ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 N3 |
---|---|
管理番号 | 1415356 |
総通号数 | 34 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2024-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-12-21 |
確定日 | 2024-09-24 |
意匠に係る物品 | GUI |
事件の表示 | 意願2022− 9562「GUI」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和4年(2022年)5月6日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 5年(2023年) 3月22日付け 拒絶理由の通知 同年 6月22日 意見書の提出 同年 9月21日付け 拒絶査定 同年 12月21日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願は、2021年11月8日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴い、画像の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願画像意匠」という。)は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「GUI」とし、当該意匠登録を受けようとする部分(以下「本願画像部分」という。)を、「実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠 原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は、GUIであって、中央部に乱雑に配置され一部が重なる2つの隅丸長方形及び下方に2行3列に整列して配置された6つの隅丸長方形について意匠登録を受けようとするものと認められます。 しかしながら、2つの長方形を乱雑に配置し一部が重なる態様とすることは意匠1及び意匠2に見られるよう本願出願前に公知であり、6つの長方形を2行3列に整列して配置することも意匠3に見られるよう本願出願前に公知です。さらに、乱雑に配置された長方形を中央部、整列して配置された長方形を下部に配置する態様も意匠4に示されており、本願の配置態様についても創作性は認められません。なお、長方形の角を隅丸とする創作は極めて一般的なもので特段の創作性は認められません。 そうすると、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は、当業者であれば、本願出願前に公知の意匠の組み合わせで容易に創作できたものと認められます。 意匠1 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2015年 3月 8日 受入日 特許庁意匠課受入2015年 5月27日 掲載者 Antoine Gely 表題 iTunesのApple Storeで配信中のiPhone、iPod touch、iPad用CVNM 掲載ページのアドレス https://itunes.apple.com/jp/app/cvnm/id908394385?mt=8 に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのバーコード関連機能」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ26282204号) 意匠2 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1462477号の意匠 意匠3 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2020年 9月15日 受入日 特許庁意匠課受入2020年10月22日 掲載者 Quang Phan 表題 「WiU」をApple Storeで 掲載ページのアドレス https://apps.apple.com/jp/app/wiu/id1500717146?uo=5 に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第RJ02107469号) 意匠4 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2016年 7月14日 受入日 特許庁意匠課受入2016年 7月25日 掲載者 Jos Miguel Macas Prats 表題 Les Meravelles Llirianes−Google PlayのAndroidアプリ 掲載ページのアドレス https://play.google.com/store/apps/details?id=air.lesmeravellesllirianes に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ28087624号)」 第4 当審の判断 以下、本願画像意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願画像意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願画像意匠 (1)本願画像意匠について 本願画像意匠は、願書の記載及び添付図面によれば、例えば、宿泊等の予約をする際に使用するための操作画像(GUI)であって、表示する物品を特定しない画像意匠である。 (2)本願画像部分について ア 本願画像部分の構成態様 略縦長長方形のフレームの内部において、中央付近に、左に傾斜した略横長角丸長方形の枠体(以下「枠体1」という。)を配置し、その左上に、これと同形の枠体(以下「枠体2」という。)を右下の角が枠体1の上辺の左隅から真ん中付近まで覆うように右に傾斜して配置し、下端近くに、中央の枠体よりやや小振りな6つの略横長角丸長方形の区画を両側に余地を残して2行3列に整列して配置したものである。 イ 各部の長さ等の比率 各部の縦横の長さの比率について、フレームは約1.4:1で、枠体は約1:1.6で、区画は約1:1.5である。 枠体の大きさについて、枠体はフレームの約1/20で、区画の約1.5倍の大きさである。 ウ 枠体 枠体1は左に25度傾斜し、枠体2は右に約10度傾斜している。 エ 区画 区画の隙間について、縦と横の隙間の幅の比率は、約3:2である。 2 引用意匠の認定 (1)意匠1(別紙第2参照) ア 意匠1について 意匠1は、スマートフォン用ソフトウェアのバーコード関連機能に纏わる画像であって、表示する物品を特定しない画像意匠である。 イ 意匠1の画像 意匠1の画像は、略縦長長方形のフレームの内部において、中央付近に、若干左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その左下に、これと同形の枠体2を上辺の右寄りが枠体1の下辺の左隅を覆うように右に傾斜して配置し、下端近くに、略横長角丸長方形の区画を両側に余地を残して配置したものである。 ウ 各部の長さ等の比率 各部の縦横の長さの比率について、フレームは約1.8:1で、枠体は約1:1.4である。 枠体の大きさについて、枠体はフレームの約1/16である。 エ 枠体 枠体1は左に4度傾斜し、枠体2は右に約20度傾斜している。 (2)意匠2(別紙第3参照) ア 意匠2について 意匠2は、意匠に係る物品を「画像データ記憶機」とし、意匠の説明欄の記載によれば、画像図中に表れる枠体は、表示中の画像データの表示部を示すものである。 イ 意匠2の画像 意匠2の画像は、略横長長方形のフレームの内部において、上端近傍中央やや右寄りに、左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その右下に、これと同形の枠体2を上辺の左隅が枠体1の下辺の右隅を覆うように右に傾斜して配置し、枠体のすぐ下に円形グラフを配置し、左寄りに略横長帯状の区画を縦に5つ配置し、下端近くの左寄りに略横長帯状の区画を横に2つ配置し、下端右隅に略矩形状の区画を配置したものである。 ウ フレーム及び枠体の長さ等の比率 フレーム及び枠体の縦横の長さの比率について、フレームは約1:1.8で、枠体は約1:1.4である。 枠体の大きさについて、枠体はフレームの約1/17である。 エ 枠体 枠体1は左に12度傾斜し、枠体2は右に約18度傾斜している。 (3)意匠3(別紙第4参照) ア 意匠3について 意匠3は、スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能に纏わる画像であって、表示する物品を特定しない画像意匠である。 イ 意匠3の画像 意匠3の画像は、略縦長長方形のフレームの内部において、上端寄りに横に4分割した略横長角丸帯状のエリアを配置し、その下に横に2分割した略横長角丸帯状のエリアを配置し、その下に横に3分割した略横長角丸長方形状のエリアを配置し、中央付近に略横長角丸帯状のエリアを縦に2つ配置し、下端近傍に略横長角丸帯状のエリアを両側に僅かに余地を残して配置し、中央付近のエリアと下端近傍のエリアの間に6つの略横長角丸長方形の区画を両側に余地を残して2行3列に整列して配置したものである。 ウ フレーム及び区画の長さ等の比率 フレーム及び区画の縦横の長さの比率について、フレームは約1.8:1で、区画は約1:1.5である。 枠体の大きさについて、区画はフレームの約1/39の大きさである。 エ 区画 区画の隙間について、縦と横の隙間の幅の比率は、約1.5:4である。 (4)意匠4(別紙第5参照) ア 意匠4について 意匠4は、スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能に纏わる画像であって、表示する物品を特定しない画像意匠である。 イ 意匠4の画像 略縦長長方形のフレームの内部において、上端に略横長帯状のエリアを形成し、下端寄りに略横長太帯状のエリアを形成してその内側に複数の略横長長方形のサムネイル(写真)を近接して等間隔に配置し、真ん中に文字列を2行配置し、これを囲むように大きさが若干異なる略矩形状の写真を7つ、隣同士が少し重なり合うように斜めに配置している。 3 本願画像意匠の創作性の検討 この種の画像の属する分野においては、フレーム内において、若干左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その左下に、これと同形の枠体2を上辺の右寄りが枠体1の下辺の左隅を覆うように右に傾斜して配置したもの(意匠1)や、左に傾斜した略横長長方形の枠体1を配置し、その右下に、これと同形の枠体2を上辺の左隅が枠体1の下辺の右隅を覆うように右に傾斜して配置したもの(意匠2)が、本願の出願前に公然知られているものである。また、上下に配置した2つのエリアの間に、略横長角丸長方形の区画を2行3列に整列して6つ配置したものも、本願の出願前に公然知られているものである(意匠3)。 しかしながら、本願画像部分のように、フレーム内において、左に傾斜した略横長角丸長方形の枠体1を配置し、その左上に、これと同形の枠体2を右下の角が枠体1の上辺の左隅から真ん中付近まで覆うように右に傾斜して配置した態様は、配置角度や重なり具合において、意匠1や意匠2には見られないものであるから、当業者が意匠1や意匠2から容易に想到し得るものというまでには至らず、また、フレームの下端近くに配置した枠体よりやや小振りな6つの略横長角丸長方形からなる区画を配置した態様も、その配置において意匠3には見られないものであり、さらに、これらの枠体と区画を上下に組み合わせた態様も、画像の構成態様が異なる意匠4からは導き出すことができないから、本願画像部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。 そうすると、本願画像意匠の態様は、この種画像の属する分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願画像意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願画像意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2024-09-10 |
出願番号 | 2022009562 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(N3)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
富永 亘 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 清野 貴雄 |
登録日 | 2024-10-03 |
登録番号 | 1782085 |
代理人 | 弁理士法人深見特許事務所 |