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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1280012 |
審判番号 | 不服2013-7718 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-26 |
確定日 | 2013-09-19 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2012- 5806「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成24年(2012年)3月14日付けの出願であって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成8年(1996年)5月17日)に記載された意匠登録第953719号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共に「自動車用タイヤ」であるから,一致する。 2.両意匠の形態 両意匠の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部及びショルダー部における各部の名称について,その3列の中央ブロック区画を「中央区画」,その両側の平坦区画を「左右ショルダー区画」とし,タイヤ側面部を「サイドウォール部」とする。(別紙第1:A-A線端面図及び赤字記載部分,別紙第2:X-X’矢視断面参考図及び赤字記載部分参照) (1)本願意匠 全体を環状体とし,トレッド部は,内部に凸状部を設けて断面視略W字状とした太い縦溝(以下,「W状溝部」という。)2条により,中央区画及び左右ショルダー区画に大きく3分割され,中央区画は,断面視略V字状の縦溝2条により,さらに3つの帯状体に3等分され,左右ショルダー区画は,その外側端部に断面視略J字状の細溝を各1条形成した構成態様としている。次に,中央区画の各帯状体には,正面視右下がりの傾斜をなし,角部が丸められたクランク状のサイピングを,帯状体の幅とサイピング間の比が約1:1の間隔となるように,周方向に等間隔に多数形成している。なお,このサイピングは,3つの帯状体において周方向に僅かにずらして形成されている。また,各帯状体の左右辺部分,左右ショルダー区画内側辺部分及びW状溝部内の凸状部上面部分にも多数の細かな直線状のサイピングが形成されている。そして,サイドウォ-ル外周部分には断面視円弧状の切り欠きを連続して3つ形成し,それにより側面視において外周部付近に4重円が表れている。 (2)引用意匠 全体を環状体とし,トレッド部は,正面視ジグザグ状とした太いV字状縦溝(以下,「ジグザグ状溝部」という。)2条により,中央区画及び左右ショルダー区画に大きく3分割され,中央区画は,ジグザグ状溝部2条により,さらに3つの帯状体に3等分され,左右ショルダー区画は,その外側端部に断面視略I字状の細溝を各1条形成した構成態様としている。次に,中央区画の各帯状体には,正面視右上がりの傾斜をなし,角部が直角状のクランク状の細溝を,帯状体の幅とクランク状の細溝間の比が約2:3の間隔となるように,周方向に等間隔に多数形成している。なお,この細溝は,3つの帯状体において周方向に僅かにずらして形成されている。また,各帯状体の左右辺部分及び左右ショルダー区画内側辺部分に,正面視鋸歯状の突起部を,対向する突起同士が噛み合うように配設してジグザグ状溝部を形成している。そして,タイヤサイドウォ-ルの外周縁部を断面視円弧状に切り欠き,該部分に多数の太い溝部を等間隔に放射線状に配設し,そのすぐ内周部分に側面視において7重円が表れている。 2.両意匠の類否判断 (1)共通点及び相違点 両意匠を対比し,検討すると,両意匠の意匠に係る物品は,共に自動車用タイヤであり,一致する。 次に,その形態は,全体を環状体とし,中央区画には,傾斜したクランク状の横方向の切れ込みを周方向に等間隔に多数形成した帯状体を3列設け,これらを周方向に僅かにずらして配設し,左右ショルダー区画を平坦なトレッド面とした点で共通するものの,具体的な構成態様において,以下のとおりの相違点が認められる。 すなわち,(A)中央区画と左右ショルダー区画との間の溝部の態様について,本願意匠は,上面部に多数の細かな直線状のサイピングを施した凸状部を溝部内部に設けた,断面視略W字状の太い縦溝としているのに対し,引用意匠は,正面視ジグザグ状とした太いV字状縦溝としている点, (B)中央区画の帯状体間の溝部の態様について,本願意匠は,正面視直線状で,断面視略V字状の縦溝としているのに対し,引用意匠は,正面視ジグザグ状とした太いV字状縦溝としている点, (C)中央区画の帯状体におけるクランク状の横方向の切れ込みの態様について,本願意匠は,角部が丸められたサイピングを右下がりに形成し,帯状体の幅と当サイピング間の比が,約1:1の間隔であるのに対し,引用意匠は,角部を直角とした細溝を右上がりに形成し,帯状体の幅と当細溝間の比が,約2:3の間隔である点, (D)左右ショルダー区画の態様について,本願意匠は,左右ショルダー区画の内側辺部分に多数の細かな直線状のサイピングを形成しているのに対し,引用意匠は,同部位に正面視鋸歯状の突起部を形成している点, (E)サイドウォール部の態様について,本願意匠は,サイドウォール部外周部分が肉厚に形成され,側面視で3重円が表れているのに対し,引用意匠は,サイドウォール部外周部分が断面視円弧状に切り欠いて形成され,該部位には多数の太い溝部を等間隔に放射線状に配設し,その内周部分には側面視で7重円が表れている点,が認められる。 (2)類否判断 両意匠の形態における共通点は,両意匠のトレッド部及びショルダー部における表面部分の態様のみを概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定することはできないものである。 これに対し,相違点(A)ないし(D)の各部位の態様の相違点は,各部位の溝部等の相違する態様が相まって生じる視覚的効果により,両意匠に別異の印象を与えるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。 また,相違点(E)サイドウォール部の態様の相違点は,タイヤ外周部における放射線状の多数の太い溝部の有無の違いは,側面視において特に目立つものであるので,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものといえる。 さらに,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが,形態については,両意匠の間には,その基本的な形状を含めて複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-09-05 |
出願番号 | 意願2012-5806(D2012-5806) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 橘 崇生 |
登録日 | 2013-10-11 |
登録番号 | 意匠登録第1483786号(D1483786) |
代理人 | 永芳 太郎 |
代理人 | 南部 さと子 |