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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J3 |
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管理番号 | 1375918 |
審判番号 | 不服2020-14637 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-20 |
確定日 | 2021-06-15 |
意匠に係る物品 | デジタルカメラ |
事件の表示 | 意願2019- 23623「デジタルカメラ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和1年(2019年)10月24日の意匠登録出願であり、主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年(2020年) 4月15日付け 拒絶理由通知書 同年 5月27日 意見書提出 同年 7月14日付け 拒絶査定 同年 10月20日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「デジタルカメラ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が意匠登録を受けようとする部分である。左側面図及び底面図は、意匠登録を受けようとする部分が表れないため省略する。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1374209号 (意匠に係る物品、デジタルスチルカメラ本体)の意匠のうち、正面図及び平面図において左側に設けられたグリップ部の上部前方に形成された操作部の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、レンズ部を除いた「デジタルカメラ」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「デジタルスチルカメラ本体」であって、表記は異なるが、どちらもレンズ部を除いたデジタルカメラの本体であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。 (2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能については、本願部分は、撮影する際の各種設定を切り替えるためのダイヤルであるのに対し、引用部分は、シャッターボタンであるから相違し、両部分の位置、大きさ及び範囲については、本願部分は、上面視において本体の右端寄りに位置し、上面全体の約1/5の大きさであるのに対し、引用部分は、本体上面の左端寄りの正面側に突出し前方にやや傾斜した位置で、上面全体の約1/7弱の大きさであるから、相違する。 (3)両部分の形態 両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 形態の共通点 両部分は、全体の外形状をやや扁平な略円錐台形状とし、周側面の上下中央やや下寄りに周面に沿って細い横溝を1本施している点において共通する。 イ 形態の相違点 (相違点1)上底と下底の直径の長さ及び高さの比率について、本願部分は、それぞれ約1:1.12:0.38で、周側面の傾斜角度が約77°であるあるのに対し、引用部分は、それぞれ約1:1.38:0.38で、周側面の傾斜角度が約65°である点、 (相違点2)上面の態様について、本願部分は、水平面の中央に円孔を形成し、外縁を僅かに面取りしたものであるのに対し、引用部分は、外縁を残して内側全体を浅い平坦な凹陥状とし、その内壁をテーパー状に形成したものであって、中央に円孔は形成していない点、 (相違点3)周側面の態様について、本願部分は、横溝までの上半分に等間隔に縦の切れ込みを多数形成しているのに対し、引用部分は、全体が平滑な面である点において相違する。 2 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、本願部分は、撮影時の設定を切り替えるためのダイヤルであるのに対し、引用部分は、シャッターボタンであるから、相違する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は、本願部分は、上面視において本体の右端寄りに位置し、上面全体の約1/5の大きさであるのに対し、引用部分は、本体上面の左端寄りの正面側に突出し前方にやや傾斜した位置で、上面全体の約1/7弱の大きさであるから、相違する。 (4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価 ア 形態の共通点 この種物品の分野において、デジタルカメラ本体上面(軍艦部)の操作部をやや扁平な略円錐台形状としたものが、両部分の他にも公然知られているものであるが(例えば、意匠登録第1243168号(意匠に係る物品:デジタルスチルカメラ)の正面から見て軍艦部左端寄りの操作部の意匠。参考意匠、別紙第3参照。)、全体形状に関わる共通点であることから、両部分の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。一方、当該操作部の周側面の中央付近に、周面に沿って細い横溝を1本施したものは、両部分の他にもごく普通に見受けられることから、この態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 イ 形態の相違点 (相違点1)は、全体の長さの比率と周側面の傾斜角度であるが、全体としてみると、本願部分は、引用部分に比べて周側面の傾斜が急で、より円柱形に近いフォルムをなしており、一見して異なる視覚的印象を持つものといえるから、需要者に異なる美感を起こさせるものといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (相違点2)は、目に付きやすい上面の態様の相違であり、とりわけ、水平面の中央に円孔を形成している本願部分と、外縁を残して内側全体を浅い平坦な凹陥状とし、その内壁をテーパー状に形成した引用意匠とは、明らかに異なる視覚的効果を発揮しており、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (相違点3)は、比較的目に付きやすい周側面の態様の相違であり、略上半分に等間隔に縦の切れ込みを多数形成している本願部分と、平滑面としている引用部分とは、一見して異なる視覚的印象を持つものであり、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 形態の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し、判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響が一定程度あるとしても、(相違点1)ないし(相違点3)は、いずれも、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 そうすると、両部分は、形態において類似するということはできない。 3 小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は相違し、形態においても、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、類似するとはいえないから、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-05-26 |
出願番号 | 意願2019-23623(D2019-23623) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石川 天乃、竹下 寛 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 渡邉 久美 |
登録日 | 2021-07-08 |
登録番号 | 意匠登録第1691127号(D1691127) |
代理人 | 特許業務法人太陽国際特許事務所 |