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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1416540 |
総通号数 | 35 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2024-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-02-06 |
確定日 | 2024-10-10 |
意匠に係る物品 | 道路用ブロック |
事件の表示 | 意願2023− 15327「道路用ブロック」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、令和5年(2023年)7月26日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年(2023年)10月 5日付け 拒絶理由の通知 同年 11月15日 意見書の提出 令和6年(2024年) 1月15日付け 拒絶査定 同年 2月 6日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「道路用ブロック」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 特許庁発行の登録実用新案公報記載 実用新案登録第3232592号 図1乃至図3に表された「進入ブロック」の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 以下において、両意匠が類似するか否かについて検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「道路用ブロック」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は「進入ブロック」であって、その表記は異なるが、いずれも、道路と道路に隣接するエリアの境界に設置する道路用のブロックであるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 (ア)全体形状 全体は、略横長直方体の正面上側の角を斜めに切り欠いたブロック体であって、その斜面に複数の略横長トラック状の凸部(以下、単に「凸部」ともいう。)を、規則的に配設して滑り止めとした点において、両意匠は共通する。 イ 相違点 (ア)全体の長さの比率と斜面の傾斜角度 本願意匠は、正面視における縦・横・奥行きの長さの比率を約1:7:1.6、斜面と垂直面の高さの比率を約2:1、平面視における斜面と水平面の奥行きの比率を約3.5:1、斜面の傾斜角を約25度とするものであるのに対し、引用意匠は、正面視における縦・横・奥行きの長さの比率を約1:5:1.5、斜面と垂直面の高さの比率を約4.4:1、平面視における斜面と水平面の奥行きの比率を約7:1、斜面の傾斜角を約30度とするものである点において、両意匠は相違する。 (イ)滑り止めの態様 a 本願意匠は、凸部を7行、両端を揃えて配列しているのに対し、引用意匠は、凸部を6行配列し、そのうち奇数行は右側に、偶数行は左側にそれぞれ余地を設けている点、 b 本願意匠は、奇数行は長い凸部を6個配置し、偶数行は内寄りに長い凸部を奇数行の凸部から半分ずらして5個配置し、両端に短い凸部を1つずつ配置しているのに対し、引用意匠は、各行に長い凸部を4個配置した点において、両意匠は相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 この種の道路用ブロックの物品分野において、略横長直方体の正面上側の角を斜めに切り欠いたブロック体の斜面に、複数の略横長トラック状の凸部を規則的に配設して滑り止めとしたものは、本願の出願前から公然知られたものであるから(引用意匠の他には、例えば、意匠登録第1184769号。)、当該共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 相違点(ア)について、正面視におけるブロック体の横の長さは、本願意匠は引用意匠の約1.4倍であり、その差がやや大きいことから、その他各部の比率の相違も含めると、相違点(ア)は需要者に異なる美感を起こさせるものといわざるを得ない。したがって、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(イ)a及びbについて、滑り止めの態様は、この種物品における意匠の要部であるところ、本願意匠は斜面全体に凸部が満遍なく配置・配列され、密で整然とした印象を受けるものであるのに対し、引用意匠は、斜面のやや内寄りに奇数行と偶数行が左右交互に配置・配列され、やや祖な印象を受けるものであり、両意匠の凸部の数、形状及び配置・配列は大きく異なるものであるから、当該斜面が比較的目に付きやすい部位であることをあわせて考慮すると、相違点(イ)a及びbは需要者に異なる美感を起こさせるものといわざるを得ない。したがって、相違点(イ)a及びbが両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が類否判断に与える影響は小さいものであるに対し、相違点(ア)と(イ)a及びbが類否判断に与える影響は大きいものであるから、両意匠の形状等は類似する。 (3)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、形状等においては、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2024-09-25 |
出願番号 | 2023015327 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L2)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 松田 光太郎 |
登録日 | 2024-11-06 |
登録番号 | 1784555 |
代理人 | 弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所 |