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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1294806 |
審判番号 | 不服2014-9435 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-21 |
確定日 | 2014-11-11 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2013- 13159「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)6月11日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。「斜視図」,「正面図の部分拡大図」及び「A-A線端面図」を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成8年(1996年)6月11日)に掲載された,意匠登録第955671号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の当該部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに「自動車用タイヤ」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 2.本願実線部分と引用相当部分の対比 (1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも全体が環状体をなす自動車用タイヤの,サイドウォール部を除いたトレッド部及びショルダー部の表面部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (2)両意匠部分の具体的形態 両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 なお,両意匠部分の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部中央部分を,周方向に施した2本の凹溝で3つの区画に分割し,この左右両側の区画を左右区画とし,中央の区画を中央区画として表記する。 まず,共通点として, (A)両意匠部分全体は,ショルダー部を丸く形成したタイヤのトレッド部中央部分に,周方向に形成した2本の凹溝を施し,トレッド部を左右区画及び中央区画の3つの区画に分割した構成としたものであって, (B)右区画は,右側の凹溝のやや右側の位置から右ショルダー部に向かって,正面視略F字状の傾斜溝部(以下,「F字状溝部」という。)を,隙間を空けて上下方向に一列形成している点, (C)左区画は,左側の凹溝のやや左側の位置から左ショルダー部に向かって,F字状溝部と左右対称の正面視略逆F字状の傾斜溝部(以下,「逆F字状溝部」という。)を,隙間を空けて上下方向に一列形成している点, (D)中央区画は,タイヤ横幅の約1/10の幅の細帯状としている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)サイピングの有無について,本願実線部分は,左右区画には,各F字状溝部及び各逆F字状溝部のセンター寄り側部分に,外側に向かって上に緩傾斜のサイピングを5条形成し,各F字状溝部及び各逆F字状溝部の外側寄り部分に,センター寄り側部分とは連続性が認められない外側に向かって上に緩傾斜のサイピングを6条形成し,中央区画には,区画の左右辺部から中央部にかけて,中央部で分離する水平直線状のサイピングを上下方向に等間隔に形成しているのに対して,引用相当部分には,サイピングが全く施されていない点, (イ)F字状溝部の態様について,本願実線部分は,F字状溝部を構成するタイヤセンター側のΓの部分を,センター寄り側先端部分に屈曲部を有するゆるやかな略S字状に形成し,F字状溝部を構成する中央横線部分を,僅かに右上がり傾斜の略直線状に形成しているのに対して,引用相当部分は,F字状溝部を構成する縦線部分を右上がり急傾斜の直線状に形成し,F字状溝部を構成する上側横線及び中央横線部分を右上がり緩傾斜の略直線状に形成している点, なお,逆F字状溝部もF字状溝部と左右対称であるため,F字状溝部の態様と同様の相違点が認められる。 (ウ)左右区画のF字状溝部及び逆F字状溝部の配置態様について,本願実線部分は,F字状溝部と逆F字状溝部とを略半ピッチずらして配置しているのに対して,引用相当部分は,F字状溝部と逆F字状溝部とを僅かにずらして配置している点, (エ)凹溝の態様について,本願実線部分は,断面視略台形状のやや浅めの凹溝であるのに対して,引用相当部分は,断面視略U字状の深く切り込んだ凹溝である点, が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 両意匠部分の形態における上記共通点は,トレッド部及びショルダー部分における各区画の態様を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠部分の類否判断を決定することはできない。 これに対し,相違点(ア)サイピングの有無については,凹溝,F字状溝部及び逆F字状溝部に比べ細く目立たないものであるとしても,各区画全面に施されたものであり,その構成態様も単なる緩傾斜ではなく,F字状溝部及び逆F字状溝部の左右で形状が変化する複雑なものであるから,これらの相違は看者に別異な印象を与え,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,相違点(イ)F字状溝部の態様については,各構成部位の相違により,曲線的な印象の本願実線部分の態様と,直線的な印象の引用相当部分のものとは,看者に別異な印象を与えており,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ウ)左右区画のF字状溝部及び逆F字状溝部の配置態様については,略半ピッチずれている本願実線部分の態様と,僅かなずれはあるもののほぼ左右対称であるとの印象を与えている引用相当部分のものとは,別異な印象を与えるものであり,この相違点(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度ある。 そうすると,これらの相違点(ア)ないし(ウ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠部分の類否判断を大きく左右するものである。 他方,相違点(エ)凹溝の態様については,凹溝部の態様における僅かな程度の差であり,特段目立つ部位ではないから,この相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分全体として別異の印象を与えるものである。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-10-23 |
出願番号 | 意願2013-13159(D2013-13159) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠、玉虫 伸聡 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-12-19 |
登録番号 | 意匠登録第1516086号(D1516086) |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 村松 由布子 |