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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1350703 |
審判番号 | 不服2018-12925 |
総通号数 | 233 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-28 |
確定日 | 2019-03-29 |
意匠に係る物品 | 自動車用フロアマット |
事件の表示 | 意願2017- 24092「自動車用フロアマット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年(2018年)10月30日の意匠登録出願であって,平成30年2月14日付けの拒絶理由の通知に対し,同年4月3日に意見書が提出されたが,同年6月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用フロアマット」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,意匠法第9条第1項の規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠は,平成29年8月10日に意匠登録出願され,その後,同年10月27日に設定登録された,意願2017-17355(意匠登録第1591103号)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,意匠に係る物品を「自動車用フロアマット」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1.意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,どちらも「自動車用フロアマット」としたものである。 2.形態 (1)共通点 全体を平板状とし,平面視によると,本体の下方を除いて左右に大きく分かれるように,中央やや左寄りに太い溝(以下「溝部」という。)を設け,本体の,溝部より左側(以下「本体左側」という。)は,左辺の下方に略倒台形状の凸部が残るように,左辺の上端から下方へ大きく略J字状に大きく切り欠き,その切り欠きと溝部に挟まれた部分が縦長帯状(以下「帯状部」という。)に表れているものであり,本体の,溝部より右側(以下「本体右側」という。)は,上辺を凹凸状とし,右辺の上方に小さな突起部を設けたものであり,下辺は,中央に略逆凹字状の突部(以下「下辺凹字状突部」という。)を設けたものである。 (2)相違点 相違点1:本体右側について,本願意匠は,上部を略凹形状としたものであって,具体的には,上辺の左寄りに凹部を設け,凹部を挟んで左側は,帯状部と同じ高さとする細長い突部とし,凹部を挟んで右側は,その高さを前記左側の突部よりも低くし,右角部を,上辺から右辺へ向けて下がる2段の階段状としたものであるのに対して,引用意匠は,上部を略台形状としたものであって,具体的には,高さを帯状部よりも低くし,左角部を,上辺の略中央から溝部へ向けて下がる2段の階段状としたものである。 相違点2:溝部について,本願意匠は,帯状部と,帯状部と同じ高さの細長い突部によって,左右の壁の高さが同じ略U字状としたものであるのに対して,引用意匠は,帯状部による左壁と,帯状部の半分弱の高さ(本体右側の2段の階段状の下端の位置)までの右壁によって,左右の壁の高さが異なる略し字状としたものである。 相違点3:下辺凹字状突部の窪みの深さについて,本願意匠は引用意匠よりも相対的に浅いものである。 第5 判断 1.意匠に係る物品について 両意匠の意匠に係る物品は,共に「自動車用フロアマット」としたものであるから,一致する。 2.形態について まず,共通点については,本体左側の形態の共通点は,両意匠のみに見られる特徴といえるものの,本体右側の形態の共通点は大まかで,その具体的な形態は大きく異なるものであり,また,下辺の形態の共通点は,この種物品においてはよく見られるものであるから,これらの共通点は,意匠全体の形態を特徴付けるまでのものとは認められない。 一方,相違点については,相違点3は,この種物品においてよく見られる形態における僅かな相違に過ぎないとしても,相違点1及び相違点2は,溝部から本体右側の上部の形態に及ぶものであって,その形態は両相違点が相まって大きく異なり,形態全体として異なる印象をもたらすものである。 そうすると,両意匠の形態について総合的に観察した場合,上述の共通点及び相違点の評価に基づけば,相違点が,共通点を凌駕し,需要者に異なる美感を起こさせるものと認められるから,両意匠の形態は類似しないものといえる。 3.両意匠の類否 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において類似せず,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第6 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとすることはできないものであり,同法同条の規定によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-03-19 |
出願番号 | 意願2017-24092(D2017-24092) |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(C1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 長谷川 翔平、神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2019-04-19 |
登録番号 | 意匠登録第1631920号(D1631920) |
代理人 | 大田 英司 |
代理人 | 永田 元昭 |
代理人 | 永田 良昭 |