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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1385243 |
総通号数 | 6 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-30 |
確定日 | 2022-05-31 |
意匠に係る物品 | タンブラー |
事件の表示 | 意願2020−8891「タンブラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,令和2年(2020年)5月1日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和3年 3月 1日付け :拒絶理由の通知 4月 5日 :電話応対 4月12日 :意見書の提出 6月28日付け :拒絶査定 9月30日 :審判請求書の提出 12月14日付け :拒絶理由の通知 令和4年 1月21日 :意見書の提出 3月23日 :意見書の提出 3月23日 :補正書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「タンブラー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。 第3 当審の拒絶の理由 当審における,令和3年12月14日付けの拒絶の理由は,本願の意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 「1.本願意匠 (1)本願の意匠(以下「本願意匠」という。別紙第1参照)の意匠に係る物品は,タンブラーです。 (2)本願意匠は,以下の形状を認めることができます。 〔形状A〕本願意匠は,有底の略円筒形です。 〔形状B〕本願意匠は,最大径と高さの比率が,約1:1.2のものです。 〔形状C〕本願意匠は,二重構造とした側面と底面から成るものです。 〔形状D〕側面は,下方部分と上方部分から成るものです(以下,側面の下方部分を「下方側面」,上方部分を「上方側面」という。)。 〔形状E〕下方側面は,全高の約4分の1で,湾曲面です。 〔形状F〕上方側面は,開口縁に向かって本の僅かにすぼまる直線状のテーパー側面です。 〔形状G〕上方側面の傾斜している度合(「最大半径と上端の半径の差」/「高さ」。以下,「傾斜角度」という。)は,約44分の1です。 2.出願前から公然知られた意匠 以下の形状が,意匠1及び意匠2の存在により,本願の出願前から公然知られた形状といえます。 (1)意匠1 〔形状1a〕全体が,有底の略円筒形のもの。 〔形状1b〕最大径と高さの比率が,約1:1.2のもの。 〔形状1c〕二重構造とした側面と底面から成るもの。 〔形状1d〕側面が,下方部分と上方部分から成るもの(以下,側面の下方部分を「下方側面」,上方部分を「上方側面」という。)。 〔形状1e〕下方側面が,全高の約4分の1のもの。 〔形状1f〕上方側面は,すぼまらない直線状のもの。 〔形状1g〕上方側面の傾斜角度が,0のもの。 (2)意匠2 〔形状2a〕全体が,有底の略円筒形のもの。 〔形状2b〕最大径と高さの比率が,約1:1.2のもの。 〔形状2c〕側面と底面から成るもの。 〔形状2d〕側面が,下方側面と上方側面から成るもの。 〔形状2e〕下方側面が,湾曲面のもの。 〔形状2f〕上方側面が,開口縁に向かってすぼまる僅かな曲線状のテーパー側面のもの。 〔形状2g〕上方側面の傾斜角度が,約14分の1のもの。 この種タンブラーの分野においては,有底の略円筒形のもの,及び最大径と高さの比率が,約1:1.2のものは,形状1a,2a及び形状1b,2bに表れており,本願の出願前から公然知られた形状といえます。 二重構造とした側面と底面から成るものは,形状1cに表れています。 側面が,下方側面と上方側面から成るものは,形状1d,2dに表れています。 下方側面が,全高の約4分の1のものが形状1eに,下方側面が,湾曲面のものが形状2eに表れています。 上方側面が,直線状のものが形状1fに表れています。 上方側面が,すぼまるテーパー側面のものが形状2fに表れています。 そうすると,本願意匠の形状AないしFの形状は,本願の出願前から公知の形状といえます。 そして,上方側面の傾斜角度が,0のものが形状1gに,約14分の1のものが形状2gに表れていますから,本願意匠の,上方側面の傾斜角度を約44分の1とすること(形状G)は,公然知られた形状1gの形状と形状2gの形状の間の形状といえますから,本願の出願前から公然知られた形状に基づいて容易に創作できたものと認められます。 以上のことより,本願の形状(形状AないしG)は,本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められます。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1621593号の意匠 意匠2(別紙第3参照) 【電気通信回線の種類】 インターネット 【掲載確認日】 平成27年7月14日 【受入日】 特許庁意匠課受入 平成27年8月7日 【掲載者】 ウンブラ,インコーポレイテッド 【表題】 kera tumbler | Umbra 【掲載ページのアドレス】http://www.umbra.com/usd/new/kera−tumbler−ck に記載された「タンブラー」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27018077号)」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,タンブラーである。 (2)本願意匠の形状 本願意匠は,主に以下の形状を認めることができる。 〔形状A〕本願意匠は,有底の略円筒形である。 〔形状B〕本願意匠は,最大径と高さの比率が,約1:1.2のものである。 〔形状C〕本願意匠は,側面と底面から成る内側構成面と,側面と底面から成る外側構成面で,二重構造としたものである。 〔形状D〕外側構成面による側面の外形は,下方側面と上方側面から成るものである。 〔形状E〕下方側面は,全高の約4分の1で,湾曲面である。 〔形状F〕上方側面は,直線状である。 〔形状G〕平面図には,内側構成面に2つの同心円が表れている。 〔形状H〕開口縁に向かって本の僅かにすぼまる上方側面の傾斜角度は,約44分の1である。 2.本願意匠の創作の容易性について (1)出願前に公然知られた形状 本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。 ア.意匠1より, 〔形状1a〕全体が,有底の略円筒形のもの。 〔形状1b〕最大径と高さの比率が,約1:1.2のもの。 〔形状1c〕側面と底面から成る内側構成面と,側面と底面から成る外側構成面で,二重構造としたもの。 〔形状1d〕外側構成面による側面の外形が,下方側面と上方側面から成るもの。 〔形状1e〕下方側面が,全高の約4分の1のもの。 〔形状1f〕上方側面が,直線状のもの。 イ.意匠2より, 〔形状2a〕全体が,有底の略円筒形のもの。 〔形状2b〕最大径と高さの比率が,約1:1.2のもの。 〔形状2c〕側面と底面から成るもの。 〔形状2d〕側面の外形が,下方側面と上方側面から成るもの。 〔形状2e〕下方側面が,湾曲面のもの。 〔形状2f〕上方側面が,僅かな曲線状のもの。 〔形状2g〕開口縁に向かってすぼまる上方側面の傾斜角度が,約14分の1のもの。 (2)本願意匠の創作の容易性について 本願意匠の各部分の形状(形状AないしF)は,それぞれ本願の出願前に公然知られた意匠1及び意匠2の相当する部分の形状をモチーフとして容易に創作をすることができたものと認められる。 しかし,平面視において,内側構成面に,2つの同心円が表れているもの(形状G),及び,上方側面の傾斜角度を約44分の1にしたもの(形状H)は,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。 3.結び したがって,本願意匠は,当審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-05-10 |
出願番号 | 2020008891 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C5)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2022-06-06 |
登録番号 | 1717263 |
代理人 | 板谷 康夫 |