• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1415355 
総通号数 34 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-12-20 
確定日 2024-08-30 
意匠に係る物品 コンピュータ 
事件の表示 意願2022− 15580「コンピュータ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、意匠法第10条の2第1項の規定の適用により意願2022−5718(もとの意匠登録出願。原出願日:令和4年(2022年)3月18日。)から分割された、令和4年(2022年)7月21日(パリ条約による優先権主張:2021年9月22日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。


令和4年(2022年)10月21日付け :拒絶理由の通知(7条
令和5年(2023年) 1月23日 :手続補正書の提出
同年 1月31日付け :拒絶理由の通知
3条1項3号
同年 6月28日 :意見書の提出
同年 9月20日付け :拒絶査定
同年 12月20日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「コンピュータ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を実線で表したものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められるため、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものである。

引用意匠(別紙第2参照)
米国特許商標公報 2017年10月31日
電子計算機(登録番号US D801333S)の意匠(本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分)
(特許庁意匠課公知資料番号第HH29327874号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

以下、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比する。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「コンピュータ」であるのに対し、引用意匠は、「Electronic Device(参考訳:「電子計算機」、以下日本語訳で示す。)であって、表記は異なるが、いずれも電子計算機であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能
本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分を合わせて「両部分」という。)の用途及び機能については、共に、本体部とディスプレイ部をつなぎ、ディスプレイ部を支持する部分であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、ディスプレイ部の縦幅約1/2周辺部の位置で、引用部分は、ディスプレイ部の縦幅下から約1/3周辺部の位置であるから、両部分の位置は、相違する。

両部分は、ディスプレイ部の正面から両側面にかけての略横帯状部、ディスプレイ部と支持板の接続部及び接続部寄りの支持板の背面から両側面にかけての略横帯状部からなる部分であるから、両部分の大きさ及び範囲は、一致する。

(4)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点
(ア)ディスプレイ部の正面を平坦面とし、側面の正面寄りを細幅の平担面としている点、

(イ)ディスプレイ部の背面に、ディスプレイ部と同一横幅の薄板状の支持板を接続している点において共通する。

イ 相違点
本願部分は、側面視において、ディスプレイ部と支持板との接続部の下になだらかな傾斜を有する幅広な凹部があるのに対して、引用部分には、そのような凹部がない点において相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両部分の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両部分の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。

(2)両部分の用途及び機能
両部分の用途及び機能は、一致するから同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、ディスプレイ部縦幅の約1/2の位置に支持板の接続部があるのに対して、引用部分は、下から約1/3の位置に支持板の接続部があり、両部分の位置は相違している。しかし、支持板の接続部の位置は、以下の参考意匠1に見られるとおり、本願意匠と同様の位置にあるものも、引用意匠の位置にあるものも、いずれも普通に見られるから、この位置の相違は、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
両部分の大きさ及び範囲は、一致しているから、同一である。

参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1491276号
(意匠に係る物品、電子計算機)の意匠

(4)両部分の形状等
ア 共通点の評価
この種物品の分野において、ディスプレイ部の正面を平坦面とし、側面の正面寄りを細幅の平担面とし、ディスプレイ部の背面に、ディスプレイ部と同一横幅の薄板状の支持板を接続した態様は、以下の参考意匠2に見られるとおり、本願の出願前から公然知られていることから、これらの態様は、両意匠のみに共通するものとはいえず、共通点(ア)及び共通点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠2(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1687185号
(意匠に係る物品、カバー付き携帯情報端末)の意匠

イ 相違点の評価
当該物品において、ディスプレイ部の開閉、回転及び角度調整に関わる接続部は、需要者の注意を強くひく部位であって、ディスプレイ部と支持板との接続部の下になだらかな傾斜面を有する幅広な凹部がある本願部分と、そのような凹部がない引用部分は、当該部分の形状が明らかに相違し、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

ウ 形状等の類否判断
上記した共通点及び相違点の評価に基づくと、両部分の形状等について、共通点が類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点が類否判断に与える影響は大きく、需要者に別異の美感を与えているというべきであるから、両部分の形状等は、類似しない。

(5)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに、大きさ及び範囲は同一で、位置が相違するものの微弱であり、形状等についても、共通点は未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。

第5 結び

以上のとおりであって、本願意匠は引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲








審決日 2024-08-20 
出願番号 2022015580 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 富永 亘
松田 光太郎
登録日 2024-09-30 
登録番号 1781670 
代理人 阿部 豊隆 
代理人 稲葉 良幸 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ