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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1411373 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-06-05 
確定日 2024-05-28 
意匠に係る物品 Electrical shaver 
事件の表示 意願2022−500689「Electrical shaver」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和4年(2022年)4月29日(パリ条約による優先権主張2021年11月9日(EM)欧州連合知的財産庁)の国際意匠登録出願(DM/220578)であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和4年12月14日付け :拒絶の通報
令和5年 1月31日 :手続補正書
同年 1月31日 :意見書
同年 3月27日付け :拒絶査定
同年 6月 5日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「Electrical shaver」(参考訳:「電気かみそり」、以下日本語訳で示す。)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を実線で表したものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものと認められるため、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は次のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
意匠に係る物品 「電気カミソリの一部」の意匠(意匠登録を受けよ
うとする部分に相当する部分)
公報発行官庁 欧州連合知的財産庁
文献名 登録共同体意匠公報
出願日 2019年9月5日
出願番号 006815742−0001
登録日 2019年9月5日
登録番号 006815742−0001
公報発行日 2020年3月6日
権利者の氏名/名称 Koninklijke Philips N.V.
権利者の住所/居所 High Tech Campus 52,565
6 AG・Eindhoven, Netherlands

第4 当審の判断

1 本願意匠

本願意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、ひげそりのために用いられる「電気かみそり」である。

(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、本体(把持部)の装飾と発光の用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、本体の周側面の上端から、全高の約1/7下がった位置で、全高の約1/35の縦幅とするものである。

(4)本願部分の形状等
本願部分は、等幅の環状体であって、底面視において略角丸台形状をなし、右側面視において左に約35°傾斜している。

2 引用意匠

(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は、ひげそりのために用いられる「電気かみそり(の一部)(Electric shavers(part of−))」である。

(2)本願部分に相当する部分の用途及び機能
引用意匠の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)は、本体の装飾と発光の用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の位置、大きさ及び範囲
引用部分は、本体の周側面の上端部に係る位置で、全高の約1/40の縦幅とするものである。

(4)引用部分の形状等
引用部分は、等幅の環状体であって、上面視において略角丸三角形状をなし、右側面視において左に約35°傾斜している。

3 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれもひげそりのために用いられる「電気かみそり」であるから、意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は共に、本体を装飾し、発光するものであるから、両部分の用途及び機能は、一致する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
ア 位置
本願部分は、全体の中で、本体の周側面の上端から、全高の約1/7下がった位置であるのに対して、引用部分は、本体の周側面の上端部に位置しているから、相違する。

イ 大きさ及び範囲
本願部分は、縦幅が全高の1/35の等幅の環状体であるのに対し、引用部分は、縦幅が1/40の等幅の環状体であり相違するものの、いずれも全高の3%弱を縦幅とするものであって、ほぼ一致する。

(4)両部分の形状等の対比
本願部分と引用部分の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

ア 共通点
本願部分と引用部分は、等幅の環状体であって、右側面視において左に約35°傾斜している点において共通する。

イ 相違点
本願部分は、底面視略角丸台形状であるのに対し、引用部分は、上面視略角丸三角形状である点において相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能
両部分の用途及び機能は、同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分の位置は、相違するが、どちらも本体の上端附近に位置しているから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
両部分の大きさ及び範囲は、ほぼ一致しているから、同一である。

(4)両部分の形状等
ア 共通点の評価
共通点について、この種物品の分野において、等幅の環状体が傾斜した態様は、以下の参考意匠に見られるように、同様のものが両部分の他にも一般に見られる態様であることから、本願のみの特徴ではなく、需要者が注目する態様とはいえず、類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠(別紙第3参照)

特許庁発行の意匠公報記載

意匠登録第1596049号

(意匠に係る物品、髭剃り)の意匠

イ 相違点の評価
相違点について、本願部分は、底面視略角丸台形状であり、引用部分は、上面視略角丸三角形状であって、一見して異なるものといえ、需要者に異なる美感を起こさせるものといえる。これら本体の周側面に沿って配される両部分は、当該部分が細幅であるとはいえ、形状の認識がしやすい意匠部分であるといえる。また、把持部とかみそり部の間にある当該部分は、目立つ部位であるうえ、発光するという機能的な効果も相俟って、使用者の注意を強くひくものであるから、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、両部分の形状等について、共通点が類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点が類否判断に与える影響は大きく、需要者に別異の美感を与えているというべきであるから、両部分の形状等は、類似しない。

(5)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに、大きさ及び範囲は同一で、位置が相違するものの微弱であり、形状等についても、共通点は未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。

第5 結び

以上のとおりであって、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲



審決日 2024-05-15 
出願番号 2022500689 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 松田 光太郎
富永 亘
登録日 2024-06-12 
登録番号 1773608 
代理人 五十嵐 貴裕 
代理人 笛田 秀仙 

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