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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 M2 |
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管理番号 | 1413388 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-05-02 |
確定日 | 2024-06-18 |
意匠に係る物品 | 鋼管 |
事件の表示 | 意願2022− 8943「鋼管」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和4年(2022年)4月25日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和4年(2022年) 9月30日付け:拒絶理由通知書 同年 11月10日 :意見書の提出 令和5年(2023年) 1月31日付け:拒絶査定 同年 5月 2日 :審判請求書の提出 同年 6月12日付け:手続補足書の提出 同年 12月21日 :面接 令和6年(2024年) 1月10日付け:特徴記載書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「鋼管」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。本願物品である鋼管は図面上一部分を省略しているが、省略部分は正面図において約25cmである。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願は、意匠に係る物品を「鋼管」とするものです。また、願書の意匠に係る物品の説明によれば、「両端に雄ネジ部及び雌ねじ部が設けられ」、「鋼管を立設させた状態で継ぎ足す」ことができるものであって、鋼管側面に取り付けられた金具取付部を介して鋼管を軸線まわりに回転させるものと認められます。 また、本願意匠は、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」といいます。)の用途及び機能を、治具等を嵌めて鋼管全体を回転させるものとし、位置、大きさ及び範囲を、鋼管の側面やや下の位置に、物品全体に比較してごく小さな大きさ及び範囲とし、形状は板片で、具体的には、平面視略正方形状、厚みをその辺の長さの約半分とするものです。 ところで、この種の鋼管の物品の分野において、鋼管を搬送したり軸線まわりに回転させるために、側面に何らかの金具類を接合することは、下記参考意匠1及び2にみられるように、本願出願前からごくありふれた手法です。 そうすると、本願意匠は、鋼管側面に、平面視略正方形状で厚みをその辺の長さの約半分としたありふれた形状の板片を、平たい面を上向きにして、上記のごくありふれた手法にもとづいて、鋼管側面に接合して意匠登録を受けようとする部分とし、破線も含めて全体を構成したに過ぎないものですので、当業者であれば容易に創作できたものです。 参考意匠1 特開2009−052399 【図1】の符号5の「吊り込み用金具」の意匠、及び、同図の符号6の「回転用金具」の意匠 参考意匠2 特開2012−031712 【図2】の符号3の「回転金具」の意匠 第4 請求人の主張 請求人は、令和5年(2023年)5月2日に審判請求書、同年6月12日に手続補足書を提出して、要旨以下のとおり主張した。なお、請求人が手続補足書により提出した甲第1号証から甲第4号証については、省略する。 「4.本願意匠が登録されるべき理由 (1)本願の意匠の要旨 本願の意匠(甲1)は、鋼管の上下に設けたネジ継手を利用して、下側の鋼管に上側の鋼管を継ぎ足す際にガタツキや緩みが生じないよう、継手部分へのトルク導入を容易にする、という観点から新しく創作された意匠です。 (1−1)本願意匠に係る物品 本願の意匠(以下、「本願意匠」という)に係る物品は、建物の柱(特に地下工事を逆打ち工法により実施する場合に利用する逆打ち支柱)として使用することの可能な「鋼管」です。そして、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下、「本願部分」という)は、「鋼管」の外周面に設けた金具取付部です。 なお、逆打ち工法は、地上1階を構築した後、1フロア分を掘削して地下1階の梁・床を構築し、そこから最下階へ向かって掘削および梁・床の構築を順次繰り返していく工法です。また、逆打ち支柱は、逆打ち工法を実施する際、地下階の梁・床を支える支柱です。 (1−2)本願部分の用途及び機能 本願部分は、[各部の名称を示す参考図]で示すような、「鋼管」の上下に設けたネジ継手を利用して「鋼管」どうしを継ぎ足す際に用いる回転工具を篏合させるための部材です。 例えば、[使用状態を示す参考図1]で示すように、下側の「鋼管」に設けた雌ネジに、上側の「鋼管」に設けた雄ネジを貫入して螺合します。こののち、「鋼管」の側方から本願部分に回転工具を篏合させ、ネジ継手に所定量のトルク(雄ネジを雌ネジに締付ける力)を導入し、ネジ継手を締め付け固定します。 このような、「鋼管」の上下に設けたネジ継手を利用して、下側の「鋼管」に上側の「鋼管」を継ぎ足す際に、ネジ継手に所定量のトルク(雄ネジを雌ネジに締付ける力)を導入するという用途及び機能を効果的に発揮させるべく、本願部分は、次の特徴を有しています。 (1−3)本願部分の特徴点 (特徴点1:位置及び範囲) 本願部分の特徴点1は配置位置及び範囲にあります(甲1、甲2)。 本願部分は、鋼管の下方であってネジ継手に近接する範囲に設けています。これにより、所定量のトルク(雄ネジを雌ネジに締付ける力)を、効率よく導入することができます。 (特徴点2:形状) 本願部分の特徴点2は形状にあります(甲1、甲2)。 第1に、本願部分は、全体形状を平面視略正方形状の長方体とし、厚み(高さ)に対して幅を十分大きく(2倍程度)形成しています。これにより、ネジ継手に所定量のトルク(雄ネジを雌ネジに締付ける力)を導入するべく、回転治具を用いて本願部分に「鋼管」の接線方向の力を作用させても、本願部分が「鋼管」の接線方向に変形することを抑止できます。 第2に、本願部分は、厚み(高さ)に対して鋼管からの突出長さが十分大きく(2倍程度)形成されています。これにより、本願意匠の[使用状態を示す参考図1]及び[使用状態を示す参考図2]で示すように、本願部分に回転治具を「鋼管」の軸線直交方向から嵌め込み、本願部分に「鋼管」の接線方向の力を作用させネジ継手に所定量のトルク(雄ネジを雌ネジに締付ける力)を導入しても、回転治具が本願部分から抜け落ちる事態を抑制できます。 (2)参考意匠の要旨 参考意匠1及び2にはそもそも、トルク導入という用途・機能を有する部材を、鋼管側面に設けるという概念が、なんら示されておりません。 (2−1)参考意匠1について 参考意匠1(甲3)には、例えば図1で示すように、鋼管の外周面に設けられた板状の吊込み用金具5及び回転用金具6が表されています。 <吊込み用金具5> 上記の吊込み用金具5(以降、「板片1」という)は、図6(a)〜(d)で示されているように、横倒し状態の鋼管を起立させる際に用いるワイヤーを連結するための部材です。このため、板片1は、鋼管の上方に配置されています。 また、全体形状は、図1及び図6(e)から明らかなように、平面視略長方形状の長方体であり、高さに対して幅及び鋼管からの突出長さが、いずれも十分小さく形成されています。さらに、図3で示されているように、中央に大きな貫通孔が形成されています。 <回転用金具6> 上記の回転用金具6(以降、「板片2」という)は、図6(f)〜(g)で示されているように、鋼管を地盤に回転貫入させるための施工機に備えた回転用キャップ18の溝に、上方から篏合させるための部材です。このため、板片2は、鋼管の上方に配置されています。 また、全体形状は、図1及び図5で示されているように、平面視略長方形状の長方体であり、高さに対して幅が、十分小さく形成されています。 (2−2)参考意匠2について 参考意匠2(甲4)には、例えば図2で示すように、鋼管の外周面に設けられた板状の回転金具3が表されています。 <回転金具3> 上記の回転金具3(以降、「板片3」という)は、図4(A)〜(C)で示されているように、鋼管を回転貫入させるための鋼管杭用アタッチメント107に備えた本体部108の溝に、上方から篏合させるための部材です。このため、板片3は、鋼管の上方に配置されています。 また、全体形状は、図2で示されているように、平面視略長方形状の長方体であり、高さに対して幅及び鋼管からの突出長さが、いずれも十分小さく形成されています。 (3)本願意匠と参考意匠との対比 上記の「4.(1)本願の意匠の要旨」で述べたように、本願部分は、鋼管の下方であってネジ継手に近接する範囲に設けています。また、全体形状を平面視略正方形状の長方体とし、厚み(高さ)に対して幅及び鋼管からの突出長さをともに、十分大きく(2倍程度)形成しています。 他方、参考意匠1の「板片1」は、鋼管を起立させるために用いる部材であって、本願部分のように、ネジ継手に所定量のトルクを導入するための部材ではありません。また、参考意匠1の「板片2」及び参考意匠2の「板片3」も、鋼管を地中に貫入するために用いる部材であって、本願部分のように、ネジ継手に所定量のトルクを導入するための部材ではありません。 このため、上記の「4.(2)参考意匠の要旨」で述べたように、参考意匠1の「板片1」「板片2」及び参考意匠2の「板片3」はいずれも、鋼管の上方側に設けられており、本願部分とはその配置位置が全く異なります。 また、参考意匠1及び参考意匠2には、鋼管の下方にネジ継手が存在しないため、参考意匠1の「板片1」「板片2」及び参考意匠2の「板片3」はいずれも、本願部分とはその配置される範囲も全く異なります。 さらに、参考意匠1の「板片1」「板片2」及び参考意匠2の「板片3」はいずれも、全体形状を平面視略長方形状の長方体とし、高さに対して幅が十分小さく形成されており、本願部分とはその全体形状が全く異なります。 上記のとおり、本願部分と参考意匠1の「板片1」「板片2」及び参考意匠2の「板片3」とは、「鋼管」の側面に接合する点で共通しているものの、全体形状、「鋼管」に対する配置位置及び範囲が、全く異なります。 してみれば、本願部分のように、全体形状を平面視略正方形状の長方体とし、厚み(高さ)に対して幅、及び「鋼管」からの突出長さをともに、十分大きく(2倍程度)形成され、「鋼管」の下方であってネジ継手に近接する範囲に設けたものは、参考意匠1及び2には見られないものであり、当業者がありふれた手法に基づき創作できたものではありません。 (4)原査定の妥当性について (4−1)原査定判断Aについて 原査定判断Aでは、拒絶理由に対する意見書の主張が失当である、と判断されています。そこで、令和4年9月30日付(起案日)拒絶理由通知をみると、以下のように判断されています。 「・・鋼管を搬送したり軸線まわりに回転させるために、側面に何らかの金具類を接合することは、下記参考意匠1及び2にみられるように、本願出願前からごくありふれた手法です。そうすると、本願意匠は、鋼管側面に、平面視略正方形状で厚みをその辺の長さの約半分としたありふれた形状の板片を、平たい面を上向きにして、上記のごくありふれた手法にもとづいて、鋼管側面に接合して意匠登録を受けようとする部分とし、破線も含めて全体を構成したに過ぎないものですので、当業者であれば容易に創作できたものです。」 しかしながら、当該拒絶理由の判断は到底納得できるものではありません。以下に、その理由を述べます。 本願部分は、「鋼管」の上下に設けたネジ継手を利用して下側の「鋼管」に上側の「鋼管」を継ぎ足す際、ネジ継手に所定量のトルクを導入する、という用途及び機能を有するものであり、鋼管を搬送したり軸線まわりに回転させるために用いる部材ではありません。してみれば、仮に、鋼管を搬送したり軸線まわりに回転させるために、鋼管の側面に何らかの金具類を接合することがありふれた手法であったとしても、そのことと本願部分との間に、何ら関係はありません。 また、平面視略正方形状で厚みをその辺の長さの約半分とした板片について、なんら証拠が示されておりません。そして、仮にこのような板片がありふれた形状であったとしても、トルク導入という用途・機能に用いることについて、なんら証拠が示されておりません。 さらに、参考意匠1及び参考意匠2には、トルク導入という用途・機能を有する部材を、鋼管側面に設けることについても、なんら証拠が示されておりません。 してみれば、本願部分の形状は、ありふれた形状の板片を選択して採用したものとはいえず、また、本願部分を鋼管の側面に設けることは、参考意匠1及び参考意匠2に基づいて、鋼管を取り扱う分野においてありふれた手法により容易に想到できたという証拠もありません。 (4−2)原査定判断Bについて 原査定Bの判断も到底納得できるものではありません。以下に、その理由を述べます。 原査定Bのうち、「本願部分の物品全体における位置については、正面視下方であることに格別の創作を見いだすことができないものです。・・」という事項について、次のとおりです。 本願部分のように、鋼管の下方であってネジ継手に近接する範囲に設ける点は、意匠の視覚的な特徴として現れるものであり、参考意匠1及び2のいずれにも表れていない独自の創意工夫に基づく、独創性が現れた部分です。 また、現査定Bのうち、「・・物品を示す破線に関し、正面視下端がネジ継手のようなものであるとしても、当該ネジ継手の付近に本願部分を位置させることは当業者にとってよく知られた手法であるといえます。」という事項について、次のとおりです。 前述のとおり、トルク導入という用途・機能を有する部材を、鋼管側面に設けることについて、なんら証拠が示されておりません。ましてや、このような部材をネジ継手の付近に設けることもなんら証拠が示されておらず、鋼管を取り扱う分野において、よく知られた手法であるとまで言えません。 (5)小括 本願部分の特徴点1及び特徴点2は、「鋼管」の上下に設けたネジ継手を利用して、下側の「鋼管」に上側の「鋼管」を継ぎ足す際に、ネジ継手に所定量のトルクを容易に導入するという用途及び機能を効果的に発揮させ、継手部分にガタツキや緩みが生じないように連結する、という観点から新しく創作された意匠です。このような観点は、参考意匠1及び2には見られないから、公然知られた意匠に基づき当業者が容易に創作できるものではなく、原査定の上記各判断には到底容認できるものではありません。 5.結語 本願意匠は、参考意匠1や参考意匠2とは全く異なる独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形態に基づいて、容易に創作できたものではありません。よって、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当しないものと考えるので、請求の趣旨のとおりの審決を求めるものです。」 第5 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願の意匠に係る物品は、「鋼管」であり、その用途及び機能は、上端に雌ネジ部及び下端に雄ネジ部を形成したネジ継手が設けられており、下方端部近傍の外周面に金具取付部が設けられている。鋼管を立設させた状態で継ぎ足す際に、この金具取付部に鋼管の接線方向に力を作用させる治具を取り付けることにより、鋼管を軸線まわりに回転させて連結することができ、本物品を複数連結すると、建物の屋根や梁、床などを支持する柱材として、利用することができるものである。 (2)本願部分 願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形状等は、以下のとおりである。 ア 本願部分の用途及び機能 本願部分は、鋼管を立設させた状態で継ぎ足す際、鋼管の接線方向に力を作用させる治具を取り付けるための金具取付部である。 イ 本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分は、鋼管の外周面下方のネジ継手(雄ネジ部)に近接する位置で、正面視において、全高の約1/24、平面視において、径の約1/8の大きさ及び範囲とするものである。 ウ 本願部分の形状等 本願部分は、平面視略縦長長方形の板状体であって、平面視における縦横及び厚みの長さ比率は、約8:7:3である。 2 引用意匠 原査定における拒絶の理由で引用された参考意匠1及び参考意匠2の意匠に係る物品及び形状等は、概要以下のとおりである。 (1)参考意匠1(別紙第2参照) ア 参考意匠1の【図1】符号5は、鋼管を吊って杭施工機に建て込むための「吊込み用金具」である。また、該部の形状等は、正面視略縦長長方形の板状体であって、平面視における縦横及び厚みの長さ比率は、約4:1:6であり、中央付近に円孔を設けている。 イ 参考意匠1の【図1】符号6は、鋼管の上端の継手と係合される継手を備えた鋼管建込み用治具を吊るための吊り用金具と、当該治具本体を筒軸心周りに回転させるための回転用金具を兼用化させた「回転用金具」である。また、該部の形状等は、正面視略横長長方形の板状体であって、平面視における縦横及び厚みの長さ比率は、約3:1:2.5であり、中央付近に円孔を設けている。 (2)参考意匠2(別紙第3参照) 参考意匠2の【図2】符号3は、鋼管杭の周方向に外力を与えて、杭本体を回転させるための「回転金具」である。また、該部の形状等は、正面視(【図4】(A)参照)略縦長長方形の板状体であって、平面視における縦横及び厚みの長さ比率は、約1:3:10である。 3 本願部分の創作性の検討 この意匠の属する分野において、継手を設けた鋼管同士や、鋼管と鋼管建込み用治具等を連結するために、鋼管の外周面に、略長方形板状体の、鋼管や治具等を吊るための吊り用金具を設けること(参考意匠1)や、当該鋼管や治具本体等を筒軸心周りに回転させるための回転用金具等を設けること(参考意匠1及び参考意匠2)は、本願の出願前に公然知られているものといえる。 しかしながら、鋼管の接線方向に力を作用させる治具を取り付けるための金具取付部を、鋼管の外周面下方のネジ継手(雄ネジ部)に近接する位置に設け、形状等を、平面視略縦長長方形の円孔の無い板状体とし、平面視における縦横及び厚みの長さ比率を、約8:7:3として設けたものは、本願部分の他には見られないから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。 そうすると、本願部分の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者がこれら公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2024-06-04 |
出願番号 | 2022008943 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(M2)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
前畑 さおり 松田 光太郎 |
登録日 | 2024-07-19 |
登録番号 | 1776549 |
代理人 | 弁理士法人一色国際特許事務所 |