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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1404868 |
総通号数 | 24 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-05-16 |
確定日 | 2023-10-31 |
意匠に係る物品 | Drinking bottle |
事件の表示 | 意願2022−500137「Drinking bottle」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)9月9日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、国際登録日を令和4年(2022年)2月16日とする、物品の部分について意匠登録を受けようとする、国際意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年(2022年) 8月29日付け :拒絶の通報 同年 11月29日 :意見書の提出 令和5年 2月14日付け :拒絶査定 同年 5月16日 :審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「Drinking Bottle」(参考訳:「飲料用ボトル」)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「the dashed lines depict portions of the drinking bottle that form no part of the claimed design.」(参考訳:「飲料用ボトルにおいて破線で描かれた部分は、登録を求める意匠の部分を構成しない。」)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 以下のウェブサイトの動画に表された飲料用ボトル「PRO」(本願意匠相当部分)の意匠 著者の氏名/名称 Facebook 表題 HydroJug Classic Vs HydroJug Pro 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2021年8月25日 検索日 [2022年8月26日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://www.facebook.com/hydrojug/videos/285132985 5180008/ 以下、本審決では、本願の意匠登録を受けようとする部分を、「本願部分」、引用意匠のうち本願部分に対応する部分を、「引用部分」という。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 両意匠の意匠に係る物品は、いずれも、液体等を収容するための容器である「Drinking Bottle」(飲料用ボトル)であるから、一致する。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも飲料用ボトルの口部及び側面に設けられた残量確認部内の数字部を除く部分であるから、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は、一致する。 3 両部分の形状等の対比 両部分の形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。以下、本願の願書に添付した図面中【1.6】を本願意匠の「正面図」として認定し、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。 (共通点1)全体を縦長の略円柱体とし、上端及び下端に膨出部を設け、当該略円柱体の側面の一部を貫通して形成した取手部を設けた態様。 (共通点2)取手部の水平方向の断面形状が、略長方形状に形成された点。 (共通点3)取手部貫通孔について、取手部に対向する面が平面で形成された点。 (共通点4)取手部貫通孔に隣接する位置に略縦長長方形状の2つの残量確認部を設けた点。 (相違点1)上部膨出部の平面視について、本願部分は、口部の直径と上部膨出部の直径の差が小さいのに対し、引用部分は、当該直径の差を大きく構成した点。 (相違点2)上部膨出部の正面視について、本願部分は、略半円弧状となるのに対し、引用部分は、なだらかな肩を形成する点。 (相違点3)上部リブについて、本願部分は、一方の残量確認部上端側面に隣接する位置からもうひとつの残量確認部上端側面まで略半周する1つのリブが設けられるのに対し、引用部分は、残量確認部上端の両側面に略半周する2つのリブが設けられた点。 (相違点4)意匠登録を受けようとする部分の全高と取手部の垂直方向長さの比について、本願部分は約5:3であるのに対し、引用部分は約3:1となる点。 (相違点5)下部膨出部の正面視について、本願部分は、上部膨出部とほぼ同じ厚みであり、下方に向かい漸次縮径する態様であるのに対し、引用部分は、上部膨出部の約半分ほどの厚みであり、略半円弧状となる点。 第5 判断 1 意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、一致すると認められるから同一である。 2 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するから、同一である。 3 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価 両意匠の意匠に係る物品は、液体等を収容するための容器である「Drinking Bottle」(飲料用ボトル)であり、当該物品分野の需要者は、主に、使用者、製造業者、販売業者及び取引業者が含まれる。そして、需要者が注意して観察する具体的な外形状等が、需要者の注意を引く部分であるとの前提に基づいて、両部分の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について、以下評価することとする。 (1)共通点の評価 (共通点1)から(共通点3)について、この分野において、これら共通点を具備する意匠は、例えば、米国特許商標公報の登録番号D838598(参考意匠、別紙第3参照)にみられるように、この種物品の分野において、本願出願前から公然知られており、両部分にのみ見られる態様とはいえないから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 (共通点4)について、残量確認部は、極めて僅かな凹面によって形成されたものであり、需要者は注目しないから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 (2)相違点の評価 上部膨出部(相違点1、相違点2)、上部リブ(相違点3)及び下部膨出部(相違点5)は、意匠の輪郭を形成し、印象を決定付ける部位であり、需要者は注目するところであるから、これら相違点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。 胴体部に対する取手部の相対的大きさの相違(相違点4)は、ボトル容量の大小を示唆するものであり、両部分において別異の印象を与えるものであるから、この相違点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両部分の形状等の類否判断 共通点及び相違点の評価に基づき、両部分を、全体として総合的に観察し、判断した場合、(共通点1)から(共通点4)は、両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、(相違点1)から(相違点5)は、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。 4 小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品、両部分の用途及び機能、並びに両部分の位置、大きさ及び範囲が同一であるが、形状等においては、両部分は類似しないものであって、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は引用意匠に類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-10-18 |
出願番号 | 2022500137 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
尾曲 幸輔 江塚 尚弘 |
登録日 | 2023-11-15 |
登録番号 | 1758193 |
代理人 | 弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所 |