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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1419388 
総通号数 38 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2025-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-08-28 
確定日 2025-01-14 
意匠に係る物品 舌ブラシ 
事件の表示 意願2023− 9974「舌ブラシ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯

本願は、令和5年(2023年)5月17日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和6年(2023年)1月23日付 :拒絶理由の通知
同年 3月 4日 :意見書の提出
同年 5月27日付 :拒絶査定
同年 8月28日 :審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「舌ブラシ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしてものであって、具体的には以下のとおりである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2022−088075
第8ページ所載【図1】ないし【図3】に表された「歯ブラシ」のうち、本願の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(ヘッド部及びネック部)の意匠

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「舌ブラシ」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「歯ブラシ」であり、清掃対象が舌であるか歯であるかについて異なるが、いずれも口腔内の清掃に使用し、対象物の表面に付着した汚れを刷掃し除去する用途及び機能が共通しており、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は類似する。

(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして、認定する。

ア 共通点
両意匠は、首部と首部先端の植毛台があり、植毛台は略隅丸三角形の板状であり、植毛領域には多数の略円柱状の毛束を備えてブラシ面とし、その正面視上下中央付近を上下端に比べて若干高いものとした点において共通する。

イ 相違点
(ア)正面視右端本願意匠について、本願意匠は、電動ブラシ本体または柄部等に嵌着するものと認められ、正面視右端が切りっぱなし状であり右側面に取り付け孔があるのに対し、引用意匠は、正面視右端を把持部と連続した態様としている点、
(イ)首部本願意匠について、本願意匠は、底面視右端は次第にラッパ状となる略円筒形であり、首部の軸形状は略隅丸扁平矩形であるのに対し、引用意匠は、底面視右端は上方に屈曲しながら僅かに太幅であり、首部の具体的な軸形状は断面図及び斜視図等の図がないため不明である点、
(ウ)毛束の高さ比率及びブラシ面の態様本願意匠について、本願意匠は、植毛台の厚みに対する毛束の高さ比率は約1:1.4であり、ブラシ面は正面視上下中央が左右均等に高く上下方向に弧状であるのに対し、引用意匠は、同比率は約1:3であり、ブラシ面は正面視上下中央の左右端のみが高く左右中央は緩やかに凹んでいる点、
(エ)毛束の配列態様本願意匠について、本願意匠は、植毛台の正面視形状が略隅丸二等辺三角形状であり、左右方向に長く上下2辺の直線部があり、植毛領域の毛束は当該三角形の輪郭に沿った配列態様であるのに対し、引用意匠の植毛台の正面視形状は略隅丸三角形状であり、左右方向の長さは短く直線部はなく、植毛領域の毛束は中央部に六角形状をなしてその周囲の隙間を埋める配列態様である点、
において相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は類似する。

(2)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
両意匠は、首部と首部先端の植毛台があり、植毛台は略隅丸三角形の板状であり、植毛領域には多数の略円柱状の毛束を備えてブラシ面とし、その正面視上下中央付近を上下端に比べて若干高いものとした点は、口腔内を清掃するブラシの物品分野において、概括的な構成の共通点に過ぎず、両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

イ 相違点の評価
相違点(ア)について、本願意匠は、正面視右端が切りっぱなし状であり、右側面に取り付け孔がある形状等であるのに対して、引用意匠は本願意匠に相当する部分の右側は把持部と連続しており、当該部分の右側面がなく、この点は両意匠の骨格的な態様に係る相違であって、正面視右端の連続する把持部の有無は需要者の注意を強くひくものであるから、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(イ)について、両意匠は、首部の底面視右端寄りの態様が相違し、引用意匠は、首部の具体的な軸形状が不明であるが、この点は首部及び首部端部のプロポーションに影響し、需要者に異なる美感を起こさせる点であることから、相違点(イ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(ウ)及び相違点(エ)について、両意匠は、植毛台の厚みに対する毛束の高さ比率並びにブラシ面の態様及び植毛台の正面視形状並びに植毛領域の毛束の配列態様が相違するが、この点はブラシの使用時の操作感や清掃性能に大きく影響する形状等であって需要者が商品の選択・購入時に子細に観察する点であることから、相違点(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両意匠の類否判断に与える影響は限定的であるのに対し、相違点(ア)から相違点(エ)は、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。

(4)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は類似するが、その形状等において類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第5 むすび

以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲



審決日 2024-12-25 
出願番号 2023009974 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 山永 滋
渡邉 久美
登録日 2025-02-07 
登録番号 1791351 
代理人 宇野 智也 
代理人 南瀬 透 

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