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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1403723 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-05-18 
確定日 2023-10-24 
意匠に係る物品 LED線形灯 
事件の表示 意願2022− 11672「LED線形灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和4年(2022年)5月31日(パリ条約による優先権主張2021年12月14日 中華人民共和国)の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 9月13日付け :拒絶理由の通知
同年 11月16日 :意見書の提出
同年 同日 :手続補正書の提出
令和5年(2023年) 2月15日付け :拒絶査定
同年 5月18日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「LED線形灯」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1517731号
(意匠に係る物品、天井直付け灯)の意匠

第4 対比
以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。

1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「LED線形灯」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、「天井直付け灯」であり、表記は異なるものの、いずれも天井に取り付けて使用する照明器具であるから、両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2 両意匠の形状等の対比
両意匠の形状等には、主として、以下の共通点及び相違点がある。
(共通点1)全体は、基部の前方に、平面視略台形状の柱状体である発光部を取り付けたものであり、基部は、背面視中央の縦長の略箱体部の平面と底面に略台形状の板を接合し、両側面に後方に傾斜した板を設けたものである。
(共通点2)発光部と基部の平面と底面(以下、平面と底面をまとめて「端面」という。)において、発光部の斜面が基部の斜面よりも急勾配に形成された点。
(共通点3)発光部の長手方向における長さが、基部のそれよりも僅かに短く、両端面における発光部と基部の接合部に段差が表れる点。

(相違点1)端面における発光部と基部の高さの比について、本願意匠は、約3:4であるのに対し、引用意匠は、約1:2である点。
(相違点2)端面における発光部と基部の幅の比について、本願意匠は、約1:2であるのに対し、引用意匠は、約3:8である点。
(相違点3)正面視における縦横比について、本願意匠は、約8:1であるのに対し、引用意匠は、約5:1である点。
(相違点4)発光部について、本願意匠は、各辺にほぼ同幅の僅かな面取りが施されているのに対し、引用意匠は、平面視左下及び右下の角部にのみ比較的大きな面取りが施されている点。
(相違点5)基部の端面の態様について、本願意匠は、中央に円形状ノックアウト部が設けられるのに対し、引用意匠は、中央の天井に接する位置にU字状ノックアウト部及び両端部付近に小円形状部が設けられる点。
(相違点6)箱体部の背面視について、本願意匠は、取り付けのための各種形状が表されているのに対し引用意匠は、中央の円形状部のみが表されている点。

第5 判断
1 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。

2 両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、天井に取り付けて使用する「LED線形灯」であり、当該物品分野の需要者は、主に、使用者、製造業者、販売業者及び取引業者が含まれる。そして、需要者の注意を引く部位は、基本的な構成要素である発光部及び基部といえ、これら形状等について評価し、かつ、それ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価することとする。

(1) 共通点の評価
(共通点1)の基本的構成態様について、LED線形灯の分野において、両意匠のように発光部を平面視略台形状の柱状体とし、基部を、背面視中央の縦長の略箱体部の平面と底面に略台形状の板を接合し、両側面に後方に傾斜した板を設けたものとすることは、両意匠以外にも一般に見られるものであり(参考意匠1、2 別紙第3、4参照)、需要者が特に注目するものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点2)の発光部と基部の斜度に差を設けることについて、両意匠以外にも一般に見られるものであり(参考意匠2、別紙第4参照)、需要者が特に注目するものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点3)の両端面における段差については、極めて部分的な箇所における僅かな共通点といえ、需要者は注目しないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(2) 相違点の評価
(相違点1)の端面における発光部と基部の高さの比の相違について、当該部の比を種々のものとすることは、この種物品の分野において、よく行われている造形手法であるものの、両意匠の相違は著しいものであるため、需要者は注目し、両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
(相違点2)の端面における発光部と基部の幅の比の相違について、当該部の比を種々のものとすることは、この種物品の分野において、よく行われている造形手法であり、その相違も需要者の注意を引くほどのものではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点3)の正面視における縦横比の相違について、この種物品の分野において、当該部の比を種々のものとすることは、この種物品の分野において、よく行われている造形手法であり、その相違も需要者の注意を引くほどのものではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点4)の発光部の面取り態様について、この種物品は、天井に取り付けて使用することとなり、需要者は下から見上げるため、発光部の形状等は最も注目される部位のひとつといえる。そして、機能上シンプルな形状が要求される発光部においては、面取り態様の相違によって、需要者の受ける印象が大きく異なる。これらを鑑みると、引用意匠に施された平面視左下及び右下の角部の比較的大きな面取りは、角をとってより丸みを持たせた印象を形成するものであり(引用意匠 「拡大右側面図」及び「内部機構を省略したA−A断面拡大図」参照)、本願意匠の面取りが形成する印象とは別異の印象を与えるものであるから、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点5)基部の端面の態様の相違について、当該部は、通常使用時において室内に露出する部分であり、需要者は小円形状部の有無や、形状及び配置の異なるノックアウト部に注目するといえるから、両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
(相違点6)箱体部の上面の相違について、当該部は、取り付け時のみに注意を引くが、通常使用時には見えない部位であり、需要者が注目する機会も少なく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(3)両意匠の形状等の類否判断
共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠を、全体として総合的に観察し、判断した場合、(共通点1)から(共通点3)並びに(相違点2)、(相違点3)及び(相違点6)は、両意匠の類否判断に与える影響が小さいのに対し、(相違点1)及び(相違点5)は、両意匠の類否判断に与える影響が一定程度あり、(相違点4)は、両意匠の類否判断に与える影響が大きい。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。

3 小括
以上のとおり、両意匠の意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形状等においては、相違点の類否判断に与える影響が共通点のそれを凌駕しており、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。









審決日 2023-10-11 
出願番号 2022011672 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
尾曲 幸輔
登録日 2023-11-06 
登録番号 1757366 
代理人 万野 秀人 

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