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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1420379 
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2025-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-08-20 
確定日 2025-01-28 
意匠に係る物品 くし 
事件の表示 意願2023− 5046「くし」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和5年(2023年)3月14日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和5年(2023年)12月20日付け:拒絶理由通知書
令和6年(2024年) 2月 2日 :意見書の提出
同年 5月14日付け:拒絶査定
同年 8月20日 :審判請求書の提出


第2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「くし」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界を示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)


第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1335438号
(意匠に係る物品、くし)の意匠
正面視右半分に配されたくし歯のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分


第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

以下において、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)が類似するか否かについて検討し、判断する。
また、本審決では、引用意匠のうち本願部分に対応する部分を、「引用部分」という。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、いずれも「くし」であるから、意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
両部分は、いずれも髪の毛をすいたり、整えたりする用途及び機能を有するものであって、また、正面視において、本願部分は左半分に設けられた太くし歯の略中央に位置する1本のくし歯としているのに対し、引用部分は右半分に配された細くし歯のうち本願部分に相当する部分であるから、位置は異なるが、大きさ及び範囲は、一致する。

(3)両部分の形状等
両部分の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

ア 共通点
側面視において、くし歯根本部から下部に向かって先窄まりで下端は丸味を帯びている点、において共通する。

イ 相違点
(ア)正面視において、本願部分は、くし歯根本部から下部に到達するまで略等幅に平行であるのに対し、引用部分は、くし歯根本部から下部に向かって先窄まりである点、

(イ)底面視において、本願部分は、くし歯根本部が丸みを帯びた略縦長楕円形状であり、くし歯下部がくし歯根本部の略縦長楕円形状の短軸の長さを直径とした略小円形状として表れているのに対し、引用部分はくし歯根本部が略縦長紡錘形状であり、くし歯下部の形状は表れていない点、において相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、総合的に観察して、両部分の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能は一致するから、同一である。位置については、異なるが、左側半分のうちの中央部分か、右側半分のうちの中央部分かの、左右どちらかの違いだけであるから、類似する。大きさ及び範囲は一致するから、同一である。

(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価

ア 共通点の評価
この種物品の分野において、側面視において、くし歯根本部から下部に向かって先窄まりで下端は丸味を帯びた形状とすることは、例を示すまでもなくありふれた態様であることから、格別需要者の注意をひくものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。

イ 相違点の評価
相違点(ア)について、両部分は、需要者にとって子細に観察する部位であり、この点に注目すると言えるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(イ)について、引用部分のくし歯下部の形状は表れていないことから、略縦長紡錘形状のくし歯根本部から長軸方向、短軸方向共に漸次窄めた形状であるといえ、当該物品分野では一般的にみられる態様であるのに対して、本願部分のくし歯下部がくし歯根本部の略縦長楕円形状の短軸を直径とする略小円形状に表れることから、くし歯根本部の略縦長楕円形状の短軸方向の厚みを保ちつつ、長軸方向の厚みのみ下部に向けて漸次窄めてなめらかに延ばした形状としたうえで、その先端部を、丸味を帯びた略ドーム状とした点が大きな特徴であり、需要者もこの点に注目するといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。


(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能は同一、位置は類似、大きさ及び範囲も同一であるが、形状等においては、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲



審決日 2025-01-14 
出願番号 2023005046 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 玉虫 伸聡
前畑 さおり
登録日 2025-02-21 
登録番号 1792454 

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