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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1404861 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-01-24 
確定日 2023-11-20 
意匠に係る物品 アスピレーター 
事件の表示 意願2021− 12147「アスピレーター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、2020年(令和2年)12月7日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う令和3年6月7日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和4年 2月18日付 :拒絶理由通知書
5月23日 :期間延長請求書の提出
7月22日 :意見書の提出
10月21日付 :拒絶査定
令和5年 1月24日 :審判請求書の提出
3月 3日 :手続補正書の提出
(補正対象書類名:審判請求書)
6月 6日付 :審尋
9月 7日 :期間延長請求書の提出
10月10日 :回答書の提出
10月10日 :手続補正書の提出
(補正対象書類名:意匠登録願)
(補正対象項目名:意匠に係る物品の説明)

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「アスピレーター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものと認められるため、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は次のとおりである(別紙第2参照)。

電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2008年 5月19日
受入日 特許庁意匠課受入2008年 5月23日
掲載者 アトムメディカル株式会社
表題 製品情報−−新生児・未熟児用機器
掲載ページのアドレス http://www.atomed.co.jp/product/pages/n_21395.
html
に掲載された「スポイト吸引器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20006004号)

第4 当審の判断
1 本願意匠
本願意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によると、以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「アスピレーター」であり、人体の空洞部分や孔部分に先端部の上部を入れ、吸引力を用いて、例えば鼻水などの物質を除去するための物品であると認められる。
(2)意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能
本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、正面視において意匠に係る物品の全体高さの略中央付近に施された2つの矢印模様部分を除く全ての部分に係る位置、大きさ及び範囲であって、意匠に係る物品の全体とほぼ同等の用途及び機能を有するものと認められる。
(3)本願部分の形状等
〔A1〕本願部分の全体は、上半部を構成するノズル部と下半部を構成する本体部とから成る。
〔A2〕ノズル部は、最上部(先端)から水平状細線が表された位置までの吸引口部、及び、当該水平状細線から本体部接続位置までの接続基部から成り、
〔A2−1〕吸引口部は、下方側から上方側にかけて漸次縮径する円形断面の管状体で、上方側の外周面を背面側に僅かに湾曲傾斜させた態様のものであり、延伸方向に対して略垂直にカットされた管状体の先端部は、水平面に対して約20度傾斜している。
〔A2−2〕接続基部は、径は異なるがいずれも円形断面である吸引口部下方と本体部上方の両外周面をスムーズに接続する、上下方向の中間部が中心に向けて弧状に凹陥した略円錘台面形状で、本体部と接続する下端縁は明確な境界線として視認される態様のものである。
〔A3〕本体部は、略球体状であり、赤道部には細幅鍔状の凸条が、底部には径が赤道部比で約半分弱である高台状の低い凸環状部が、それぞれ形成されている。

2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「スポイト吸引器」であり、引用意匠が掲載された製品情報ページにおける「握りやすいバルーンにより容易に吸引力を調節できるので、赤ちゃんの鼻水や口・鼻に溜まった分泌物を無理なく吸い取れます。」及び「先端に丸みがあり、赤ちゃんの鼻や口の粘膜を傷つけにくい形状です。」の記載を参酌すると、先端部を乳幼児の鼻口に差し入れて鼻水等の分泌物を吸引除去するための物品であると認められる。
(2)本願部分に相当する部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能
本願部分に相当する引用意匠の部分(以下「引用部分」という。)は、引用意匠の意匠に係る物品のうち、本願意匠における2つの矢印模様部分に相当する全体高さの略中央付近の部分を除く全ての部分に係る位置、大きさ及び範囲であって、意匠に係る物品の全体とほぼ同等の用途及び機能を有するものと認められる。
(3)引用部分の形状等
〔B1〕引用部分の全体は、上半部を構成するノズル部と下半部を構成する本体部とから成る。
〔B2〕ノズル部は、本願部分の吸引口部に相当する部分、及び、本願部分の接続基部に相当する部分から成り(以下、それぞれ単に「吸引口部」、「接続基部」という。)、
〔B2−1〕吸引口部は、下方側から上方側にかけて漸次縮径する円形断面の管状体で、全体が一直線状に延伸し、その外周面は略細長円錐面状である。
〔B2−2〕接続基部は、径は異なるがいずれも円形断面である吸引口部下方と本体部上方の両外周面をスムーズに接続する、上下方向の中間部が弧状に凹陥した略円錘台面形状であり、本体部とノズル部(接続基部)とを区画する境界線はなく、これらを一体的に形成した態様のものである。
〔B3〕本体部は、略球体状であり、赤道部には細幅鍔状の凸条が形成され、底部は赤道部比で約半分弱の径で低く突出しているものの、底部形状の詳細は不明である。

3 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は、具体的な表記は異なるものの、いずれも、鼻口に代表される人体の孔部から鼻水等の物質を吸引除去するための物品であることから、意匠に係る物品の用途及び機能が共通すると認められる。
(2)本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能
本願部分と引用部分は、意匠に係る物品の全体高さの略中央付近における模様部分以外の全ての部分に係るものと認められるため、本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能は、いずれも共通すると認められる。
(3)本願部分と引用部分の形状等
本願部分と引用部分の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
ア 共通点
〔共通点1〕本願部分及び引用部分の全体は、上半部を構成するノズル部と下半部を構成する本体部とから成る。
〔共通点2〕ノズル部は吸引口部及び接続基部から成り、吸引口部は、下方側から上方側にかけて漸次縮径する円形断面の管状体で、接続基部は、径の異なる吸引口部下方と本体部上方の両外周面をスムーズに接続する、上下方向の中間部が中心に向けて弧状に凹陥した略円錘台面形状である。
〔共通点3〕本体部は略球体状であり、赤道部には細幅鍔状の凸条が、底部には低い凸部が、それぞれ形成されている。
イ 相違点
〔相違点1〕ノズル部における吸引口部の形状について、本願部分は、管状体の上方側の外周面を背面側に僅かに湾曲傾斜させた態様のものであり、延伸方向に対して略垂直にカットされた先端部が水平面に対して約20度傾斜しているのに対し、引用部分は、管状体が湾曲傾斜なく一直線状に延伸しており、その外周面全体が略細長円錐面状を呈している。
〔相違点2〕ノズル部における接続基部について、本願部分は、本体部と接続する下端縁が明確な境界線として視認されるのに対し、引用部分は、本体部とノズル部(接続基部)とを区画する境界線はなく、これらが一体的に形成されている。
〔相違点3〕本体部の底部形状について、本願部分では高台状の低い凸環状部が形成されているのに対し、引用部分では、低く突出してはいるものの、底部形状の詳細は不明である。

4 判断
以上の共通点及び相違点を評価、総合し、本願意匠と引用意匠の類否について判断する。
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が同一であると認められる。
(2)本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能
本願部分と引用部分は、意匠に係る物品全体に占める位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能が共通する。
(3)本願部分と引用部分の形状等
ア 共通点の評価
〔共通点1〕ないし〔共通点3〕は、本願意匠及び引用意匠のような、人体に用いられる小型の手動吸引器の意匠において本願出願前から多数用いられている基本形の一といえるものであり、意匠に係る物品の需要者、すなわち、育児や看護・介護等を行う者は、意匠の選択において、これら基本的な構成態様に加え、使用時における細かな使い勝手等に影響し得るより具体的な構成態様にも注目するものと認められるため、これらの共通点が類否判断に及ぼす影響は限定的なものにとどまるといえる。
イ 相違点の評価
〔相違点1〕について、上方側の外周面を一方向に湾曲傾斜させるとともに、先端部を水平面に対して約20度傾斜させた本願部分の吸引口部は、人体の鼻口内に差し入れて鼻水等の分泌物を吸引除去するという意匠に係る物品の使用目的及び使用状態に照らすと、湾曲傾斜なく一直線状に延伸する引用部分の同部と比較して、使い勝手の観点から使用者に異なる使用感を与える形状になっていると認められる。
〔相違点2〕について、本体部と接続するノズル部(接続基部)の下端縁が明確な境界線として視認される本願部分においては、ノズル部と本体部とが分離可能な別部材により構成されていることも示唆されるため、この〔相違点2〕は、〔相違点1〕とも相まって、本願部分を独自に特徴付けるものとなっている。
これら〔相違点1〕及び〔相違点2〕に摘示したノズル部の具体的な構成態様における相違は、上記のとおり、意匠に係る物品の使用時における細かな使い勝手等にも影響するため、需要者の注意を強く引くといえ、当該部位におけるこれら相違点が類否判断に及ぼす影響は大きい。
〔相違点3〕、すなわち、本体部の底部形状について、引用部分については正確な立体形状が特定できないものの、いずれも使用時における押圧部又は不使用(起立)時における脚部であると推認され、ほぼ同径で低く突出した凸部が形成されている点では共通しているため、この相違点は、部分限定的なものにとどまり、類否判断に及ぼす影響は小さい。
ウ 小括
上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、本願部分と引用部分の形状等の共通点が類否判断に及ぼす影響は限定的であるのに対して、相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく、これら相違点の存在によって需要者に別異の美感を与えているというべきものであるため、本願部分と引用部分の形状等は、類似するとは認められない。
(4)本願意匠と引用意匠の類否
以上のとおり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が同一であり、本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲並びに用途及び機能が共通しているものの、本願部分と引用部分の形状等は類似するとは認められない。
よって、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえない。

第5 結び
以上のとおりであって、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲




審決日 2023-11-08 
出願番号 2021012147 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 伊藤 宏幸
江塚 尚弘
登録日 2023-12-08 
登録番号 1759702 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 山本 泰史 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 須田 洋之 
代理人 鈴木 博子 

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