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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1416550 |
総通号数 | 35 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2024-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-03-25 |
確定日 | 2024-10-29 |
意匠に係る物品 | やすり |
事件の表示 | 意願2022− 24810「やすり」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、意匠登録第1613289号を本意匠とする令和4年(2022年)11月17日の関連意匠の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年(2023年) 6月12日付け 拒絶理由の通知 同年 9月22日 意見書の提出 令和6年(2024年)12月21日付け 拒絶査定 同年 3月25日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「やすり」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2019年 5月17日に 受け入れた 新発売 ダクターヤスリ ダクターチャンネル用ヤスリ CAT.NO.1806 第1頁所載 やすりの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC31007175号) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 以下において、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)が類似するか否かについて検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、いずれも、溝形鋼等の金属材のバリ等を切削除去して平坦滑面にするための「やすり」であるから、意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。 ア 共通点 (ア)全体形状 両意匠は、略「L」字状に屈曲した略横長矩形板であって、正面視における縦・横・奥行きの比率を約1:18:1とするものである点において共通する。 (イ)グリップ 両意匠は、正面視略中央から右端まで厚みの薄い被覆状のグリップを形成している点において共通する。 イ 相違点 (ア)やすり面の範囲 本願意匠は、正面視略中央から左端まで、全長の約1/2の範囲の「表裏面」及び「こば」に、やすり面を設けているのに対し、引用意匠は、正面視左寄りから左端まで、全長の約1/4の範囲の「表裏面」及び「こば」に、やすり面を設けている点において相違する。 (イ)やすり目の形状 本願意匠は斜め格子状の複目であるのに対し、引用意匠は略うろこ状(青海波模様)である点において相違する。 (ウ)ひも通し穴の有無 本願意匠は、ひも通し穴が無いのに対し、引用意匠は、正面視右端付近(後端部付近)の屈曲部の真ん中にやや大きめの略円穴を設けている点において相違する。 (エ)色彩の有無 本願意匠は、線図による形状のみの意匠であるのに対し、引用意匠は、やすり本体は銀色、グリップは赤色に着色している点において相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 共通点(ア)について、略「L」字状に屈曲した略横長矩形板は、本願の出願前から既に見られるものであることから(意匠登録第1613289号)、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 共通点(イ)について、厚みの薄い被覆状のグリップは、この種物品(工具等)の分野おいて、本願出願前よりごく普通に見られるものであるから(例えば、意匠登録第1409515号の意匠)、格別需要者の注意を引かないものであり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 相違点(ア)について、両意匠のやすり面の範囲は、大きく異なるものであり、当該相違点は、やすりをかける際の使い勝手に大きな影響を及ぼすものであって、需要者もこの点に注目するといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(イ)について、両意匠のやすり目は、具体的な形状が異なるものであり、当該相違点は、やすりをかける際の使い勝手に大きな影響を及ぼすものであって、需要者もこの点に注目するといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(ウ)について、引用意匠の紐通し穴は、やや大きいものであるが、この種物品の分野おいて、工具の後端部付近に紐通し穴を設けたものは、本願出願前よりごく普通に見られるものであるから(例えば、意匠登録第1409515号の意匠)、格別需要者の注意を引かないものであり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(エ)について、引用意匠の色彩は、この種物品の分野おいて、比較的多く見られるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 両意匠の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠を総合的に観察した場合、意匠全体の形状に関わる共通点(ア)は、共通点(イ)と相まって両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものの、相違点(ア)及び(イ)の具体的態様における相違点が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも大きく、相違点(ア)から(エ)が相まって、共通点のそれを凌駕して需要者に別異の印象を与え、両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠の形状等は類似しない。 3 小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一であるものの、その形状等において類似しないから、両意匠は類似しない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2024-10-16 |
出願番号 | 2022024810 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
松田 光太郎 渡邉 久美 |
登録日 | 2024-11-13 |
登録番号 | 1785257 |
代理人 | 原田 寛 |
代理人 | 中村 政美 |