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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1
管理番号 1409209 
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-03 
確定日 2023-01-30 
意匠に係る物品 電動ブラインド 
事件の表示 意願2021− 15431「電動ブラインド」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、令和3年(2021年)7月15日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 3年11月11日付け :拒絶理由の通知
令和 4年 2月28日 :意見書の提出
2月28日 :手続補足書の提出
6月30日付け :拒絶査定
10月 3日 :審判請求書の提出
10月14日 :手続補正書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「電動ブラインド」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。本願意匠は、中間バー及びボトムレールを昇降させることにより、全体の開口面積及び中間バーとボトムレールとの間の距離が変化する動的意匠であって、意匠法第6条第4項の規定によって、意匠登録を受けようとするものである。変化した状態1を示す正面図、変化した状態2を示す正面図、変化した状態3を示す正面図、変化した状態4を示す正面図に示すように、中間バーとボトムレールがいずれも中間位置にある状態から、中間バーは上昇する一方、ボトムレールは下降し、両者が徐々に離間していき、最終的に中間バーは上限位置に、ボトムレールは下限位置に、それぞれ到着する。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由で引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1674639号
(意匠に係る物品、電動プリーツスクリーン)の本願意匠に相当する部分の意匠

なお、原審の令和3年11月11日付けの「拒絶理由通知書」においては、審査官の判断を記載した上で「両意匠は互いに類似するものと認められます。」と書いたのみであって、拒絶の理由の適用条文が書かれていないが、当該拒絶理由通知書の全趣旨から、拒絶の理由の適用条文は、意匠法第3条第1項第3号であると解される。
そして、意匠登録出願人(本件審判請求人と同じ。)は、令和4年2月28日に提出の意見書にて、「したがいまして、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠には該当しませんので、」として、拒絶の理由の適用条文を、意匠法第3条第1項第3号と正しく認識して、意見書にて意見を述べ、また、審判請求書にて、拒絶の理由の適用条文を正しく認識して請求理由を主張しているから、適用条文を明記した拒絶理由通知書を改めて通知することなく審理するものとする。

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「電動ブラインド」であり、建築物の窓等に取り付けられるものであって、2つのスクリーンの間に中間バー、下部スクリーンの下端にボトムレールを配置し、中間バーとボトムレールのそれぞれを独立して昇降させて上部スクリーン及び下部スクリーンを開閉させることができるものである。

(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の位置、大きさ及び範囲であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
〔A1〕上部スクリーン及び下部スクリーンは、水平方向の山折りと谷折りを繰り返した、蛇腹状である。
〔A2〕中間バー及びボトムレールは、小口面が横長長方形の棒状である。
〔A3〕上部スクリーンは、ヘッドボックス下面から中間バー上面までを占めており、下部スクリーンは、中間バー下面からボトムレール上面までを占めている。
〔A4〕中間バーとボトムレールがいずれも中間位置にある、電動ブラインドが半開の状態から、中間バーは上昇する一方、ボトムレールは下降し、両者が徐々に離れていき、最終的に中間バーはヘッドボックスの下端に、ボトムレールは下限位置に、それぞれ到着して電動ブラインドは全閉する。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「電動プリーツスクリーン」である。

(2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー(中間レール)及びボトムレール部分であって、電動プリーツスクリーンの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の位置、大きさ及び範囲であって、電動プリーツスクリーンの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状
〔B1〕上部スクリーン及び下部スクリーンは、水平方向の山折りと谷折りを繰り返した、蛇腹状である。
〔B2〕中間バー及びボトムレールは、小口面が横長長方形の棒状である。
〔B3〕上部スクリーンは、ヘッドボックス下面から中間バー上面までを占めており、下部スクリーンは、中間バー下面からボトムレール上面までを占めている。
〔B4〕中間バーが中間位置にあり、ボトムレールが下限位置にある、電動プリーツスクリーンが全閉の状態から、中間バーとボトムレールは同じ速度で上昇していき、上部スクリーンの占める面積が徐々に減少して中間バーが先にヘッドボックスの下端に到着した後から、下部スクリーンの占める面積が徐々に減少してボトムレールがヘッドボックスの下端に到着して電動プリーツスクリーンは全開する。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「電動ブラインド」であり、引用意匠に係る物品は「電動プリーツスクリーン」である。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比
本願部分は、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の位置、大きさ及び範囲であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用部分は、電動プリーツスクリーンの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分であって、電動プリーツスクリーンの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の位置、大きさ及び範囲であって、電動プリーツスクリーンの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕上部スクリーン及び下部スクリーンは、水平方向の山折りと谷折りを繰り返した、蛇腹状である。(A1とB1)
〔共通点2〕中間バー及びボトムレールは、小口面が横長長方形の棒状である。(A2とB2)
〔共通点3〕上部スクリーンは、ヘッドボックス下面から中間バー上面までを占めており、下部スクリーンは、中間バー下面からボトムレール上面までを占めている。(A3とB3)

イ.相違点について
変化の前後にわたる形状につき、本願部分は、電動ブラインドが半開の状態から、全閉の状態へと変化するのに対して、引用部分は、電動プリーツスクリーンが全閉の状態から全開の状態へと変化する。(A4とB4)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の、意匠に係る物品は「電動ブラインド」であって、引用意匠の、意匠に係る物品は「電動プリーツスクリーン」であるが、いずれも建築物の窓等に取り付けられ、日除けや目隠しなどに用いるもので、蛇腹状に折り畳まれたスクリーンをヘッドボックスから吊されたコードを介して電動で上下方向に伸縮開閉するものであることから、本願意匠の意匠に係る物品と引用意匠の意匠に係る物品は、共通していると認められる(以下、両意匠の、意匠に係る物品を「電動ブラインド」という。)。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価
両部分ともに、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の位置、大きさ及び範囲であって、電動ブラインドの、上部スクリーン及び下部スクリーン、並びに中間バー及びボトムレール部分の用途及び機能を有するものであるから、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は、一致する。

(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点1ないし3は、両部分を大まかに捉えたものであり、大まかに捉えた程度においては、この物品分野においてありふれた形状であるから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。

イ.相違点について
相違点は、電動ブラインドが半開の状態から、全閉の状態へと変化する動的意匠と、電動ブラインドが全閉の状態から全開の状態へと変化する動的意匠という相違であって、両部分の動きが全く異なるものといえ、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、類否判断に与える影響はとても大きい。

(4)小括
そうすると、両部分の形状については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して、相違点によって類否判断に及ぼす影響はとても大きいものといえるものであるから、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は一致していると認められる。
しかし、上記のとおり、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。
よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び
以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲






審決日 2023-01-17 
出願番号 2021015431 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 渡邉 久美
橘 崇生
登録日 2023-03-09 
登録番号 1739249 
代理人 弁理士法人南青山国際特許事務所 

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