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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1411377 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-10-25 
確定日 2024-05-28 
意匠に係る物品 香水瓶 
事件の表示 意願2021− 27428「香水瓶」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和3年(2021年)12月13日(パリ条約による優先権主張2021年5月17日(WIPO)世界知的所有権機関)の意匠登録出願であって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和4年(2022年) 6月28日付け:拒絶理由の通知
同年 12月 1日 :意見書の提出
令和5年(2023年) 7月13日付け:拒絶査定
同年 10月25日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「香水瓶」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第0932983号
(意匠に係る物品、香水入れ)の意匠の蓋の部分

以下、本審決では、本願の意匠登録を受けようとする部分を、「本願部分」、引用意匠のうち本願の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分を、「引用部分」という。

第4 当審の判断

以下において、両意匠が類似するか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「香水瓶」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「香水入れ」であって表記は異なるが、いずれも香水を収容するために用いる瓶であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも香水瓶の蓋であるから、用途及び機能が一致し、また、正面視において、上端に位置し、全体の約3割強から4割弱の大きさ及び範囲であるから、ほぼ一致する。

(3)両部分の形状等
両部分の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

ア 共通点
(ア)基本的構成態様
両部分は、全体を略ドーム形状とし、その頂上を先端が丸い略円錐形に形成し(以下「天頂部」という。)、上面視において、天頂部の周縁から外縁まで放射状に多数の細溝を形成している点、
(イ)
両部分は、天頂部周縁に沿って略円環状の分割線を形成している点、
において共通する。

イ 相違点
(ア)高さと径の比率
本願部分は、高さと径の比率が約1:1であるのに対し、引用部分は、約9:11で、本願部分の方が引用部分よりやや縦長である点、
(イ)下端の枠体の有無
本願部分は、下端に略リング状の枠体を段差状に取り付けているのに対し、引用部分は、枠体は取り付けていない点、
(ウ)天頂部
本願部分は、天頂部の径が全体径の約1/3であるのに対し、引用部分は、約1/2で、本願部分の方が引用部分より天頂部が小さいものである点、
また、引用部分は、分割線より上全体を暗調子としているのに対し、本願部分は、暗調子としていない点、
において相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、総合的に観察して、両部分の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は共通するから、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するから、同一である。

(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価
この種物品の分野において、(ア)全体を略ドーム形状とし、天頂部を先端が丸い略円錐形に形成し、上面視において、天頂部の周縁から外縁まで放射状に多数の細溝を形成したもの(以下「細溝部」という。)が、両部分以外にも見受けられ(参考意匠1)、また、(イ)天頂部周縁に沿って略円環状の分割線を形成したものも、両部分以外にも見受けられることから(参考意匠2)、(ア)及び(イ)の態様は、格別、需要者の注意をひくものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。

※参考意匠1(別紙第3参照)
米国特許商標公報 2019年2月5日
ボトル用キャップ(登録番号US D839737S Cap for a bottle)
に表された意匠(特許庁意匠課公知資料番号HH31300223号)

※参考意匠2(別紙第4参照)
大韓民国意匠商標公報 2015年7月30日
化粧品容器(登録番号30−0808282)
に表された意匠(特許庁意匠課公知資料番号HH27430390号)の蓋の部分

イ 相違点の評価
相違点(ア)について、本願部分は引用部分に比べて、約1.2倍程度、縦長ではあるものの、その違いは顕著ではなく、需要者に異なる美感を起こさせるものではないから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

相違点(イ)について、本願部分の下端の略リング状の枠体は、やや幅広かつ表面が平滑なため、その上方の細溝部とのコントラストが明確であって、比較的目立つものといえ、また、当該枠体は、本体と蓋との分割線上の目に付きやすい部位であることから、需要者に異なる美感を起こさせるものといえる。したがって、相違点(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(ウ)について、引用部分の天頂部は、本願意匠の天頂部より、やや大きいことに加え、分割線より上全体を暗調子としていることで、誘目性が高く、また、香水瓶を手に取ったり、蓋を開けたりする際に、天頂部は目に付きやすい部位であることから、需要者に異なる美感を起こさせるものといえる。したがって、相違点(ウ)が両部分の類否判断に与える影響は大きい。

(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形状等においては、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲




審決日 2024-05-15 
出願番号 2021027428 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 松田 光太郎
渡邉 久美
登録日 2024-06-04 
登録番号 1772857 
代理人 弁理士法人有古特許事務所 

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