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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1292717 |
審判番号 | 不服2014-5463 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-25 |
確定日 | 2014-09-29 |
意匠に係る物品 | トースター |
事件の表示 | 意願2013-8988「トースター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,意願2013-2248(審判番号;不服2014-5462)の意匠を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願であって,平成25年(2013年)4月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「トースター」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁発行の意匠公報に記載の,意匠登録第1273867号(意匠に係る物品,オーブントースター)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,願書の記載内容等によると,本願意匠が「トースター」であって,引用意匠が「オーブントースター」であり,表記は異なるが,引用意匠のオーブントースターは,電気トースターのうちオーブン型のものを指すものであり,本願意匠は,出願時の添付図面より,その形態がオーブン型と認められるから,結局のところ,本願意匠もオーブントースターに係るものであるから,実質は,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 基本的構成態様においては, (A)本体形状を,横長直方体とした点, (B)前面全体を,僅かに傾斜角度を付けた略垂直面とした点, (C)前面の上側約3分の2を扉面とした点, (D)前面の下側約3分の1の中央に操作ボタンを配置した操作パネルを設けた点, 具体的構成態様においては, (E)扉の上端に,扉の全幅にわたる取っ手を設けた点, (F)操作パネルの左右両端にあり,前面と左右側面との角に,正面側から側面側に至る,水平断面形状がL字状の部材(以下,「左右長方形枠」といい,「操作パネル」と合わせて「前面下部」という。)を設けている点, で主に共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(ア)僅かに傾いた前面全体形状について,本願意匠は,(イ)で述べる,前面下部の面構成によって,前面全体の上から約6分の5の箇所から奥に向かって緩やかに湾曲する1枚の傾斜面であると認識する態様であるのに対して,引用意匠は,上側の扉面と,扉面より更に傾斜角度を付けた前面下部で,谷折り状の2面の傾斜面から構成されているように見える態様である点,(イ)前面下部の形状について,本願意匠は,上下中央辺りで,奥に向かって緩やかに湾曲させているのに対して,引用意匠は,扉面より更に傾斜角度を付けた平坦面である点,(ウ)取っ手の形状について,本願意匠は,前面が緩やかに手前に膨らんだカーテン・ボックス状の,下側に開口部を持ち,左右両端を塞いだ箱状のものが,扉部上枠と別体にして設けたものであるのに対して,引用意匠は,側面視略倒F字形の型材を切断したような直線的な形状のものを,左右両端面が表れたままに,本体上面と面一になるように設け,あたかも本体上面を延長させた面にスリット(横長極細孔)を設けたように看取される態様である点,(エ)操作パネル部分の態様について,本願意匠は,中央に同形同大の2つの円柱ツマミを設け,その左側に上下2段にした横長長方形区画を7つ,中央のツマミの右隣に,横長長方形の区画と1つの円柱ツマミを設け,更に右端に上下に並べた横長長方形区画を2つ設けたものであるのに対して,引用意匠は,右側に2つの同形同大の円柱ツマミと正円区画を設け,左側に正円区画と円柱ツマミ,そして,小円区画を4つ横に並べたものである点,(オ)扉部の下枠について,本願意匠は,上枠の約2分の1の縦幅で,やや太帯状としているのに対して,引用意匠は,極細い縦幅としている点, において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,共通点は,両意匠の形態全体の骨格的な態様をなし,一見したときに一定程度の共通する印象を与えると言える。 しかし,これに対して,具体的態様である相違点(ア)は,前面形状が主要なデザインポイントであると認められるオーブン型トースターの前面部分全体にわたる面構成の相違であって,大きな部分であり,目に付きやすい位置の相違であり,また,相違点(イ)は,使用時に操作をする際に目が行く操作パネルを含む前面下部の形状であり,前面全体の印象にかかわる相違であるから,これら相違点(ア)及び相違点(イ)を併せると,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考えられる。相違点(ウ)は,使用の際,開閉時に触れる取っ手部分の形状の違いであり,この部分は目に付きやすい位置であるから,これらの相違は,両意匠の類否判断における影響は相当程度認められる。相違点(エ)は,引用意匠が,全ての要素が横一列に並んでおりシンプルな印象を与えるのに対して,本願意匠は,やや複雑に感じる態様であるし,なおかつ,手前に突出している円柱ツマミの位置が異なることを考慮すると,操作時に触れる部品がある操作パネル部分の態様でもあるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。 以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,全てを総合するまでもなく,相違点(ア)ないし(エ)までで,前記共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-09-17 |
出願番号 | 意願2013-8988(D2013-8988) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久保田 麻理 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
中田 博康 橘 崇生 |
登録日 | 2014-10-10 |
登録番号 | 意匠登録第1511401号(D1511401) |
代理人 | 永芳 太郎 |