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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K0 |
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管理番号 | 1209842 |
審判番号 | 不服2009-12882 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-15 |
確定日 | 2009-12-16 |
意匠に係る物品 | 半導体製造装置用ウエハ搬送アーム |
事件の表示 | 意願2007- 26880「半導体製造装置用ウエハ搬送アーム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成19年10月2日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「半導体製造装置用ウエハ搬送アーム」とし,意匠登録を受けようとする部分を実線で表し,その他の部分を破線で表したもので,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 これに対して,原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の公開特許公報記載,特開2005-311306図2及び図6にあらわされた「基板支持具」(20b)における,本願意匠に相当する部分の意匠であって,その形態は,公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 そこで,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 本願意匠と引用意匠とでは,基本的構成態様が共通することは原審認定の通りである。そして,本願意匠と引用意匠とでは,意見書で記したとおり,アーム先端部の切り欠きの有無と,アーム裏面の段差の有無に差異がある。 原審ではこれらの差異を微差と認定しているが,共通する基本的構成態様はこの種の物品の意匠としてはありふれたものであって,類否に及ぼす影響は比較的小さいというべきであり,差異点が重視されなければならない。 (1)切り欠きについて 先端部の二つの切り欠きと基部の一つの切り欠きは,二等辺三角形の頂点に相当する位置に形成されている。また,これら3つの切り欠きは,幅(正面図中,先端側切り欠きの左右長さ,基部切り欠きの上下長さ)が一致している。そのために,3つの切り欠きは,同じ長さの切り欠きが二等辺三角形の頂点位置にバランスよく配置されたものとして認識されるものであり,3つの切り欠きは意匠的なまとまりを形成しているのである。そして,比較的単純なそしてありふれた形態である基本的構成態様の中にあって,アイキャッチャーとして需要者の視覚に訴えるものとなっているのである。 他方,引用意匠においては切り欠きが基部に存するのみであるから,切り欠きが二等辺三角形を構成することはなく,上記本願意匠から看取される印象を生じさせるものではない。 したがって,切り欠きの差異は微差というべきものではなく,類否に与える影響は大きいというべきである。 (2)段差について 本願意匠における各段差は僅か0.1ミリ程度ではあるが,その存在は視覚で容易に確認できるものである。そして,本願意匠は段差を設けて先端側を薄くすることにより,搬送アームが撓んでもウエハボートの所定の位置にウエハを装着できる,ウエハボートへの搬送作業時にウエハを傷つけるおそれがない,という作業上無視できない機能を得ることができるものであり,段差の有無は需要者の大きな関心事である。 以上のとおり,本願意匠と引用意匠の対比において,本願意匠において切り欠きを基部と先端の都合三カ所に形成した点は,さほど特徴的ではない基本的構成態様においてアイキャッチャーとして機能するものであって微差というべきものではない。また,段差の有無は数値的には僅かなものであるが,その存在は明確に視覚に映るものであって,現に目で見て段差の有無を確認しているものであり,加えて従来同種の態様は全く存在しない斬新なものである。 そうすると,これらの差異点が類否に与える影響は大きく,さほど特徴的とはいえない基本的構成態様の共通性を凌駕するものと言うべきである。 4.当審の判断 そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,ともに半導体製造装置においてウエハ基板を搬送するために使用されるアームであるから,意匠に係る物品が一致する。 次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点,すなわち,共にウエハ保持部の態様を正面視略U字状とし,先端部を先細状とし,基部に略矩形状切欠部を形成した点については,この意匠の属する分野においては,普通に行われている手法による形態であって,この点が一致することを以て,類似するとするほど格別な特徴とはいえない。 一方,相違点については,両先端部の内側に略矩形状切欠部を形成した点,この切欠部が基部の切欠部と略同形である点,背面部の意匠登録を受けようとする部分を略3等分するように段差を設け,先端に向かって徐々に薄く形成した点は引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらの類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-11-25 |
出願番号 | 意願2007-26880(D2007-26880) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K0)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 太田 茂雄、玉虫 伸聡、小林 裕和 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2010-01-08 |
登録番号 | 意匠登録第1379294号(D1379294) |
代理人 | 峯 唯夫 |