのに対し、引用意匠のセンター用マットの略縦長長方形状の板状体の形状等は、略上半分の横幅が略下半分より僅かに幅広となるように形成している点で、両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品についての判断 両意匠の意匠に係る物品は、一致するものであるから同一である。 (2)形状等についての判断 両意匠の意匠に係る物品は、自動車のフロアパネルに敷いて使用される一組のフロアマットであって、この物品の需要者は、これを購入する一般消費者であるところ、この物品の需要者は、使用時(乗車時)にフロアマットがずれたり捲れたりしないように、自己の自動車の床の形状にフィットするようにして形成された部分の形状等を特に注視して観察することとなる。 したがって、両意匠の類否判断にあたっては、フロアマットがずれたり捲れたりしないように考慮して形成されたフロアパネルと接触する底板部や壁板部の具体的な形状等が、需要者の注意を惹く部分であるとの前提に基づいて、両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について、以下評価することとする。 ア 共通点の評価 (共通点1)の全体の構成については、この種物品においてごく普通に見られる自動車用フロアマットの組合せにすぎないものであり、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点2−1)の運転席用マットの形状等、(共通点2−2)の運転席用マットにおける底板部の下辺部を略倒凸状とした点を除く形状等、(共通点2−3)の運転席用マットにおける壁板部の形状等、及び(共通点2−4)の運転席用マットにおけるヒールパット及び円孔部の形状等については、これらの各部位の形状等は、本願意匠の出願前に類似する形状等が既に見られるものであり(参考意匠1参照)、底板部の下辺部を略倒凸状とした形状等についても、この種物品において既に見られるものであるから(参考意匠2参照)、これらの形状等からなる運転席用マットの形状等は、両意匠のみに認められる格別の特徴のものとはいえず、この(共通点2−1)ないし(共通点2−4)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 【参考意匠1】意匠登録第1699183号(公報発行日:令和3年(2021年)11月8日) 【参考意匠2】特許庁意匠課公知資料番号RJ03023946(公知日:令和3年(2021年)8月30日) (共通点2−5)の運転席用マットにおける断面視略半円状の凸条部については、該部位が乗車の際には目に付く部位であるとしても、その凸状部の略中央部分の折曲は僅かなものにすぎず,特段特徴のあるものでもないから、この(共通点2−5)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点3−1)の助手席用マットの形状等、及び(共通点3−2)の助手席用マットにおける底板部の形状等については、この種物品においてごく普通に見られるものであり、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、これらの(共通点3−1)及び(共通点3−2)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点3−3)の助手席用マットにおける壁板部の形状等については、その左上角部を略ノの字状に大きく切り欠いた平面視略直角台形状の傾斜した壁板部の形状等は、新規なものであり、これには一定の特徴が認められるから、この(共通点3−3)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 (共通点3−4)の助手席用マットにおけるヒールパット及び円孔部の形状等については、これらの各部位の形状等は、本願意匠の出願前に類似する形状等が既に見られるものであって、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、この(共通点3−4)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点3−5)の助手席用マットにおける断面視略半円状の凸条部については、該部位が乗車の際には目に付く部位であるとしても、この種物品で既に見られる平面視が略倒J字状で、断面視が略半円状の凸条部を縦方向に1条配設したものにすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから、この(共通点3−5)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点4)のセンター用マットの形状等については、平面視略倒凸状のフラットな板状体としたセンター用マットの形状等は、新規なものであり、これには一定の特徴が認められるから、この(共通点4)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 イ 相違点の評価 (相違点1)の運転席用マット及び助手席用マットの壁板部の傾斜面における傾斜角度等の相違については、本願意匠のものは、全体が深いトレイ状に形成されたものであって、車体のフロアパネルの窪んだ部分にしっかり嵌まり込んで固定されるものとの印象を与えるのに対し、引用意匠のものは、全体が浅い略トレイ状のものであって、フロアパネルの窪んだ部分にずれない程度に敷設されるものとの印象を与えるから、需要者が注視して観察するフロアパネルと接触する底板部や壁板部の具体的な形状等に係る相違点である(相違点1)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。 (相違点2)及び(相違点3)の運転席用マットにおける底板部の左辺部及び下辺部の突出部分の形状等の相違については、僅かな比率等の相違にすぎないが、フロアパネルと接触する底板部や壁板部の具体的な形状等を注視して観察する需要者に対し、これらの相違は、別異のものとの印象を与えるから、この(相違点2)及び(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 (相違点4)の運転席用マットにおける底板部の上面左側部分の平面視略U字状の凹部の有無の相違については、本願意匠のものはフロアパネルの窪んだ部分の形状に合わせて加工され、これにしっかり嵌まり込んで固定されるものとの印象を与えるのに対し、引用意匠のものは、単なる平たい板状体であるとの印象を与えるから、需要者が注視して観察するフロアパネルと接触する底板部の具体的な形状等の相違であるこの(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。 (相違点5)の運転席用マットにおける底板部の上辺部右側の段差状の壁板部を構成する水平面の右上角部の形状等の相違については、いわれて気付く程度の僅かな部位に係る相違にすぎず、この(相違点5)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (相違点6)の助手席用マットにおける底板部の下辺部の突出部分の形状等の相違については、僅かな比率等の相違にすぎないが、この部分は需要者が注視して観察する部分であるから、この(相違点6)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 (相違点7)のセンター用マットにおける略縦長長方形状の板状体の形状等の相違については、僅かな部位に係る相違であるが、引用意匠のものは、運転席用マットと助手席用マットとの間に配置した際に、隙間なく敷設されるとの印象を与えるから、この(相違点7)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき、全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合、両意匠は、需要者が注視して観察する運転席用マット及び助手席用マットの壁板部の傾斜面における傾斜角度等の(相違点1)や運転席用マットにおける底板部上面左側部分の平面視略U字状の凹部の有無の(相違4)が、意匠全体の美感に与える影響は大きく、(相違点2)、(相違点3)、(相違点6)及び(相違点7)も意匠全体の美感に一定程度影響を与えるのに対し、両意匠の助手席用マットにおける壁板部の形状等についての(共通点3−3)、及びセンター用マットの形状等についての(共通点4)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度あるとしても、(共通点3−3)及び(共通点4)を除いた他の(共通点1)ないし(共通点3−5)が与える影響はいずれも小さく、両意匠は上記の相違点によって需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠の形状等は類似しない。 (3)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形状等において類似しないから、本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-09-25 |
出願番号 | 2021024976 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-10-11 |
登録番号 | 1755656 |
代理人 | 永田 元昭 |