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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D6
管理番号 1402847 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-04-20 
確定日 2023-09-01 
意匠に係る物品 テレビ台 
事件の表示 意願2021− 27070「テレビ台」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和3年(2021年)12月9日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 5月31日付け :拒絶理由の通知
同年 7月11日 :意見書の提出
令和5年(2023年) 1月12日付け :拒絶査定
同年 4月20日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「テレビ台」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠は、本願出願前に公知となった下記公知意匠1の収納棚の内、本願意匠に相当する部分をほとんどそのまま用い、扉を、例えば、本願出願前に公知となった下記公知意匠2に表れたような、ありふれた引き戸のものに置き換えたにすぎないので、当業者であれば、容易に創作することができたものです。

(中略)

【公知意匠1】
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2012年 9月10日
受入日 特許庁意匠課受入2012年 9月14日
掲載者 Sharper Image Corp.
表題 Ultra Media Stand
掲載ページのアドレスhttp://www.sharperimage.com/si/view/product/Ultra-Media-Stand/200832?trail=1012:New Arrivals
に掲載された「収納棚」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ24031823号)

【公知意匠2】
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2012年 5月 7日
受入日 特許庁意匠課受入2012年 5月11日
掲載者 株式会社ディノス
表題 光沢仕上げ 水ハネ対応カウンター上キッチン収
納庫 幅120cm 超大容量 【キッチン収納
隙間収納 隙間家具】の拡大写真2−ディノス
掲載ページのアドレスhttp://www.dinos.co.jp/defaultMall/sitemap/CSfDetailGdsImage_001.jsp?GOODS_NO=890980&count=1&sorl_img=1
に掲載された「収納棚」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ24002316号)」

第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠
(1)本願意匠について
本願意匠の意匠に係る物品は、「テレビ台」である。

(2)本願の意匠登録を受けようとする部分(以下、「本願部分」という。)の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願部分の位置、すなわち、実線で表された部分の位置、大きさ及び範囲は、2段から構成されるテレビ台の、引き違い戸を含む下段端部及びその上に接面する上段底板端部である。そして、本願部分は、種々の物を収納するために使用されるという用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状等
ア 基本的構成態様
本願部分の形状等は、全体を、略直方体形状の下段端部と厚板状の上段底板端部とし、下段端部の上面の一部に上段底板が接面して形成されたものである。

イ 具体的形状等
下段端部について、天板及び底板がほぼ等しい厚さを有する板体で構成され、端部に天板及び底板と比べやや薄い側板が嵌合され、これら板体に引き違い戸及び背板が収められたものである。
上段底板端部について、下段の天板及び底板とほぼ等しい厚さを有する板体で構成され、上段全幅の約1/12が下段天板の約1/14と重なる態様のものである。また、両段の位置、方向や角度等は、適宜組み替えることができるとしたものである。

2 引用意匠
原査定における拒絶の理由で引用された、「公知意匠1」及び「公知意匠2」の意匠に係る物品及び形状等、以下のとおりである。
(1)公知意匠1(別紙第2参照)
公知意匠1の意匠に係る物品は、床に置かれ2段から構成される「収納棚」であり、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)の形状等は、全体を、略直方体形状の下段の略左半部と厚板状の上段底板の略右半部とし、下段の上面の一部に上段底板が接面して形成されたものである。
そして、具体的形状等について、
下段の略左半部について、天板及び底板がほぼ等しい厚さを有する板体で構成され、端部に天板及び底板とほぼ等しい厚さを有する側板が嵌合され、これら板体に引き出し戸が収められたものである。
上段底板の略右半部について、下段の天板、底板及び側板とほぼ等しい厚さを有する板体で構成され、上段全幅の半分以上が下段天板の約2/3と重なる態様のものである。また、両段の位置は、調整可能としたものである。

(2)公知意匠2(別紙第3参照)
公知意匠2の意匠に係る物品は、キッチン等のカウンター上に置かれる「収納棚」であり、引用部分は、略長方形板体の引き違い戸の左方の部分であり、天板及び底板がほぼ等しい厚さを有する板体で構成され、端部に天板及び底板とほぼ等しい厚さを有する側板が嵌合され、これら板体に引き出し戸が収められたものである。

3 本願意匠の創作容易
テレビ台の分野において、上段及び下段の2段構成とし、下段の一部に上段が接面し、両段の位置を調整可能としたものは、公知意匠1に見られるように、ごく一般的なものといえる。
しかし、公知意匠2は、キッチン等のカウンター上に置かれる収納棚であって、床に直置きされる本願意匠のテレビ台とは収納物や使用態様が異なること、さらに、本願意匠のように、2段から構成され、床に直置きされるテレビ台であって、引き違い戸を採用したものは本願出願前に見られないことを鑑みれば、本願部分の引き出し戸を公知意匠2の引き違い戸に置き換えることは、ありふれた手法とはいえないから、容易であるとはいい切れない。
そうすると、テレビ台の当業者にとって、下段の引き出し戸を引き違い戸に置き換える手法は、ありふれた手法とはいえないから、本願意匠は、当業者が出願前に公知の形状等に基づいて容易に創作をすることができたものとは認められない。

4 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので、原査定における拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。













審決日 2023-08-18 
出願番号 2021027070 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D6)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 尾曲 幸輔
江塚 尚弘
登録日 2023-09-27 
登録番号 1754571 
代理人 渡辺 容子 
代理人 鈴江 正二 

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