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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) K3
管理番号 1277780 
判定請求番号 判定2013-600006
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 判定 
判定請求日 2013-02-06 
確定日 2013-08-08 
意匠に係る物品 刈払い機用刃 
事件の表示 上記当事者間の登録第1412485号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「刈払い機用刃」の意匠は,登録第1412485号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1 請求人の申立て及び理由
請求人は,「イ号意匠ならびにその説明書に示す意匠は,登録第1412485号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める。」と申立て,その理由として判定請求書に記載のとおりの主張をし,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

第2 被請求人の答弁及び理由
被請求人は,「イ号図面並びにその説明書に示す意匠は,意匠登録第1412485号及びこれの類似範囲に属さない,との判定を求める。」と答弁し,その理由として判定請求答弁書に記載のとおりの主張をし,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

第3 請求人の弁駁及び理由
請求人は,「イ号図面ならびにその説明書に示す意匠は,登録第1412485号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める。」と弁駁し,その理由として判定事件弁駁書に記載のとおりの主張をし,証拠方法として甲第3号証を提出した。

第4 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は,平成22年(2010年)6月3日に意匠登録出願され(意願2010-16747),平成23年(2011年)4月1日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1412485号の意匠(以下,「本件登録意匠」という。)であり,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「刈払い機用刃」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.イ号意匠
本件判定請求の対象とされるイ号意匠(以下,「イ号意匠」という。)は,判定請求書において,イ号図面及びイ号意匠の説明書によってイ号意匠として示されたものであり,その形態を当該図面及び説明書に記載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)
なお,上記図面のうち,イ号意匠を表す平面図及び斜視図については,判定請求答弁書において,両図を修正したものとして,修正平面図及び修正斜視図が記載されているが,本判定においては,修正平面図及び修正斜視図を採用せず,判定請求書に記載された平面図及び斜視図を採用して判定を行う。

3.両意匠の対比
意匠に係る物品については,ともに「刈払い機用刃」であり,一致する。
形態については,主として以下の共通点と相違点がある。

(1)共通点
(A)全体は,長手方向中央部に正面視で緩やかな傾斜の台形状凸部を形成するように折り曲げられた帯状板である点
(B)帯状板の長手方向端部は,末広がりになっている点
(C)帯状板の長辺側の長手方向端部に,板厚を次第に薄くすることにより刃部が形成されている点
(D)帯状板の中央に円形孔が設けられている点

(2)相違点
(ア)本件登録意匠は,平面視において,一定幅の直線部が全体の約2割の長さで中央にあり,そこから長手方向端部に向けて,帯状板の長辺に段差を形成することなく,末広がりになっているのに対し,イ号意匠は,平面視において,一定幅の直線部が全体の約6割の長さで中央にあり,その直線部の端で,帯状板の長辺に凸弧状の段差を形成して幅が広がり,そこからさらに端部に向けて末広がりになっている点
(イ)本件登録意匠は,帯状板の長手方向端部の底面に凹部が設けられていないのに対し,イ号意匠は,帯状板の長手方向両端部の底面に,底面視において頂角を角丸にした略二等辺三角形の浅い凹部が設けられている点
(ウ)本件登録意匠は,長さ(平面視での長手方向の長さ),幅(最大幅),高さの構成比率が,約100:15:7であるのに対し,イ号意匠は,同構成比率が,約100:17:5である点

4.両意匠の類否判断
両意匠に係る形態について,
共通点(A)については,両意匠の骨格を形成するものではあるが,本件登録意匠の出願前から見られるありふれた形状であって,需要者の注意を強く引くものではなく,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。
共通点(B)については,参考意匠1(別紙第3参照)に見られるように,本件登録意匠の出願前に古くから見られるありふれた態様であるから,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。
共通点(C)及び共通点(D)については,部分に係り,また,本件登録意匠の出願前から見られるありふれた形状であり,さらに,刈払い機用刃としての機能に基づく必然的な形状であるから,この共通点が類否判断に与える影響は極めて小さい。
以上,共通点(A)ないし(D)については,いずれも類否判断に与える影響は小さく,また,それらが相まった印象についても,両意匠が類似するという印象を強く与える程ではなく,共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいといえる。
他方,相違点(ア)については,本件登録意匠は,平面視において帯状板の長辺に凸弧状の段差がなく,平面視における長辺の形状は滑らかに拡開している印象で,全体の形状に連続性が強く感じられるのに対し,イ号意匠は,凸弧状の段差を境にして,一定幅の直線部と末広がりの端部とに形状が分かれて認識され,全体の形状に連続性が感じられないことから,この相違点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
相違点(イ)については,面積的には小さいが,刃部近傍の形状の相違であり,この相違点が類否判断に与える影響は一定程度認められる。
相違点(ウ)については,程度の差がそれほど大きくないため,この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
以上,相違点(ア)ないし(ウ)について,(ア)が類否判断に極めて大きな影響を与え,さらに,(イ)及び(ウ)が類否判断に与える影響を加えると,相違点が両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きいといえる。

したがって,本件登録意匠とイ号意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態については,相違点が類否判断に与える影響が,共通点が類否判断に与える影響を凌駕しており,意匠全体として見た場合,視覚的印象を異にするというべきであるから,イ号意匠は,本件登録意匠に類似するものとすることはできない。

5.結び
したがって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって,結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2013-07-30 
出願番号 意願2010-16747(D2010-16747) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (K3)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 遥子並木 文子 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
中田 博康
登録日 2011-04-01 
登録番号 意匠登録第1412485号(D1412485) 
代理人 中谷 武嗣 
代理人 藤田 典彦 
代理人 藤田 邦彦 

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