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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1293648 
審判番号 不服2014-9567
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-22 
確定日 2014-11-11 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2013- 15634「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2013年1月9日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)7月9日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成22年(2010年)3月23日)に掲載された,意匠登録第1349866号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の当該部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに自動車用タイヤであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2.本願実線部分と引用相当部分の対比
(1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれもタイヤ側面部の装飾のために,サイドウォール部のショルダー部との境界部分やや内側に沿って形成された,上下一対の略円弧状の細帯状部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
以下,対比の都合上,本願意匠の図面の記載にならい,引用意匠の「右側面図」を引用意匠の「左側面図」とし,その他は,これに準じて表されているものとする。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,タイヤ左側面側サイドウォール部の,ショルダー部との境界部分やや内側に沿って,略円弧状の細帯状部(以下,「略円弧帯状部」という。)を上下線対称に分離して一対形成している点,
(B)略円弧帯状部は,その円弧状上下辺を同心円上の2つの円周に沿って均等幅の帯状部となるよう形成し,その左右端部のタイヤ中心部側寄りの部分に略L字状の切欠き部(以下,「端部切欠き部」という。)を一つずつ形成し,左右両端部の外側寄りの部分を細幅(以下,「細幅部」という。)としている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)細い略三日月状の帯状部(以下,「略三日月帯状部」という。)の有無について,本願実線部分には,略三日月帯状部が形成されていないのに対して,引用相当部分は,略三日月帯状部を,上下に配した略円弧帯状部の端部切り欠き部の間に,略三日月帯状部の円弧状下辺と略円弧帯状部の円弧状下辺とが同一円周上となるように,左右線対称に分離して一対形成している点,
(イ)細幅部の態様について,本願実線部分は,右端部細幅部が左端部細幅部の約2倍の長さとなるよう形成し,左右細幅部先端部における円弧状上辺と左辺若しくは右辺のなす角度を鋭角とし,細幅部の幅が等幅であるのに対して,引用相当部分は,左右端部細幅部をほぼ同じ長さに形成し,左右細幅部先端部における円弧状上辺と左辺若しくは右辺のなす角度を鈍角とし,細幅部の幅が先端にいくにつれて漸次小さくなっている点,
(ウ)端部切欠き部の態様について,本願実線部分は,端部切欠き部を鈍角となるよう切り欠いているのに対して,引用相当部分は,端部切欠き部を鋭角となるよう切り欠いている点,
(エ)略円弧帯状部の形成部位について,本願実線部分は,サイドウォール部表面部分に略円弧帯状部を形成しているのに対して,引用相当部分は,サイドウォール部表面部分を僅かに切り欠いて略円弧帯状部を形成している点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
両意匠部分の形態における上記共通点は,略円弧帯状部の態様を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠部分の類否判断を決定することはできない。

これに対し,相違点(ア)略三日月帯状部の有無については,目に付く部位における相違であり,その態様自体も特徴的な略三日月状のものであることから,それらの帯状部のない本願実線部分の態様と,全く別の態様が加わった引用相当部分の態様とは看者に別異の印象を強く与えるものであって,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
次に,相違点(イ)細幅部の態様については,上下が線対称であっても左右が非対称なアンバランスな本願実線部分の態様と,上下左右共に線対称で安定して見える引用相当部分の態様とは,看者に与える印象が全く異なるものであり,また,幅の変化の有無や先端形状の相違も異なる印象を呈するものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(ウ)端部切欠き部の態様及び相違点(エ)略円弧帯状部の形成部位については,端部における相違であり,また,僅かな凹みの有無についての相違であるが,斜め前方から見た際には,やはり目に付く相違であるから,これらの相違点は,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼす。
そうすると,これらの相違点(ア)ないし(ウ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠の類否判断を大きく左右するものである。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-10-21 
出願番号 意願2013-15634(D2013-15634) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 真珠玉虫 伸聡 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2014-11-21 
登録番号 意匠登録第1514271号(D1514271) 
代理人 村松 由布子 
代理人 杉村 憲司 

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