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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L3
管理番号 1411374 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-08-22 
確定日 2024-05-10 
意匠に係る物品 オフィスの打合せエリアの内装 
事件の表示 意願2022− 8938「オフィスの打合せエリアの内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和4年(2022年)4月25日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 5年(2023年) 1月16日付け 拒絶理由通知書
同年 3月 1日 意見書の提出
同年 5月26日付け 拒絶査定
同年 8月22日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」という。)を構成する物品及び建築物(以下「内装を構成する物品及び建築物」を「内装意匠」という。)について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の内装意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「オフィスの打合せエリアの内装」とし、その形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において、当該意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線であらわした部分が、意匠登録を受けようとする部分である。斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠は、オフィスの打合せエリアの内装において、机の天板部分(角部を除く)と、その机の両側に並べた二種類の椅子の座部分について意匠登録を受けようとするものと認められます。
しかしながら、本願出願前より平面視で縦横比1:2の長方形状の天板は周知の形状であり、座の形状についても下記の意匠1及び意匠2にみられるように本願出願前より公然知られたものであって、これらをほとんどそのまま、机と椅子の構成配置としては極めてありふれた態様(一例として下記意匠3)で並べたものを意匠登録を受けようとする部分として表したにすぎない本願意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものといわざるを得ません。

<意匠1>
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1632860号の意匠
椅子の座部分の意匠

<意匠2>
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2018年 9月10日に受け入れた
時尚伝媒集団発行の雑誌『▲時▼尚家居 260号』
第148頁右下所載
ベンチの座部分の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB30003129号)

<意匠3>
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2021年11月12日
受入日 特許庁意匠課受入2021年12月28日
掲載者 OfficeSnapshots
表題 VSSES Office by ADP Architects − Office Snapshots
掲載ページのアドレス
https://officesnapshots.com/photos/184076/
に掲載された「オフィスの打合せスペース用内装」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RJ03585156号)」

第4 請求人の主張

請求人は、令和5年(2023年)8月22日に提出した審判請求書において、要旨以下のとおり主張した。なお、請求人が提出した甲第1号証および甲第2号証については、省略する。

「【本願意匠が登録されるべき理由】
1.本願意匠のデザインコンセプト
(1)テレワークやWebミーティング等のリモート業務が浸透し、働き方が多様になった現代社会においては、対面とリモートを併用したミーティングはもちろんのこと、対面での活発な意見交換の場の提供が求められ、また、開放的でオープンな空間の創出や、使用者の多様な使い勝手や、多岐にわたる要望等に即した種々のオフィス空間が提供、創作されてなる実情にあります。

(2)また、この種のオフィス空間における家具等の配置は、使い勝手に直結するものであることから、空間レイアウトの形成に極めて大きな影響を与えるものであるため、使用される空間の用途に対応すべく、工夫を凝らして細部にわたって創作されてなる実情にもあります。

(3)係る実情に鑑みて、本願意匠の創作者は「会話がはずむ。発想がひろがる。アイデアがふくらむ。オフィスをもっと自由で、みんなが心地よく過ごせる場所に。人が集い、ひとつの空間で気持ちを分かちあう。」ことにより、「ワクワクする楽しい時間を」提供することをコンセプトとして、これを実現可能とする家具等が配置されたオフィスの内装であることが需要者に一目瞭然で、かつ、強く印象付ける、本願意匠を創作したものです(甲第1号証)。

2.本願意匠について
(1)本願意匠は、意匠に係る物品を「オフィスの打合せエリアの内装」とするもので、略長方形状のテーブル天板と、前記テーブルの長手辺に対向するように配置された椅子及びベンチの座面について意匠登録を受けようとするものであり、前記略長方形状のテーブルの長手辺側に、床から座面までの位置が高い椅子を2脚並べて配置し、その向かい側に、床から座面までの位置が高いベンチを配置してなり、また、前記横並びに配置された2脚の椅子の並び幅は、ベンチの長手方向の長さと略同一長さであって、かつ、前記2脚の椅子の並び幅及びベンチの長手方向の長さは、テーブルの長手辺内に収まる範囲に構成されてなるものです(甲第2号証参照)。

(2)また、本願意匠のテーブル天板の厚みは極めて薄く形成されてなり、椅子及びベンチの座面についても、薄板状に形成されてなるものです。

3.引用意匠について
(1)今般審査官殿は、周知形状である略長方形状のテーブルに、意匠1の椅子と意匠2のベンチを、例えば意匠3にみられるような極めてありふれた配置としたにすぎないとして、本願意匠が容易に創作できたものであるとご判断されました(甲第2号証参照)。

(2)しかしながら、意匠1及び意匠2は、座った人の足が床に付く程度の座面高さのものであって、本願意匠のような、床面から座面までの高さが高いものではありません。

(3)また、意匠3は配置の一例として示されたものではありますが、前記意匠3のベンチの長手辺の長さは、椅子の並び幅よりも明らかに大きいもので、また、前記テーブルの長手辺の長さと、ベンチ及び椅子の位置関係については、意匠3の手前側のベンチの端が、テーブル天板の端と略同一線上にも見受けられるものです。

4.本願意匠の創作性について
(1)本願意匠は、先に述べたコンセプトに基づき、加えて、「クイックな対話で新しい発想を生む」ように創作されたものです(甲第1号証の4頁参照)。

(2)すなわち、本願意匠のテーブル、椅子及びベンチの座面が、床から高い位置に形成されてなることで、ミーティング(対話)の際に、歩いて集まり、そのままの高さで座り、簡潔なミーティングの実現に寄与するものです。

(3)これに対し、意匠1及び意匠2は、一般的な高さの椅子及びベンチであることから、これらを配置することにより実現される空間は、腰を据えた、長時間のミーティングに適したものとなるため、本願意匠と引用意匠の構成の相違によって生じる使い勝手の顕著な相違は、使用目的に適した空間を求める需要者に対し、全く別異の美感を与えるものであり、そうすると、そのような全く異なる美感を奏する本願意匠を容易に創作することができたとするには無理があるものと思料します。

(4)また、本願意匠の前記椅子の横並び幅及びベンチの長手方向の長さが、テーブルの長手辺内に収まるものであるため、テーブルに対する椅子及びベンチのコンパクトさが際立つことにより、テーブル、椅子及びベンチの高さが高いこととも相まって、アクセスが容易となり、まさに本願意匠独自のコンセプトである、「クイックな対話」の実現に大きく寄与するものです。

(5)さらに、本願意匠の極めて薄いテーブル天板や、薄板状に形成されてなる椅子及びベンチの座面についても、これらが一体となったフラット感が相俟って、シャープなデザインに統一されてなる印象を需要者に強く与えてなるものです。

(6)なお、一般的にテーブルや椅子及びベンチの高さが床面から高いものや、長手方向の長さについて種々異なるものが従来存在したとしても、これらの組み合わせについては千差万別で多種多様になることから、本願意匠のような、本願独自の確固たる極めて特徴的なコンセプトに基づいた、これまでにない価値を需要者に提供する本願意匠の創作性は高く評価されるべきであると思料します。

(7)この点について、従前の物品の意匠の審査においても、出願意匠の構成が、多岐にわたる組み合わせ態様の一つに該当したとしても、直ちに創作容易とは判断せず、慎重に審査が行われている実情にあることから、内装の意匠についても同様に審査されるべきであると思料します。

(8)これまで述べてきたように、本願意匠の創作者は、確固たる本願意匠のデザインコンセプトを念頭に、その構成や配置が需要者に与える印象や空間の意匠的効果について考慮して、検討に検討を重ねて本願意匠を創作したものであり、引用意匠に接した当業者が、容易に本願意匠を創作できることはあり得ません。

5.拒絶査定に対する反論
(1)審査官殿は、拒絶査定において、意匠1及び意匠2は各々の座部分のみの形状を引用したものであるため、本願意匠と引用意匠の使い勝手の相違に言及した意見書の主張は採用できないとご判断されました。

(2)しかしながら、意見書の主張は、テーブル及び座の高さや、テーブル天板や座の薄さの組み合わせについても創作性の評価をすべき旨を主張し、その中で使い勝手についても言及したものであるにもかかわらず、これに対して審査官殿は、前記したテーブル及び座の高さや薄さの創作性について一切の判断をすることなく、意見書の主張は採用できないとご判断されており、係るご判断は適切なものではないと思料します。

(3)また、審査官殿は、新たな参考意匠を提示し、本願意匠の椅子、ベンチ及びテーブルの長手方向の配置構成は、前記新たな参考意匠のように普通に見受けられるとして、この点についても格別の創作性は認められないとご判断されてなりますが、これについても、本願意匠はテーブルや座を高い位置に設けた点も特徴であるのに対し、参考意匠は通常見られる高さのダイニングテーブルにおける配置構成であって、これらを同視して本願意匠の創作性を判断することは妥当なものではないと思料します。

(4)すなわち、先にも述べたように、本願意匠は、テーブル、椅子及びベンチの座面が、床から高い位置に形成されてなること、また、これらのテーブルの長手方向に対する配置構成が、テーブルの長手辺内に収まるものであること、さらには、テーブル天板や椅子及びベンチの座面が薄板状に形成されてなることにより、これらが一体となったフラット感が相俟って、シャープなデザインに統一されてなり、これにより、短時間であっても活発な会話や議論を促す、効率の良い業務に寄与する構成からなるものですが、引用意匠や参考意匠には、上記のような本願意匠の特徴が一切見られず、ごく一部の構成が開示されているに過ぎないにもかかわらず、これらのごく限られた構成を寄せ集めて、そこからさらに改変することの示唆もない状況で、本願意匠を容易に創作できることはあり得ないものです。

6.むすび
以上より、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたものとは言えず、意匠法第3条第2項の規定に該当しないため、登録すべき旨の御審決を賜りたくお願い申し上げます。」

第5 当審の判断

以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠

(1)本願意匠について
本願意匠は、オフィスの床上に配したテーブル及び椅子(同形状の1人掛け椅子2脚、長椅子1脚)からなる「オフィスの打合せエリアの内装」である。

(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、テーブルの天板及び椅子の座板である。

(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分の位置は、平面視において、中央にテーブルの天板(四つ角の部分を除く。)を配置し、その上方の左右及び下方にやや間隔を空けて椅子の座板を配置し、正面視において、上端にテーブルの天板を配置し、上端から約7割の高さに椅子の座板を配置したものであって、大きさ及び範囲は、平面視において、テーブルの天板は床面の約2割強、椅子の座板は床面の約1割強の大きさ及び範囲である。

(4)本願部分の形状等
ア テーブルの天板
本願部分のテーブルの天板は、縦横の長さ及び厚みの比率が、約1:2:0.03とする略横長長方形板である。

イ 椅子の座板
(ア)1人掛け椅子の座板
本願部分の1人掛け椅子の座板は、平面視において、4辺をそれぞれ弧状に膨出した略角丸台形状で、上辺は下辺より曲率が大きく、斜辺は僅かに膨出した程度に形成して、上辺と斜辺が略逆U字状をなし、背面視において、全体が凹弧状に湾曲している。
縦横(最大幅)の長さ及び厚みの比率は、約1:1:0.08である。
座板の縦の長さは、テーブルの天板の縦の長さの約1/2で、横の長さは、テーブルの天板の横の長さの約2.5割の長さである。
(イ)長椅子の座板
本願部分の長椅子の座板は、縦横の長さ及び厚みの比率を、約1:3:0.1とする略横長角丸長方形板で、左右端を緩やかな凸弧状に形成し、周側面の真ん中より下を斜めに面取りしている。
座板の縦の長さは、テーブルの天板の縦の長さの約1/2で、横の長さは、テーブルの天板の横の長さの約8割の長さである。

2 引用意匠の認定

(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は、意匠に係る物品「椅子」の意匠であって、その座板の形状等は、底面視において、4辺をそれぞれ弧状に膨出した略角丸逆台形状で、斜辺は僅かに膨出した程度に形成し、正面視において、全体が凹弧状に湾曲している。
縦横(最大幅)の長さ及び厚みの比率は、約1:1:0.07である。

(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は、「ベンチ」の意匠であって、その座板の形状等は、縦横の長さの比率を、約1:6とする上下の辺が平行な略横長トラック形の板である。

(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3は、「オフィスの打合せスペース用内装」の意匠であって、奥行きのある室内において、床の真ん中附近に平面視略横長長方形のテーブルを配置し、そのテーブルを挟んで手前側に長椅子を1脚と1人掛け椅子を2脚、奥側に1人掛け椅子を5脚配置している。

3 本願意匠の創作性の検討

この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、床の真ん中附近に天板を略横長長方形の板としたテーブルを配置し、そのテーブルを挟んで手前側に長椅子を1脚と奥側に1人掛け椅子を複数配置したものが、本願の出願前から公然知られているものである(意匠3)。また、当該内装を構成する物品の分野において、テーブルの天板、1人掛け椅子及び長椅子の座板を薄板とし、長椅子をテーブルの横幅より短いものとしたものも、例を挙げるまでもなくごく普通に見られるものである。さらに、オフィス用家具の分野において、会議用テーブルの天板及び椅子の座板を床から高い位置に配置したものも、本願の出願前から公然知られているものである(例えば、アール・エフ・ヤマカワ株式会社の「MOTOシリーズ」のテーブルと椅子の意匠。)。
しかしながら、本願部分のように、1人掛け椅子の座板を上辺と斜辺が略逆U字状をなす略角丸台形状としたものや、長椅子の座板を略横長角丸長方形の左右端を緩やかな凸弧状に形成し、周側面の真ん中より下を斜めに面取りしたものは、引用意匠には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願意匠は、この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲











審決日 2024-04-23 
出願番号 2022008938 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 前畑 さおり
特許庁審判官 内藤 弘樹
渡邉 久美
登録日 2024-05-28 
登録番号 1772254 
代理人 弁理士法人藤本パートナーズ 

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