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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) C4
管理番号 1157242 
判定請求番号 判定2006-60069
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2007-06-29 
種別 判定 
判定請求日 2006-12-12 
確定日 2007-05-01 
意匠に係る物品 美顔器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1149305号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号意匠は、登録第1149305号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号意匠に係る美顔器は、登録第1149305号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求める、と申し立て、その理由を要旨以下のとおり主張した。
本件登録意匠は本件請求人に係る意匠であるところ、請求人は現在、本件登録意匠に係る改良品であるイ号意匠の美顔器を販売しており、イ号意匠の美顔器が本件登録意匠の意匠権及びこれに類似する意匠の範囲に属するかどうかの確認が必要となった。
本件登録意匠に関する先行周辺意匠の調査によれば、本体に可動式のローラーアームを兼ね備え、コットンを固定する為のコットンカバーを装着して使用するハンディタイプの美顔器は他には存在しておらず、本件登録意匠は極めて独創性が高いものである。なお本件登録意匠のローラーアームのアーム部は本体から直線的に伸びているのに対し、イ号意匠のそれは本体内側寄りにやや湾曲して伸びており、またローラー部の長さにも差があり、更にイ号意匠には2本の補助アームが配されているが、いずれも看者に与える印象を異にするほどではない。従って両意匠は基本構成を同じくし、具体的形状においても同一印象の範囲内の軽微な差異があるにすぎないから、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、と判断されるべきである。

第2.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成13年8月21日に意匠登録出願をし、平成14年6月14日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1149305号意匠であり、意匠に係る物品を「美顔器」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとするものである。(別紙第一参照)
2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書において「イ号意匠」として写真で示された意匠であり、意匠に係る物品が美顔器であると認められ、形態は当該写真に表されたとおりである。(別紙第二参照)

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、(1)全体が把持部とヘッド部、及びヘッド部に起倒自在に取り付けられたローラーアームからなり、把持部は、前後にやや扁平な略縦長角柱状で、その上端が手前に、斜め上向きに折曲されてヘッド部を形成し、ヘッド部頂面を、コットンが別枠(コットンカバー)で固定される平坦面とし、ヘッド部に被さるように、略倒コ字状を呈するローラーアームが、ヘッド部下寄りの両側面に軸止される態様で、後方に自在に倒せるように取り付けられた基本的な構成のものである点、その具体的な態様について、(2)把持部は、正面視での横幅が略等幅で、両側面、下面、及び両下角部が丸面状で、把持部の上端は、僅かに横幅を狭め、緩やかな曲面状に手前に折れ曲がりヘッド部に至るもので、把持部前面において、中央やや上寄りに縦長楕円状の操作パネルが表され、把持部両側面において、幅中央に縦に細長く、暗調子の区画面が表されている点、(3)ヘッド部は、頂面近くが僅かに先細状で、頂面寄りの一定幅が扁平錐台状に区画されて暗調子で表されており、頂面をやや横長の楕円形としている点、(4)ローラーアームは、左右一対のアーム部の先端に、1本のローラーが横架されたもので、アーム部は両端が丸面状を呈し、側面視で両側辺が若干凹状にくびれた態様である点、が共通し、更に具体的にみても、(5)操作パネルの全長が把持部全長の大略1/2程度で、その上下に小楕円、及び小円が表されている点、が共通する。

一方両意匠には、差異点として、(イ)ローラーアームについて、本件登録意匠は左右のアーム部が正面視直線状で、アーム部相互が平行状であるのに対し、イ号意匠は、アーム部の先端寄りが内向きに湾曲した先狭状で、ローラーの長さが本件登録意匠より短く、またローラーに沿って2本の補助アームが横架されている点、(ロ)把持部の側面視での厚みについて、本件登録意匠は前後両面がほぼ直線状で、全体がほぼ同じ厚みと認められるのに対し、イ号意匠は、僅かに凸曲状を呈し、全体が前後に僅かに中膨らみ状と認められる点、(ハ)把持部側面の暗調子の区画面について、本件登録意匠は、等幅の細帯状であるが、イ号意匠は中心部分で幅の広い楕円状である点、が主に認められる。

そこで上記の共通点と差異点を全体として検討するに、まず共通点(1)については、全体の基本的な構成を表す態様であり、また本件登録意匠の特徴をよく表すところに関わる態様と認められる。即ち、この種の美容用器具においては、把持部の上端に、例えば皮膚と接触させるため等の平坦面を設けること、或いは把持部の上端にローラーを設けることは、それぞれ従来から広くみられるところであるとしても(例えば実開昭57-182430、実開平5-84328、特開平6-285129、特開2000-282、特開2001-95875、実用新案登録番号第3037204号等)、把持部上端にコットンを固定するための平坦面を設け、且つこれに被さるように起倒自在にローラーアームを設けた構成が、従来に広くみられていたとは認めることができず、ローラーアームを起倒自在に設けて全体を一体化した点が本件登録意匠の特徴をよく表すところと認められる。そしてこの(1)の基本的な構成に、各部の具体的な態様である(2)ないし(4)の共通点、及び、更に具体的な(5)の共通点も加わることにより、両意匠の全体に一定の共通感が生じており、しかもこれら共通点は、本件登録意匠の特徴をよく表すところも含んでいるから、両意匠の類否判断において、かなり大きな影響を及ぼすものと認められる。

一方差異点について検討するに、(イ)の点は、イ号意匠において、アーム部の先端寄りが内向きに湾曲してまたローラーに沿って2本の補助アームが横架されたものであるが、その湾曲の度合いは、ローラーアームの略倒コ字状の構成を変更するほどのものとは認められず、また補助アームも、ローラー本体に沿って表されたものであるから、その有無がさほど目立たず、全体としては、ローラーアームについての(1)、及び(4)の共通する構成態様の中でみられる、部分的な形状変更の範囲に止まる。また(ロ)の点も、凸曲状とする程度もさほど顕著なものではなく、(ハ)の点も、把持部の左右側面の幅中央に、縦に細長く、暗調子の区画面を設けた点では共通しており、いずれも両意匠の共通する構成態様の中で見られる軽微な差異に止まり、両意匠を別異に特徴付けるまでには至らないものである。
即ち両意匠の差異が類否に及ぼす影響はいずれも微弱で、それらの関連効果を考慮しても、共通点が形成する全体のまとまりを覆すまでには至らず、両意匠は全体として類似するものである。

4.結び
以上のとおりであって、両意匠は全体として類似し、イ号意匠は、本件登録意匠、及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2007-04-18 
出願番号 意願2001-28151(D2001-28151) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (C4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 雅美 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 上島 靖範
市村 節子
登録日 2002-06-14 
登録番号 意匠登録第1149305号(D1149305) 

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