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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1403716 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-15 
確定日 2023-09-26 
意匠に係る物品 電気刺激装置 
事件の表示 意願2021− 21876「電気刺激装置」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和3年(2021年)10月8日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 5月19日付け 拒絶理由通知書
同年 8月 2日 意見書提出
同年 11月18日付け 拒絶査定
令和5年(2023年) 2月15日 審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「電気刺激装置」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「正面図、A−A線で切断した拡大断面図、B−B線で切断した拡大断面図において、桃色で着色した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)

大韓民国意匠商標公報 2020年10月30日
「玄関灯のリモートコントロール」(登録番号30−1080860)の意匠の本願に相当する部分
(特許庁意匠課公知資料番号第RH02437715号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、身体に電極を装着して電気刺激を与えることで鎮痛や筋委縮の改善を図るための「電気刺激装置」であるのに対し、引用意匠は、照明器具の点消灯や照度調整を行うための「玄関灯のリモートコントロール」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致しない。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能
本願部分は、治療条件の設定等を行う操作ボタン並びに当該操作ボタンに接する筐体の周縁であるのに対し、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)は、玄関灯の点消灯や照度調整を行う操作ボタン及び当該操作ボタンに接する筐体の周縁であるから、両部分の用途及び機能は、一致しない。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、正面中央下端寄りに位置し、正面全体の約1割弱の大きさ及び範囲であるのに対し、引用部分は、正面中央上端寄りに位置し、正面全体の約1割強の大きさ及び範囲であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致しない。

(4)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、本願部分について、断面形状にのみ表れ、外観上視認できない部分については、本願部分の構成要素として認定しないものとする。

ア 共通点
両部分は、筐体の左右中央に形成した略円形孔に略円盤状の操作ボタンを近接して取り付けたものであって、操作ボタンの表面は外縁に向かって傾斜面状に形成している点において、共通する。

イ 相違点
(ア)操作ボタン
本願部分は、操作ボタンを二重円状とし、外側に回転ダイヤルを配置し、内側に略円盤状のボタンを設けたものであるのに対し、引用部分は、回転ダイヤルのない略円盤状の操作ボタンで、真ん中を略凹球面状に形成している点、
(イ)筐体の周縁
本願部分は、筐体の周縁を斜めに切り欠いているのに対し、引用部分は、筐体の周縁をさじ面状に形成している点において、相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致しないから、相違する。

(2)両部分の用途及び機能
両部分の用途及び機能は一致しないから、相違する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分の位置、大きさ及び範囲は一致しないから、相違する。

(4)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価
一般に、電子機器の物品分野において、筐体の左右中央に略円形孔を形成して略円盤状の操作ボタンを取り付けたものは、例を挙げるまでもなく、両部分以外にもごく普通に見られるものであり、また、操作ボタンの表面を外縁に向かって傾斜面状に形成したものも、本願の出願前から公然知られているものであるから(例えば、意匠登録第1493994号。)、需要者が特に注目するものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
相違点(ア)について、操作ボタンを二重円状とし、外側に回転ダイヤルを配置し、内側に略円盤状のボタンを設けた本願部分と、回転ダイヤルのない略円盤状の操作ボタンで、真ん中を略凹球面状に形成している引用部分とは、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)について、本願部分の筐体の周縁に施した切欠きは、さほど目立つものではないが、筐体の周縁をさじ面状に形成している引用部分との比較においては、需要者に別異の視覚的印象をもたらしているというべきであるから、両部分の類否判断に一定の影響を与えるものといえる。

(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が相違し、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲が相違し、形状等においても、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点(ア)が両部分の類否判断に与える影響は大きく、相違点(イ)も両部分の類否判断に一定の影響を与えているから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2023-09-12 
出願番号 2021021876 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 尾曲 幸輔
内藤 弘樹
登録日 2023-10-25 
登録番号 1756750 

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