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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1403707 |
総通号数 | 23 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-04-13 |
確定日 | 2020-10-12 |
意匠に係る物品 | 乗用自動車 |
事件の表示 | 意願2018− 28172「乗用自動車」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法第14条第1項の規定により本願意匠を3年間秘密にすることを請求した、平成30年(2018年)12月24日の意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和 1年11月 6日付け 拒絶理由の通知 令和 1年12月 9日 意見書の提出 令和 2年 1月17日付け 拒絶査定 令和 2年 4月13日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は「乗用自動車」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願は、「乗用自動車」のフロントガラスに表れる長方形枠部分を意匠登録を受けようとする部分とし、当該部分は建物などの任意のターゲットを長方形枠で囲むというものですが、乗用車のフロントガラス上に何らかの情報を表示することは、例えば意匠1のように本願出願前に見られます。また、任意のターゲットを長方形枠で囲み表示することも、例えば意匠2〜意匠4のように、本願出願前から見られるものです。 そうすると、本願の意匠はこれらの意匠を基に当業者の知識を有する者が容易に創作出来たものと認められます。 (中略) 意匠1 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1506936号の意匠 意匠2 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2007−159036 図2〜図7に表された画像の意匠 意匠3 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2012−063918 図5〜図15に表された画像の意匠 意匠4 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2015−133078 図6,図8,図9,図10,図13,図14に表された画像の意 匠」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「乗用自動車」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。 「本願意匠に係る物品は、ユーザーが見ているフロントガラス越しの風景に重ねてコンテンツを表示する機能を備えている。」 また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。 「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線及び二点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。一点鎖線で囲まれた領域に、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分が現れる。二点鎖線で囲まれた領域は、意匠登録を受けようとする部分以外の部分が現れる。左側面図は、右側面図と対称に表れるので省略する。背面図は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分のみ現れるので省略する。重量物のため底面図は省略する。本願における部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、フロントガラスに表示されるGUIであり、矩形状の該GUIの内側には、画像や動画等のコンテンツが表示される。すなわち、「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図9」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図18」に示す実線で囲まれた部分が、コンテンツ表示領域である。同GUIは、フロントガラス越しに見える建物等の有形物などの対象の表面に重畳表示されるコンテンツのフレームである。同GUIは、「A−B間部分のC−C線拡大断面図」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図28」に示すように、車両の走行中、走行状況(移動状況)に応じてリアルタイムで更新される。すなわち、「A−B間部分のC−C線拡大断面図」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図8」に示す車両位置では同GUIは存在しないが、「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図9」に示す車両位置に車両が移動すると、同GUIが現れる。このように、同GUIは、ユーザーから重畳対象までの距離、ユーザー視覚内速度等が基準値を満たす場合などにユーザーの視覚内に表示させることが適切であると判断されて、フロントガラスに現れる。次に、「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図10」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図17」に示す車両位置に車両が移動すると、本願における重畳対象である建物が徐々に近づいて来るため、同GUIは壁面の向きに合わせて矩形を変化させる。このように、同GUIの大きさ、形状が徐々に変化することで、車両の走行状況に応じてあたかもフロントガラス越しに見える有形物などの壁面にコンテンツが実際に表示されているかのような見え方が実現される。そして、「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図18」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図28」に示す車両位置では、本願における重畳対象である建物がフロントガラス越しの風景から消失するため、同GUIは存在しない。なお、本願では、時系列的に同GUIが徐々に変化する様子を、変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図9」〜「変化後のA−B間部分のC−C線拡大断面図18」に示す各時点を選択して図示しているが、これらの各時点の間にも同GUIの形状は徐々に変化し続ける。」 これらの願書の記載によれば、本願物品である乗用自動車のフロントガラス(ユーザーが見ている側)に、フロントガラス越しに見える建物等の有形物などの対象の表面に重畳表示されるように、ユーザー(運転者)に対して画像や動画等のコンテンツが表示される。 (2)本願物品のフロントガラスに表された画像 前記(1)のとおり、本願物品のフロントガラスには画像や動画等のコンテンツが表示され、上記「意匠の説明」によれば、そのコンテンツのフレーム(GUI)は、ユーザーから重畳対象までの距離、ユーザー視覚内速度等が基準値を満たす場合などにフロントガラスに現れる。そうすると、このフレームは本願物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像であることは明らかであり、本願物品(乗用自動車)は意匠法の対象とする物品であって、フレームの画像は本願物品に記録された画像であると推認できる。したがって、本願物品のフロントガラスに表された画像(フレームを含む)は、意匠法第2条第1項に規定する物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合と認められる(以下、本願物品のフロントガラスに表された画像を「本願画像」という。)。 本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、上記「意匠の説明」によれば、フレームの画像が表されている一点鎖線で囲まれた領域(以下「本願画像部分」という。)であって、二点鎖線で囲まれたフレームの内側(コンテンツが破線で示されている)は本願画像部分を構成しない。なお、本願画像部分において、破線で示された建物や道路などは本願画像部分を構成しない。 (3)本願画像部分の用途及び機能 上記「意匠の説明」によれば、本願物品が移動し、重畳対象である建物が徐々に近づくにつれて、建物の壁面の向きに合わせてフレームが変化し、あたかもフロントガラス越しに見える有形物などの壁面にコンテンツが実際に表示されているかのような見え方をユーザーに対して実現する用途及び機能を有している。 (4)本願画像における本願画像部分の位置、大きさ及び範囲 本願画像内に一点鎖線で囲まれた本願画像部分は、横長長方形状(縦横比は約2:5)であって、フロントガラス(ユーザーが見ている側)の大部分の位置、大きさ及び範囲を占めている。 (5)本願画像部分の形態 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図」(当審注:願書の「意匠の説明」中の「A−B間部分のC−C線拡大断面図」はこれを指すと推認される。)ないし「同8」、及び「同19」ないし「同28」にはフレームが表されておらず、「同9」ないし「同18」にフレームが表されているので、これららの図におけるフレームの形状、大きさ、位置を認定する。 ア 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図9」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約6/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれて微かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約69:31に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物(破線であらわされており本願画像部分を構成しない。)のみぞおちから両脚までが示されている。 イ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図10」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約5/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれて微かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約70:30に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物のみぞおちから両脚までが示されている。 ウ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図11」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約7/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれてごく僅かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約71:29に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物のへそから両脚までが示されている。 エ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図12」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約8/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれてごく僅かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約73:27に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物のへそから両脚までが示されている。 オ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図13」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約8.5/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれて僅かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれてごく僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約77:23に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物のへそから両脚までが示されている。 カ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図14」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約10/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれて僅かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれてごく僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約81:19に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物のベルト付近から両脚までが示されている。 キ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図15」における形態 フレームは略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約12/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれて僅かに左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれてごく僅かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約85:15に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物の腰部から両脚までが示されている。 ク 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図16」における形態 フレームは左に傾いた略縦長倒コ字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約7/10であり、フレームの上端は本願画像部分の上端と一致し、フレームの横幅は本願画像部分の横幅の約13.5/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれてやや左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて微かに下方に傾いている。 フレームの中心は本願画像部分を左から右に約89:11に内分する位置にある。 なお、フレーム内には、人物の局部から両脚までが示されている。 ケ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図17」における形態 フレームは左辺が左に傾いた略L字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約5/8であり、フレームの上端と右端が本願画像部分の上端と右端にそれぞれ一致し、フレームの上端の横幅は本願画像部分の横幅の約13/100であり、フレームの下端の横幅は本願画像部分の横幅の約12/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれてやや左方に傾いている。 なお、フレーム内には、人物の股下から右足までが示されている。 コ 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図18」における形態 フレームは左に傾いた略L字状であって、縦幅は本願画像部分の縦幅の約3/5であり、フレームの上端と右端が本願画像部分の上端と右端にそれぞれ一致し、フレームの上端の横幅は本願画像部分の横幅の約7/100であり、フレームの下端の横幅は本願画像部分の横幅の約6/100である。 フレームの左右の枠線は上にいくにつれてやや左方に傾いており、下の枠線は右にいくにつれて僅かに上方に傾いている。 なお、フレーム内には、人物の右ふくらはぎが示されている。 サ フレームの形態の変化について 「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図9」から「変化後のA−B部分のC−C線拡大断面図18」に至るフレームの形態は、本願画像部分の横幅に占める横幅の割合がしだいに大きくなり、左右の枠線が左にしだいに傾き、最終的には下の枠線が上方に傾くように変化している。 2 引用意匠の認定 原査定における拒絶の理由で引用された意匠について、以下のとおり認定する。これらの意匠は、いずれも日本国特許庁が発行した公報に記載されたものであり、公報の種別や図の名称は前記第3のとおりである。 (1)意匠1(公報発行日は2014年9月16日。別紙第2参照) ア 意匠1の用途及び機能 意匠1は、意匠に係る物品が「自動車用情報表示器」であって、自動車のフロントガラスに投影される画像に、車外の危険要因に対する警告表示がなされるものである。 イ 本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲 意匠1における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠1部分」という。)は、横長のフロントパネル(破線部の形状を含む)における縦横比が約2:5相当の位置、大きさ及び範囲であり、実線で表した部分を含む。 ウ 意匠1部分の用途及び機能 意匠1部分は、車外前方に人などの障害物が現れたときに警告表示を表し、その障害物にドライバーの視線焦点があった瞬間に「く」字マークを表すなどの用途及び機能を有している。 エ 意匠1部分の形態 「正面図」(及び「画像部分の拡大図」)には、内部に十字状の模様を配した正方形状枠の上部に、内部にエクスクラメーションマーク様の模様を配した角丸三角形状区画(警告注意標識状の模様)を設けている。 「変化した状態を示す画像部分の拡大図1」では、正方形状枠の4つの角部に接するように、「く」字マークが出現している。 「変化した状態を示す画像部分の拡大図2」では、角丸三角形状区画が消失し、正方形状枠が小さくなって、「く」字マークが角部から離れている。 「変化した状態を示す画像部分の拡大図3」では、「く」字マークが消失している。 (2)意匠2(公開日は2007年6月21日。別紙第3参照) ア 意匠2の用途及び機能 意匠2には、「車両用表示装置」に係る画像が表されており、図2は車両用メーターユニットの第一実施例における通常表示状態と強調表示状態が表されている。図4、図5、図6及び図7は、それぞれ第二実施例、第三実施例、第四実施例及び第五実施例の強調表示状態が表されている。 イ 本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲 強調表示状態が表されている各図において、横長の暗視撮影画像表示部(120)がメーター表示部(110)内に表されており、図2(b)、図4及び図5の暗視撮影画像表示部の位置は右寄りであって、メーター表示部内の左側にはガソリン(燃料)残量メーター表示領域(103、103a)などが表されている。図6及び図7の暗視撮影画像表示部はメーター表示部内のほぼ一杯の大きさ及び範囲を占めている。 ウ 暗視撮影画像表示部の用途及び機能 図2(b)、図4、図5、図6及び図7の暗視撮影画像表示部は、障害物マーキング表示(122)を表す用途及び機能を有している。 エ 暗視撮影画像表示部の形態 図2(b)、図4、図5、図6及び図7の暗視撮影画像表示部には、上端部に横長の帯状マーキング表示(123)が配されており、中央右下には、人物(障害物)を囲うように障害物マーキング表示(122)が表され、障害物マーキング表示は図2(b)では略正方形状、その他の図では若干横長の四角形状である。 暗視撮影画像表示部の縦横比は、図2(b)では約7:16、図4では約7:15.5、図5では約7:10、図6及び図7では約7:18である。 (3)意匠3(公開日は2012年3月29日。別紙第4参照) ア 意匠3の用途及び機能 意匠3には、「車両用周囲画像表示装置」に係る画像が表されている。 図5は、枠線表示を含む表示用画像の「本実施例」を「比較例」と対比して示している。 図6(A)−(D)、図7(A)−(D)、図8(A)及び図8(B)、図9(A)−(D)は、枠線表示を含む表示用画像のその他の例を示している。 図11はフラッシング時における「本実施例」による表示用画像の状態の一例を示しており、図12はフラッシング時における「比較例」による表示用画像の状態の一例を示している。 図15は、図14のステップ1404で生成される枠線表示を含む表示用画像の一例を示している。 イ 枠線表示の用途及び機能 枠線表示は、車両周辺をカメラ撮影した画像内に注意対象物があることを制御装置が認識したときに、その注意対象物を囲み、撮影画像に重畳するように生成する用途と機能を有している。また、本実施例の枠線表示は2色の色で描画され、単色で描画された比較例の枠線表示に比べて、注意対象物周辺の画素状態の如何に拘わらず、注意対象物を強調して示すことができる用途及び機能を有している。例えば、図5の「比較例」では枠線表示が対向車のライトにより目立たなくなっているのに対して、「本実施例」では枠線表示が2色で描画されているので強調表示が維持される。さらに、外周部分(78)内をフラッシングさせることにより、ユーザー(運転者)の注意を引く用途及び機能を有している。 ウ 各画像の形態 (ア)図5の画像の形態 縦横比約2:3の画像内に、左端寄りと右端部に同形同大の縦長長方形状の枠が表されている。枠は、全高:全幅が約14:11であり、枠の太さは全幅の約1/8である。 本実施例の枠は、内側と外側の縁が暗調子に表され、枠の内部が明調子に表されている。比較例では、枠の全てが明調子に表されている。 (イ)図6の画像の形態 縦横比約2:3の画像内に、左端寄りと右端部に同形同大の縦長長方形状の枠が表されている。枠は、全高:全幅が約14:11であり、枠の太さは全幅の約1/8である。 (A)では枠の外縁が暗調子に表され、(B)では枠の内縁が暗調子に表され、(C)では枠の外縁と内縁に暗調子の破線が表されて、いずれも枠の内部が明調子に表されている。(D)では、枠自体が、暗調子区画と明調子区画が繰り返されて表されている。 (ウ)図7の画像の形態 縦横比約2:3の画像内に、左端寄りと右端部にほぼ同形の枠が表されている。枠の形状は、(A)−(D)で異なっている。 a (A)の枠形状 上半部が┌ ┐の形状であり、下半部が└ ┘の形状であって、両者の間には隙間がある。枠自体の外側半分が暗調子に、内側半分が明調子に表されて、前者の長さが後者よりも若干短く表されている(暗調子の┌┐└ ┘が明調子のそれに比べて若干短い)。 b (B)の枠形状 ┌ ┐の形状であり、右端の枠の全幅は、左寄りの枠の全幅に比べてやや小さい。枠自体の外側半分が暗調子に、内側半分が明調子に表されて、前者の長さが後者よりも若干短く表されている(暗調子の┌┐が明調子のそれに比べて若干短い)。 c (C)の枠形状 └ ┘の形状であり、右端の枠の全幅は、左寄りの枠の全幅に比べてやや小さい。枠自体の外側半分が暗調子に、内側半分が明調子に表されて、前者の長さが後者よりも若干短く表されている(暗調子の└┘が明調子のそれに比べて若干短い)。 d (D)の枠形状 略楕円形状であり、枠の外縁と内縁が暗調子に表されて、枠の内部が明調子に表されている (エ)図8の画像の形態 縦横比約2:3の画像内に、左端寄りと右端寄り又は右端部に同形同大の枠が表されている。 (A)では明調子の縦長長方形状(縦横比14:11)の枠の右下背後に近接して同形同大の暗調子の枠が配されている。(B)では上半部が┌┐の形状であり、下半部が└ ┘の形状であって、両者の間には隙間がある。明調子の┌ ┐└ ┘の右下背後に近接して暗調子のそれが配されている。 (オ)図9の画像の形態 縦横比約2:3の画像内に、左端寄りと右端部に同形同大の縦長長方形状の枠が表されている。枠は、全高:全幅が約14:11であり、枠の太さは全幅の約1/8である。 (A)では枠の外縁の┌ ┐└ ┘が暗調子に表され、(B)では枠の内縁の┌ ┐└ ┘が暗調子に表され、(C)では枠の外縁と内縁の┌┐└ ┘が暗調子に表されて、いずれも枠の内部が明調子に表されている。(D)では、枠自体(明調子)の内部に、暗調子の┌ ┐└ ┘が表されている。 (カ)図11の画像の形態 縦横比約5:7の画像内に、上下に余地部を残して左右ほぼ一杯に横長長方形状(縦横比約4:7)の外周枠(外周部分78)が設けられ、その内側の中央やや右側に略角丸縦長長方形状の枠が表されている。枠の縦横比は約3:1であり、枠の横幅は外周枠横幅の約1/16である。 (A)では外周枠内がほぼ暗調子に表され、(B)では外周枠内がほぼ明調子に表されている。(A)と(B)は、交互に繰り返し変化する(フラッシング)。 枠は、内側と外側の縁が暗調子に表され、枠の内部が明調子に表されている(フラッシング時における「本実施例」)。 (キ)図11の画像の形態 縦横比約5:7の画像内に、上下に余地部を残して左右ほぼ一杯に横長長方形状(縦横比約4:7)の外周枠(外周部分78)が設けられ、その内側の中央やや右側に略角丸縦長長方形状の枠が表されている。枠の縦横比は約3:1であり、枠の横幅は外周枠横幅の約1/16である。 (A)では外周枠内がほぼ暗調子に表され、(B)では外周枠内がほぼ明調子に表されている。(A)と(B)は、交互に繰り返し変化する(フラッシング)。 枠は、枠の全てが明調子に表されている(フラッシング時における「比較例」)。 (ク)図15の画像の形態 縦横比約4:7の画像内に、中央部から左端にかけて横長長方形状の枠が表されている。枠は、縦横比が約1:2であり、枠の太さは全幅の約1/24である。 本実施例の枠は、内側と外側の縁が暗調子に表され、枠の内部が明調子に表されている。比較例では、枠の全てが明調子に表されている。 (4)意匠4(公開日は2015年7月23日。別紙第5参照) ア 意匠4の用途及び機能 意匠4には、「制御用対象物認識装置」に係る画像が表されており、主たる用途及び機能は、ステレオカメラの左右画像をそれぞれ示すこと(図6(a)及び(b))、撮像画像内に設定される物体候補領域を示すこと(図8)、物体認識処理で認識された各検出対象物の画像領域A、C、Eを示すこと(図13(a))、及び各検出対象物の追尾結果領域A′、C′、E′を示すこと(図13(b))である。 イ 物体候補領域、画像領域及び追尾結果領域について 図8には物体候補領域を囲う枠が6つ表されているところ、この枠は、検出対象物の候補領域を設定する矩形ブロックを示しており、矩形ブロックの位置及び大きさは座標によって特定される(図9)。図10は、図8(撮像画像)に対応する視差画像を模式的に示した図である。 図13(a)には画像領域を囲う枠が3つ表されているところ、この枠は各検出対象物の画像領域を示しており、図13(b)の枠は、次のフレームで撮像された撮像画像中の最も類似度の高い追尾結果領域を示している。図14は、図13(撮像画像)に対応する視差画像を模式的に示した図である。 ウ 図8及び図13の形態 枠が表された図8及び図13の形態について認定する。 (ア)図8の画像の形態 縦横比約3:4の画像内に、大小の6つの横長長方形状の枠が表されている。枠は、縦横比が約10:11であり、枠は明調子に表されている。 (イ)図13(a)の画像の形態 縦横比約3:4の画像内に、大小の3つの略正方形状の枠が表されている。枠は明調子に表されている。 (ウ)図13(b)の画像の形態 縦横比約3:4の画像内に、大小の3つの縦長長方形状の枠が表されている。枠は、縦横比が約11:10であり、枠は明調子に表されている。 3 本願意匠の創作非容易性について 本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。 まず、本願物品が、ユーザーから見てフロントガラスに建物等の有形物などの対象の表面に重畳表示されるように、画像や動画等のコンテンツが表示されるものであるところ、撮影画像に重畳するように枠線表示を生成する画像は、意匠3のように本願の出願前に既に見受けられる。しかし、意匠3の枠線表示は、画像内の注意対象物を囲うものであって、本願物品のように枠線表示内に画像や動画等のコンテンツが表示されるものではない。同様に、意匠1、意匠2及び意匠4の画像も、画像や動画等のコンテンツが表示されるものではない。したがって、フロントガラスに建物等の有形物などの対象の表面に重畳表示されるように画像や動画等のコンテンツが表示される物品の形態は、意匠1ないし意匠4には表されていないので、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。 次に、本願画像部分の用途及び機能が、徐々に近づく建物の壁面の向きに合わせてフレームが変化し、あたかもフロントガラス越しに見える有形物などの壁面にコンテンツが実際に表示されているかのような見え方を実現することであるところ、引用された意匠1ないし意匠4はそのような用途及び機能を有していないから、本願画像部分の用途及び機能を有する画像の形態は、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。 そして、本願画像部分の形態は、前記1(5)サで認定したとおり変化しており、横幅の割合がしだいに大きくなり、左右の枠線が左にしだいに傾き、最終的には下の枠線が上方に傾くような変化は、重畳表示の対象である建物の壁面のパースの変化に合わせた変化であり、本願画像部分に特有の変化であると認められる。このような形態は、意匠1ないし意匠4には表されていないので、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。 したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-09-23 |
出願番号 | 2018028172 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(G2)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
濱本 文子 小林 裕和 |
登録日 | 2020-10-15 |
登録番号 | 1671702 |
代理人 | 井上 美和子 |
代理人 | 渡邊 薫 |