• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1404865 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-04-24 
確定日 2023-11-28 
意匠に係る物品 集合住宅 
事件の表示 意願2021− 25096「集合住宅」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、意匠法4条2項の規定(新規性の喪失の例外)の適用を受けようとし、建築物の部分について意匠登録を受けようとする、令和3年(2021年)11月16日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 4年(2022年) 9月 8日付け 拒絶理由通知書
同年 10月21日 意見書の提出
令和 5年(2023年) 1月20日付け 拒絶査定
同年 4月24日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る建築物を「集合住宅」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、「正面図、左側面図、右側面図、A−A線拡大断面図、および右斜め正面側から見た斜視図において薄墨で塗った部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下、本願意匠において建築物の部分として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2021年 6月21日に受け入れた
2021年 6月 5日発行の内国雑誌「近代建築」6月号 75巻 69頁所載
「集合住宅」の意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RA03007660号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る建築物
本願意匠の意匠に係る建築物は「集合住宅」であり、引用意匠の意匠に係る建築物も「集合住宅」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る建築物は、一致する。

(2)本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能
本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分を合わせて「両部分」という。)の用途及び機能については、共に、建物の1階入口の庇及び両端の側壁(以下「1階部分」という。)と、2階ベランダの両端の側壁、中央の隔壁及び床(以下「2階部分」という。)であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
ア 位置
建物の1階と2階の正面において、
(ア)1階部分と2階部分は、正面及び側面を面一に揃えた位置で、やや隙間を空けて横一杯に配置し、
(イ)1階部分のうち、庇は上端、側壁は両側にそれぞれ位置し、
(ウ)2階部分のうち、側壁は両側、隔壁は中央、床は下端にそれぞれ位置しているから、一致する。

イ 大きさ及び範囲
(ア)正面における全体の高さ及び横幅
本願部分は、全高の約1/7の高さで、全幅の約9/10の横幅であるのに対し、引用部分は、全高の約1/8の高さで、全幅の約8/10の横幅であるから、ほぼ一致する。
(イ)正面における1階部分の高さ
本願部分は、全高の約1/15の高さであるのに対し、引用部分は、全高の約1/12の高さで、本願部分の方が引用部分より低いから、相違する。
(ウ)正面における2階部分の高さ
本願部分は、全高の約1/13の高さであるのに対し、引用部分は、全高の約1/26の高さで、本願部分の方が引用部分より高いから、相違する。

(4)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
全体は、1階部分の側壁は略縦長長方形板状で、庇は略横長角棒状で側壁の上端内側に水平に設けて、正面視略倒角括弧状とし、2階部分の側壁の下端内側に略横長長方形板状の床を水平に設置し、床中央に隔壁を設けている点において、共通する。

イ 相違点
(ア)正面視における1階部分と2階部分の態様について
本願部分は、1階部分と2階部分はすべて同じ幅(厚み)であるのに対し、引用部分は、2階部分の側壁及び隔壁の幅は床の幅より3倍程度幅広で、1階部分の幅より2倍程度幅広である点、
(イ)2階部分の側壁及び隔壁について
引用部分は、正面中央に大きな縦溝を形成しているのに対し、本願部分は、平坦面で縦溝は形成していない点において、相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置は、同一である。
両部分の大きさ及び範囲は、正面における全体の高さ及び横幅はほぼ一致するが、正面における1階部分及び2階部分の高さは相違する。しかしながら、この相違は、当該意匠の属する分野において、いずれもありふれた範囲内のものであって、両部分の類否判断に影響を与えないから、両部分の大きさ及び範囲は、類似する。

(4)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
以下、両部分の形状等について検討する。

ア 両部分の形状等の共通点の評価
この種、建築物の分野において、建物の1階部分の側壁と庇を正面視略倒角括弧状とし、2階部分のベランダ中央に隔壁を設けたものは、例えば、2021年8月24日公開のマンション「オーシャンテラス葉山」の意匠(参考意匠、別紙第3参照。)に見られるとおり、両部分の他にも見られる態様であって、両部分のみに共通する態様とはいえないことから、上記の共通点は、両部分の形状等を概括的に捉えた場合の共通する態様といわざるを得ず、これらの共通点が、両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。

イ 両部分の形状等の相違点の評価
まず、相違点(ア)について、正面視において、本願部分は、すべて等幅で統一感があるのに対し、引用部分は、2階部分の側壁及び隔壁の幅、床の幅、1階部分の幅がすべて異なるものであるから、全体的に統一感がなく、需要者に与える視覚的印象は大きく異なるものといえるから、相違点(ア)が、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
次に、相違点(イ)について、正面中央に大きな縦溝を形成している引用部分と、平坦面で縦溝は形成していない本願部分とは、視覚的に大きく異なるものといえ、上記の相違点(ア)と相まって、需要者に対して異なる美感を与えているというべきであるから、相違点(イ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

ウ 両部分の形状等の評価
以上のとおり、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(ア)及び相違点(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能が同一で、位置、大きさ及び範囲も同一か、両部分の類否判断にほとんど影響を与えないものであるが、形状等においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲







審決日 2023-11-15 
出願番号 2021025096 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
吉田 英生
登録日 2023-12-04 
登録番号 1759307 
代理人 デロイトトーマツ弁理士法人 
代理人 弁理士法人翔和国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ