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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1377857 |
審判番号 | 不服2021-7280 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-03 |
確定日 | 2021-09-07 |
意匠に係る物品 | 液体注出具 |
事件の表示 | 意願2019-24188「液体注出具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意願2019-24184号(意匠登録第1664316号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る,令和1年(2019年)10月30日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和2年 6月 1日付け :拒絶理由の通知 令和2年 6月 1日付け :指令の通知 令和2年 7月16日 :意見書の提出 令和2年10月16日付け :拒絶理由の通知 令和2年11月 4日 :電話対応 令和2年12月 9日 :意見書の提出 令和3年 3月 1日付け :拒絶査定 令和3年 6月 3日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「液体注出具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す。端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由(令和2年10月16日付け)は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 そして,本願の願書に記載した本意匠である意願2019-24184号(意匠登録第1664316号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,本願と同日の令和1年10月30日に意匠登録出願され,その後,令和2年7月6日に意匠権の設定登録がされ,同月27日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「液体注出具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す。斜視図及び端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 1.本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願意匠の,意匠に係る物品は「液体注出具」である。 (2)本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本願意匠は,液体注出具の部分についての意匠であり,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,液体収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた部分であり,液体注出具における収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた位置,大きさ及び範囲であり,液体注出具の収容部としての用途及び機能を有している。 (3)本願部分の形状 A1.本願部分は,全体が透明で,胴部,肩部及び注出口部から成るものである。 A2.本願部分は,側面視で,胴部は中央のフランジから左右対称に大きく張り出しており,肩部から注出口部にかけてS字状に急激に窄まるように形成されている。 A3.胴部は,平面視で四隅が丸みを帯びている,正面視で縦長の略直角台形状である。 A4.正面視における胴部の,下辺に対する上辺の長さが,約4分の3の長さである。 A5.正面視における肩部の幅が,下辺の長さの約3分の1である。 A6.肩部は,正面視で,略弧状に膨出し,くびれて注出口部につながっている。 A7.注出口部全体は,湾曲しており,正面視で左寄りに形成され,その先端は,正面視右上方向に向かって伸びるように形成されている。 2.本意匠 (1)意匠に係る物品 本意匠の,意匠に係る物品は「液体注出具」である。 (2)本意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」といい,「本願部分」と併せて「両部分」という。)は,液体収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた部分であり,液体注出具における収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた位置,大きさ及び範囲であり,液体注出具の収容部としての用途及び機能を有している。 (3)本意匠部分の形状 B1.本意匠部分は,全体が透明で,胴部,肩部及び注出口部から成るものである。 B2.本意匠部分は,側面視で,胴部は中央のフランジから左右対称に大きく張り出しており,肩部から注出口部にかけてS字状に急激に窄まるように形成されている。 B3.胴部は,平面視で四隅が丸みを帯びている,正面視で縦長の長方形状である。 B4.正面視における胴部の,上辺と下辺の長さが同じである。 B5.正面視における肩部の幅が,下辺の長さの約5分の3である。 B6.肩部は,正面視で,略弧状に膨出し,くびれて注出口部につながっている。 B7.注出口部全体は,湾曲しており,正面視で左寄りに形成され,その先端は,正面視右上方向に向かって伸びるように形成されている。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「液体注出具」である。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比 両部分は,いずれも液体注出具における液体収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた部分であり,液体注出具における収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた位置,大きさ及び範囲であり,液体注出具の収容部としての用途及び機能を有している。 (3)両部分の形状の対比 両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点及び相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)全体が透明で,胴部,肩部及び注出口部から成るものである。(A1及びB1) (イ)両部分は,側面視で,胴部は中央のフランジから左右対称に大きく張り出しており,肩部から注出口部にかけてS字状に急激に窄まるように形成されている。(A2及びB2) (ウ)胴部は,平面視で四隅が丸みを帯びている,正面視で縦長の四角形状である。(A3及びB3) (エ)肩部は,正面視で,略弧状に膨出し,くびれて注出口部につながっている。(A6及びB6) (オ)注出口部全体は,湾曲しており,正面視で左寄りに形成され,その先端は,正面視右上方向に向かって伸びるように形成されている。(A7及びB7) イ.相違点について (ア)胴部の正面視形状につき,本願部分は,縦長の略直角台形状であるのに対して,本意匠部分は,縦長の長方形状である。(A3及びB3) (イ)正面視における胴部の,下辺に対する上辺の長さにつき,本願部分は,約4分の3の長さであるのに対して,本意匠部分は,同じ長さである。(A4及びB4) (ウ)正面視における肩部の幅につき,本願部分は,下辺の長さの約3分の1であるのに対して,本意匠部分は,約5分の3である。(A5及びB5) 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「液体注出具」であるから,一致している。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両部分は,いずれも液体注出具における液体収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた部分であり,液体注出具における収容部の周囲に設けられたフランジ部及び底面に設けられた突出部を除いた位置,大きさ及び範囲であるから一致している。 また,両部分は,液体注出具の収容部としての用途及び機能を有しているから,一致している。 (3)両部分における形状の評価 ア.共通点について 共通点(ア)については,この種物品分野において,ありふれているといえ,両部分の類否判断に与える影響は小さい。 共通点(イ)については,この種物品分野においては,胴部は僅かに膨らんでいるものが多いところ,これほどまで大きく張り出したものは両意匠の特徴といえ,共通点(ウ)と相まって,両部分の類否判断に与える影響は大きい。 共通点(エ)及び(オ)については,両意匠の使用方法や,液体の注ぎやすさなどを視覚的に伝える形状であり,両意匠の要部の一つといえる箇所における共通点と認められるから,両部分の類否判断に与える影響は大きい。 イ.相違点について 相違点(イ)及び(ウ)は,相違点(ア)によって生じるものである。 そして,相違点(ア)ないし(ウ)の相違を総合しても,それほど大きな別異感が生じるわけでもないと考えられ,両部分の類否判断に与える影響は小さい。 ウ.両部分における形態の類否判断 以上のとおり,共通点が相まって,両部分の類否判断に与える影響は大きく,両意匠の類否判断を決するものといえるのに対して,相違点は,両部分の類否判断に与える影響は小さく,この相違点によっては,両部分の類否判断を決するものといえない。 よって,本願部分の形態と本意匠部分の形状は,部分における全体観察においては類似していると認められる。 (4)両意匠における類否判断 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致し,両部分の形状は類似するものであるから,本願意匠と本意匠とは類似する。 また,本願は,その他,意匠法第10条第1項の要件を充足していると認められる。 第5 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-08-20 |
出願番号 | 意願2019-24188(D2019-24188) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 玉虫 伸聡 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2021-09-13 |
登録番号 | 意匠登録第1696085号(D1696085) |
代理人 | 宗助 智左子 |
代理人 | 松井 宏記 |
代理人 | 鈴木 行大 |