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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1402843 |
総通号数 | 22 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-03-10 |
確定日 | 2023-09-19 |
意匠に係る物品 | セレクタスイッチ |
事件の表示 | 意願2022− 1229「セレクタスイッチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和 4年(2022年) 1月24日 意匠登録出願 同年 7月15日付け 拒絶理由通知 同年 8月29日 意見書の提出 同年 12月 6日付け 拒絶査定 令和 5年(2023年) 3月10日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「セレクタスイッチ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定における拒絶の理由及び引用した意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願意匠は、実線で表されたローゼット部およびローター部を、意匠登録を受けようとする部分としたものと認められます。 本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の形態は、ローゼット部が一定の高さを有する円筒形状であり、その正面側から、円筒形状のローター部が僅かに突出し、ローター部の正面中央には、略縦長長方形と略円形を組み合わせた形状の鍵穴が設けられています。 ところで、この種物品分野において、ローゼット部が一定の高さを有する円筒形状であり、その正面側から、円筒形状のローター部が僅かに突出し、ローター部の正面中央には、略縦長長方形状の鍵穴が設けられたものが、本願出願前から公然知られています(意匠1)。 また、ローター部の正面中央に、縦長長方形と略円形を組み合わせた形状の鍵穴を有するものが、本願出願前から公然知られています(意匠2)。 この種物品分野において、使用する鍵の先端部の形状に応じて、ローター部の鍵穴の形状を変更することは、本願出願前からごく一般的に行われています。 そうすると、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠1の形状を基本として、ローター部の鍵穴の形状を、意匠2の鍵穴の形状に置き換えたに過ぎず、当業者であれば、容易に創作できたものといわざるを得ません。 (意匠1) 特許庁意匠課が1996年12月19日に受け入れた 和泉・機器製品総合カタログ(電波新聞8.7.11P10) 第19頁所載 キースイッチの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HN09007379号) (意匠2) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1310586号の意匠 (意匠に係る物品、セレクタスイッチ)」 第4 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願の意匠に係る物品は、電源や電気信号のオン、オフを行う「セレクタスイッチ」である。 (2)本願部分 願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形状等は、以下のとおりである。 ア 本願部分の用途及び機能 本願部分の用途及び機能は、キーを差し込んで回転操作することにより接点を開閉するローター及び外筒である。 イ 本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分の位置、大きさ及び範囲は、ローターの正面及び周側面並びに外筒の正面及び内外周面である。 ウ 本願部分の形状等 (ア)基本的構成態様 本願部分は、略円板形状のローターの外側に略円筒形状の外筒を近接して取り付けたものであって、ローターは先端が外筒より僅かに突出し、正面の真ん中付近に略縦長長方形の鍵穴を形成している。 各部の態様として、 (イ)各部の長さの比率 正面における径と高さの比率について、全体は、約1.7:1で、ローターは、約7.6:1で、外筒は、約1.8:1である。 また、鍵穴の縦横の長さの比率は、約11:4で、縦の長さは、ローターの径の約1/3である。 (ウ)ローター ローターは、正面全体を緩やかな凹曲面状に形成し、正面の縁に沿って斜めに面取りを施している。 (エ)鍵穴 鍵穴は、ローターの中心よりやや上方にずらした位置に形成し、その両側のやや下寄りの面を鍵穴の半分程度の長さにおいて略半球面状に切り欠いている。 (オ)外筒 外筒は、外周面が正面側に僅かに傾斜し、先端の縁を弧状に面取りしている。 2 引用意匠の認定 原査定における拒絶の理由で引用された意匠1及び意匠2について、以下のとおり認定する。 なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして、認定する。 (1)意匠1(別紙第2参照) ア 意匠1は「キースイッチ」である。 イ 意匠1の形状等 全体は、正面から順に、略円柱形のローター、略矩形状板体、径の異なる複数の略円柱形からなる胴体及び略直方体形のコネクターを連結してなるものであって、そのうち、ローターは、外側に略円筒状の外筒を取り付けたものとし、ローターの先端が外筒より僅かに突出し、正面の中心よりやや上方に略縦長矩形状の鍵穴を形成して、鍵を差し込んでいる。 (2)意匠2(別紙第3参照) ア 意匠2の意匠に係る物品は「セレクタスイッチ」である。 イ 意匠2の形状等 全体は、略円柱形のローターの背面に略直方体形の端子台を取り付けたものであって、そのうち、ローターは、外側に略円筒状の外筒を取り付けたものとし、ローターの正面が外筒より僅かに凹んでおり、その真ん中付近に略縦長長方形状の鍵穴を形成している。 また、鍵穴の両側の中央の面を鍵穴の半分程度の長さにおいて略半球面状に切り欠いている。 3 本願部分の創作性の検討 この意匠の属する分野において、略円板形状のローターの外側に略円筒形状の外筒を近接して取り付け、ローターの先端が外筒より僅かに突出し、鍵穴を正面の中心よりやや上方に形成したもの(意匠1)や、鍵穴の両側の中央の面を鍵穴の半分程度の長さにおいて略半球面状に切り欠いたもの(意匠2)は、本願の出願前に公然知られているものである。 しかしながら、ローターの正面全体を緩やかな凹曲面状に形成し、鍵穴の両側の面の切欠きをやや下寄りとしたものは、本願部分の他には見られないから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。 そうすると、本願部分の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定における拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-09-06 |
出願番号 | 2022001229 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 尾曲 幸輔 |
登録日 | 2023-10-16 |
登録番号 | 1755994 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |