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審決分類 審判 査定不服  工業上利用 取り消して登録 N3
管理番号 1407896 
総通号数 27 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-11-14 
確定日 2024-02-20 
意匠に係る物品 Animated graphical user interface 
事件の表示 意願2021−502464「Animated graphical user interface」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、パリ条約による優先権(最初の出願:欧州連合知的財産庁、2021年5月10日)を主張する、令和3年(2021年)11月9日の国際意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年(2022年) 6月29日付け 拒絶の通報
同年 7月13日 手続補正書の提出
同日 意見書の提出
同年 8月24日付け 拒絶査定
同年 11月14日 手続補正書の提出
同日 審判請求書の提出
令和5年(2023年) 4月27日付け 補正の却下の決定
同年 7月24日 上申書の提出
同年 12月26日付け 指令書
同年 同日付け 拒絶理由通知書
令和6年(2024年) 1月11日 手続補正書の提出
同日 意見書の提出

第2 本願意匠
本願は、画像の部分について意匠登録を受けようとする国際意匠登録出願であって、本願意匠の意匠に係る画像は、本願の願書の記載によれば「Animated graphical user interface」(参考訳:「動画グラフィカルユーザーインターフェース」。以下日本語訳で示す。)であり、本願意匠の態様は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当せず、意匠登録を受けることができないとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「(1)・・・本願が画像の意匠について意匠登録を受けようとするものであるのか、物品の表示部の部分について意匠登録を受けようとするものであるのかが不明確であり、したがって、この意匠登録出願の意匠は具体的ではありません。
(2)画像の具体的な用途及び機能が不明確です。」
請求人(出願人)は、この拒絶の理由に対して、令和4年7月13日に手続補正書を提出して、願書に添付した図面である【3.1】〜【3.7】を画像のみの図に変更し、参考図として【3.8】〜【3.14】(電気カミソリが表された図)を追加した。

第4 当審の判断
以下において、本願意匠が工業上利用できる具体的な意匠であるか否かについて判断し、併せて、本願意匠が意匠法第10条第1項の規定により意匠登録を受けることができることについて説示する。

1 本願意匠の認定
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。
(1)意匠に係る画像
本願意匠の意匠に係る画像(以下「本願画像」という。)は「動画グラフィカルユーザーインターフェース」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「This animated graphical user interface includes sequential images of a swirling arrow. Animation shows a swirl is gradually appeared and an arrow at the tip of the swirl is formed thereafter with exclamation mark appearing during sequence.」(参考訳:「この動画グラフィカルユーザーインターフェース付き電気カミソリは、渦を巻いていく矢印の一連の画像を含む。アニメーションは、渦巻きが徐々に現れ、その後渦巻きの先端に矢印が形成され、途中でエクスクラメーションマークが出現する様子を示している。」)
また、願書の「意匠の説明」には、以下の記載がある。
「The parts surrounded by means of dash lines in the reprodctions are parts of the claimed design. 3.1)Front view showing a first image in sequence; 3.2)Front view showing a second image in sequence; 3.3)Front view showing a third image in sequence; 3.4)Front view showing a fourth image in sequence; 3.5)Front view showing a fifth image in sequence; 3.6)Front view showing a sixth image in sequence; 3.7)Front view showing a seventh image in sequence; 3.8)〜3.14)Rererence front views in sequence」(参考訳:「図面の中の破線で囲まれた部分が、登録を求める意匠の部分である。3.1)1番目の画像を示す正面図、3.2)2番目の画像を示す正面図、3.3)3番目の画像を示す正面図、3.4)4番目の画像を示す正面図、3.5)5番目の画像を示す正面図、3.6)6番目の画像を示す正面図、3.7)7番目の画像を示す正面図、3.8)〜3.14)参考正面図」」)
これらの願書の記載によれば、本願画像は、動画グラフィカルユーザーインターフェースとして表示される一連の画像であると認められる。
(2)本願画像について
願書に添付した図面【3.1】〜【3.7】の7つの図には、本願画像が破線で囲まれた部分として表されており、その部分の中に、【3.1】〜【3.7】にかけて連続性のある図形が表されている。
そして、参考図である【3.8】〜【3.14】には、電気カミソリと推認される物品の正面に、【3.1】〜【3.7】の画像が表示される例が記載されているから、本願画像は、電気カミソリなどに用いられると解される。
(3)本願画像の用途及び機能
本願画像は、それを見たユーザーに対して、電気カミソリを回転させながら剃る動作に関連する表示であると理解させる用途及び機能を有している。
(4)本願画像の態様
ア 破線で囲まれた部分の態様
破線で囲まれた部分の態様は、縦横比約5:2の略縦長長方形状である。
イ 【3.1】から【3.4】にかけて
線が徐々に伸びて略円形になり、その略円形が渦を巻くように表されて、【3.4】では先端に矢印が付く。
ウ 【3.5】から【3.6】にかけて
渦巻きの上に、小さいエクスクラメーションマークが出現し、【3.6】ではその長さが渦巻きの径の約2/3になっている。
エ 【3.7】において
【3.6】と同一である。

2 本願意匠が具体的な意匠であるか否かの判断
請求人の主張も踏まえて、本願意匠が具体的な意匠であるか否かを判断する。
まず、出願当初の図面(【3.1】〜【3.7】)に電気カミソリが表されて、本願において意匠登録を受けようとする対象が不明確であった点については、前記第3のとおり、請求人(出願人)が【3.1】〜【3.7】を画像が表された図に変更し、参考図として【3.8】〜【3.14】(電気カミソリが表された図)を追加したことにより、願書に添付した図面には、本願意匠の意匠に係る画像「動画グラフィカルユーザーインターフェース」が表されていると認めることができる。したがって、本願において意匠登録を受けようとする対象は明確であるといえる。
次に、本願画像の態様は、線が徐々に伸びて略円形になり、その略円形が渦を巻くように表されて、先端に矢印が付くところ、この渦巻きは電気カミソリの動き、例えば、電気カミソリを顔に当てて渦巻き状に動かすことに関するものであると推認される。
そして、本願画像の用途及び機能は、ユーザーに対して、電気カミソリを回転させながら剃る動作に関連する表示であると理解させることであるから、そのような態様が、本願画像の用途及び機能を実現するためのものであると認められる。
この点に関して、請求人は令和5年7月24日に提出した上申書(別紙第2参照)において、「例えばS6630/05,S6620/11,S6610/11 取扱説明書・・・第10頁には、上手に剃るには、円を描くように回転させながら剃るのがコツであることが記載される。」「一連の画像を見たユーザーは、シェーバーの剃り動作に関連する機能に係る表示であることを当然に理解することができる」と述べている。
したがって、本願意匠は、工業上利用できる具体的な意匠であるということができる。

3 意匠法第10条第1項の規定により意匠登録を受けることができることについて
(1)指令書及び拒絶理由通知と請求人の手続補正について
令和5年12月26日付けの指令書及び拒絶理由通知は、本願意匠が同日に出願された意願2021−502463の意匠に類似するので意匠法第9条第2項前段の規定により一の出願の意匠を定めなければならないところ、指令書に記載した届出が期間内にないときは同項後段の規定により意匠登録を受けることができない旨の通知であり、これに対して、請求人は、令和6年1月11日に手続補正書を提出して、願書に本意匠の表示「意願2021−502463」を追加して、本願意匠を、意願2021−502463号の意匠を本意匠とする関連意匠に変更した。
(2)本願意匠と本意匠(意願2021−502463の意匠)の類否判断
本願意匠と本意匠は、意匠に係る画像が共に「動画グラフィカルユーザーインターフェース」で一致し、電気カミソリを肌に当てる動作に関連する表示であると理解させる用途及び機能を有する点で共通し、態様についても、略縦長長方形状の画像内に連続性のある図形が表され、線が徐々に伸びて略円形になって先端に矢印が付され、5番目と6番目には上方にエクスクラメーションマークが次第に大きくなるように表されているという共通点が需要者にまとまった一つの美感を与えているので、本願意匠は本意匠に類似するということができる。
(3)意匠法第10条第1項の規定に該当することについて
本意匠の意匠登録出願人は、本願の意匠登録出願人と同一であるから、意匠法第10条1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。
また、本願意匠の意匠登録出願の日は本意匠の意匠登録出願の日と同じであるから、意匠法第10条1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。
さらに、前記(2)のとおり、本願意匠は本意匠に類似するものと認められるので意匠法第10条1項に規定されている本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。
したがって、本願意匠は、意匠法第10条1項の規定に該当するものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、工業上利用できる具体的な意匠であって、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当し、意匠登録を受けることができるものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。そして、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当するものである。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲



審決日 2024-02-07 
出願番号 2021502464 
審決分類 D 1 8・ 14- WY (N3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 成田 陽一
小林 裕和
登録日 2024-03-06 
登録番号 1765710 
代理人 笛田 秀仙 
代理人 五十嵐 貴裕 

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