• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1403715 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-01 
確定日 2023-10-24 
意匠に係る物品 半てん 
事件の表示 意願2022− 4118「半てん」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和4年(2022年)3月1日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和4年(2022年) 8月15日付け 拒絶理由通知
同年 9月30日 意見書の提出
同年 10月21日付け 拒絶査定
令和5年(2023年) 2月 1日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「半てん」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)

以下のアドレスにおいて掲載された「半纏」の意匠

著者の氏名: godisru
表題: Godisru(ゴディスル)official(@godisru)・Instagram 写真と動画
掲載箇所: 商品画像(添付イメージ参照)
媒体のタイプ: [online]
掲載年月日: 2021年10月18日
検索日: [2022年8月10日検索]
情報の情報源: インターネット
情報のアドレス:https://www.instagram.com/p/CVKh_OErM_7/

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共に「半てん(半纏)」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点
(ア)全体は、前身頃と後身頃をつなぎ合わせ、左右上端に筒状の長袖を一体状に取り付けた前開きの短衣であって、後襟から前襟に沿って帯状の縁取りを形成している点、
(イ)前襟の胸元から下端まで、線ファスナーを取り付けている点、
(ウ)袖口にリブを設け、リブの内側から略短筒状のドルマンスリーブを突出して形成している点、
(エ)前身頃の左右の下端寄りに大ぶりな略矩形状のポケットを取り付けている点、において共通する。

イ 相違点
裏地の色彩について、本願意匠は、前身頃及び後身頃の裏地が金属色(銀色)であるのに対し、引用意匠は、後襟の付け根付近に金属色が施されているが、裏返した状態の図の開示がないため全体としては不明である点、において相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価
共通点(ア)から共通点(エ)は、相まって、両意匠の基調を形成しており、需要者に強い共通感をもたらしているから、これら共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。

イ 相違点の評価
相違点は、裏地の色彩についてであるが、裏地は、使用状態において隠れてしまう部位であり、格別、需要者の関心が高いものとはいえないことから、その差異のみによって、両意匠を別異のものとする程の大きな相違とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるのに対し、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいから、両意匠の形状等は類似するものである。

(3)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であり、形状等においても類似するものであるから、本願意匠と引用意匠は類似するものである。

3 引用意匠を、本願の新規性喪失の例外規定の適用における「先の公開に基づく関係にある」ものと認めるか否かについて
当審は、本願意匠について、意匠法4条2項の規定の適用を受けるために本願の出願人(請求人のこと)が提出した「新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」(以下「証明書」という。)及び審判請求書に基づいて、引用意匠が、証明書と「先の公開に基づく関係にある」とし、その後に公開された意匠について証明書の省略が認められるものの対象となって、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるべきものであるか否かについて、以下のとおり判断する。

(1)証明書に記載された意匠
ア 証明書について
本願について提出された証明書には、3件の公開の事実に基づいて証明書に記載された意匠が添付されており、そのうち、下記の公開の事実1:ウェブサイトへの掲載(クラウドファンディングの実施)が、引用意匠と最も掲載内容が似た最先の公開と認められるから、まず、当該公開の事実1に記載のウェブサイトのアドレスに掲載された「半纏」の意匠(以下「証明書記載意匠」という。)を認定し、証明書記載意匠が意匠の新規性の喪失の例外の適用を受けるか否かについて判断する。

[公開の事実1]全14頁
(ア)ウェブサイトの掲載日:2021年7月31日
(イ)ウェブサイトのアドレス:https://www.makuake.com/project/goisuru2/
(ウ)公開者:株式会社HEART・LAND
(エ)証明書記載意匠:2/14頁、他に掲載の「半纏」の意匠

イ 証明書記載意匠に対する意匠の新規性の喪失の例外の適用について
本願は、令和4年(2022年)3月1日の出願で、その出願人は、株式会社HEART・LANDであり、証明書記載意匠は、前記アのとおり、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠であって、本願がその該当するに至った日から1年以内に意匠登録を受ける権利を有する者がした意匠登録出願である事実が認められることから、証明書記載意匠は、意匠法4条2項による意匠の新規性の喪失の例外の適用を受けることができるものである。

(2)証明書記載意匠と引用意匠との関係
まず、証明書記載意匠について、証明書の「公開の事実1」の9/14頁を見ると、上端寄りに見られるプリントネームに「Godisru」の記載が確認できるが、この「Godisru」は、株式会社HEART・LANDが商標登録(商標登録第6071981号、他)したブランド名である。
これに対し、引用意匠は、前記第2の表題のとおり、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のインスタグラムに投稿された公開意匠であるが、引用意匠の右側上方寄りに「Godisru」の表記が確認できることから(別紙第2)、本願の出願人と同一人による公開意匠であると強く推認できるものである。
次に、証明書記載意匠と引用意匠の意匠に係る物品及び形状等についてであるが、意匠に係る物品は、いずれも「半纏」であるから、同一であり、また、形状等についても、証明書の「公開の事実1」の7/14頁の上段右側の「BLACK」の意匠と引用意匠は、同一であるから、証明書記載意匠と引用意匠とは、同一のものである。
そして、引用意匠の公開日は、2021年10月18日であり、本願の出願日はこの日から1年以内である。

(3)引用意匠に対する、本願における意匠の新規性の喪失の例外の適用の判断
同一人が、様々なウェブサイトやSNSを利用して商品等を広告掲載することは通常行われているものであるところ、審判請求書の「引用意匠の公開は、「公開の事実1」に係るクラウドファンディングが条件未達で失敗したことにより、クラウドファンディングの写真撮影に使用した「BLACK」のサンプル1点を、クラウドファンディングで支援を表明していただいた方への感謝の意味で行った、クラウドファンディング終了報告兼、支援者への感謝プレゼントであるから、少なくとも出願人の認識としては、クラフトファンディングと引用意匠の公開とは、別個に行われたものではない」から、引用意匠は、証明書の「公開の事実1」に紐付けられるものであるとの主張は、客観的に見て、合理性があるものと認められ、これを否定する理由はない。
そうすると、引用意匠は、前記(2)のとおり、証明書記載意匠と同一であり、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠であり、かつ、本願がその該当するに至った日から1年以内に意匠登録を受ける権利を有する者がした意匠登録出願である事実が認められるから、引用意匠についても、証明書記載意匠と同様に、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるべきものである。

4 小括
したがって、引用意匠は、本願意匠と類似するものであるが、引用意匠は意匠の新規性の喪失の例外の適用を受けることができ、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるので、引用意匠をもって、本願意匠が意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当することはない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとはいえないので、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲



審決日 2023-10-12 
出願番号 2022004118 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
尾曲 幸輔
登録日 2023-10-31 
登録番号 1757098 
代理人 前田・鈴木国際特許弁理士法人 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ