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審決分類 審判    M2
審判    M2
管理番号 1206621 
審判番号 無効2009-880002
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-02-03 
確定日 2009-10-13 
意匠に係る物品 電線保護カバー 
事件の表示 上記当事者間の登録第1310538号「電線保護カバー」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由
第1 請求人の申し立て及び請求の理由
1 請求の趣旨
登録第1310538号意匠の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

2 請求の理由
2-1 請求の理由及び立証
意匠登録第1310538号の意匠(以下、「本件登録意匠」という。)は、意匠法第3条第2項及び同法第5条第1項第2号の規定に違反して登録されたものであるから、意匠法第48条の規定により意匠登録を無効とすべきであり、その理由を要旨以下のとおりとし、立証として、甲第1号証乃至第3号証(いずれも枝番あり)、甲第4号証及び甲第5号証を提出する。(以下、各証拠文献は、「甲1」、「乙1」のように記載する。)
2-2 無効理由1
本件登録意匠は、コアとカバーから成り、コアの平坦な基板上面の左右内側寄りに一対立ち上げたくの字形側板の下端の入隅部に、カバー側板の左右内側面に形成したくの字形嵌合部の下端に形成した爪を入れ込んで、コアとカバーを一体に組み立てるくの字形嵌合構造を有している。
引用文献(甲2)に開示された意匠も、コア及びカバー側板の形状が本件登録意匠と同一であり、本件登録意匠と同様に、コアとカバーを一体に組み立てるくの字形嵌合構造を有している。
よって、本件登録意匠は、引用文献(甲2)の意匠に係るコアの形状とくの字形嵌合構造を基本構造として採用しつつ、甲3に開示の意匠に係る上部が幅狭で下部が幅広の二段形状を単に合成したに過ぎず、単なる寄せ集めの意匠に当たり、甲2、甲3の意匠から容易に創作できるものである。
2-3 無効理由2
引用文献(甲2)に属する電線保護カバーの意匠は、昭和57年(ワ)第5803号判決(甲4)の通り、それ自体請求人の商品であるとの商品出所表示機能を具有する周知性を獲得しており、該周知性はここ数年間の売上報告書(甲5)から現在迄維持されていると合理的に推認できるものである。
本件登録意匠は、上記周知性を獲得し商品出所表示機能を有している甲2の意匠、即ち意匠の支配的要素となっているコア形状と、コアとカバーのくの字形嵌合構造を採用するものであり、意匠法第5条第1項第2号に規定する「他人の業務に係る物品と混同を生ずる恐れがある意匠」に該当する。


第2 被請求人の答弁及び答弁の理由
1 答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

2 答弁の理由
答弁の理由を要旨以下のとおりとし、立証として、乙第1号証?乙第5号証を提出する。
2-1 過去の意匠登録例について
まず、「“くの字”と思われる側板のあるコア」、「“くの字”と思われる嵌合構造を有するカバー」からなる電線保護カバーの他社の意匠登録を証拠(乙1?乙4)として提出する。これらは、甲2の1?甲2の3の公知意匠があっても登録されたものであり、意匠としても細かな部分を中心とした対比判断がされている。
2-2 無効理由1について
本件登録意匠には「くの字形側板」がない。「くの字」とは、判決(甲4号)22頁以降五の1(三)に定義されているので引用すると、「一たん外方に開きしかる後内方に一段折れ曲がった」ものを言う。しかしながら、本件登録意匠の「測板」は、一たん外方に開くもその後内方へは折れ曲がっていない。カバー部についても同じことが云える。
甲3の1?甲3の4については、カバー部嵌合部分の厚みが本件登録意匠と顕著に異なり、その他相違点が多数ある為、証拠能力として乏しい。また、判決(甲4)には、甲2号意匠の要部の認定もされているが、「くの字」ともう一つの要部「外観周面形状が左右対称の六角柱」が、本件登録意匠にはない。
以上を勘案すると、本件登録意匠は甲2?甲3と多くの相違点があって高い創作性があり、甲2?甲3の単なる寄せ集めには当たらない。
2-2 無効理由2について
乙1?乙4(順に、意匠登録第836811号、意匠登録第794359号、 意匠登録第1114915号、意匠登録第1113448号)で示したように、「“くの字”と思われる側板のあるコア」、「“くの字”と思われる嵌合構造を有するカバー」の二物品からなる「電線保護カバー」は存在するが、甲2と混同は生じていない。
また、本件登録意匠には、甲2の要部「くの字」と「外観周面形状が左右対称の六角柱」がないことから、本件登録意匠と請求人の「電線保護カバー」は、混同を生じるおそれがない。
よって、意匠法第5条第1項第2号には当たらない

第3 当審判の判断
1 当事者の利害関係について
請求人は、昭和57年(ワ)第5803号判決(甲4)に係る原告と同一人である。一方、請求人が甲2の1として提出した意匠登録第274344号の意匠権の名義人と相違するが、この点については両当事者間に争いがない。しかしながら、請求人は、本件登録意匠が、周知性を獲得し、商品出所表示機能を有するとする甲2の意匠の支配的要素であるコア形状並びにコアとカバーのくの字形嵌合構造を採用するものであり、意匠法第5条第1項第2号に規定する「他人の業務に係る物品と混同を生ずる恐れがある意匠」に該当する旨主張しているから、被請求人との間に利害関係を生じるおそれがあると言える。

2 本件登録意匠
本件登録意匠は、意匠登録原簿および出願書類の記載によれば、被請求人による2007年(平成19年)3月14日の意匠登録出願であって、同年8月17日に意匠権の設定登録がなされ、同年9月18日発行の意匠公報に掲載された意匠登録第1310538号の意匠(甲1の1)であり、意匠に係る物品を「電線保護カバー」とし、その形態は、同意匠公報に掲載されたとおりのものである。(審決に添付した「図面第1」参照)
すなわち、形態の全体は、建物等に固定するコア部とその上に嵌め込みかつ分離可能なカバー部により端面視横長の角筒状に形成し、全高に対する左右全幅を約2倍として長手方向に連続する構成態様であり、その具体的な態様において、コア部は、薄い板状体により、平板上の左右両縁寄りに上方に突出した一対の側板のいずれも下方を外側に傾斜し、上方を垂直状として端面視左右対称状に形成している態様及び、カバー部は、その上方は、コア部と同様の薄い板状体であって上端縁を丸面状としてその下方を垂直状とし、カバー部下方は、外側面を互いに対称状の緩やかな端面視弧状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としている態様が認められる。

3 甲2の1?甲2の4の各意匠
3-1 甲2の1意匠
意匠登録第274344号は、意匠登録原簿および出願書類の記載によれば、昭和41年2月11日の意匠登録出願であって、同42年9月4日に意匠権の設定登録がなされ、同年10月24日発行の意匠公報に掲載され、同57年9月4日に意匠権の存続期間が満了したものであり、その意匠(以下、「甲2の1意匠」という。)は、意匠に係る物品を「電線保護カバー」とし、その形態は同意匠公報に掲載したとおりのものである。(審決に添付した「図面第2」参照)
すなわち、形態の全体は、建物等に固定するコア部とその上に嵌め込みかつ分離可能なカバー部により端面視横長の角筒状に形成し、全高に対する左右全幅を約2倍とし、左右全幅に対する長手方向の長さを約10倍として構成した態様であり、その具体的な態様において 左右対称状に形成している態様及び、カバー部は、コア部の側板の屈曲部位よりも上方をコア部と同様の薄い板状とし、その上面の左右両縁からそれぞれ外側面の下端寄りまでのカバー部上方を角面状とし、カバー部下方を、外側面を垂直面状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としている態様が認められる。
3-2 甲2の2意匠
意匠登録第274344号の類似1号意匠(以下、「甲2の2意匠」という。)は、昭和44年12月16日発行の意匠公報に掲載され、本意匠とともに意匠権の存続期間が満了したものであり、意匠に係る物品を「電線保護カバー」とし、その形態は同意匠公報に掲載したとおりのものである。(審決に添付した「図面第3」参照)
すなわち、形態の全体は、全高に対する左右全幅を約2倍とし、左右全幅に対する長手方向の長さを8倍強とした構成比のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様であり、その具体的な態様において、 カバー部の上面の左右両縁からそれぞれ外側面の中程までのカバー部上方を角面状としている点のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様である。
3-3 甲2の3意匠
意匠登録第274344号の類似2号意匠(以下、「甲2の3意匠」という。)は、昭和47年3月31日発行の意匠公報に掲載され、本意匠とともに意匠権の存続期間が満了したものであり、意匠に係る物品を「電線保護カバー」とし、その形態は同意匠公報に掲載したとおりのものである。(審決に添付した「図面第4」参照)
すなわち、形態の全体は、全高に対する左右全幅を約2倍とし、左右全幅に対する長手方向の長さを7倍弱とした構成比のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様であり、その具体的な態様において、コア部の一対の側板の屈曲を鈍角状としている点及び、カバー部について、上面の左右両縁寄りにそれぞれ2本の平行するごく細い筋溝を施し、上面の左右両縁からそれぞれ外側面の中程までのカバー部上方をやや急傾斜の角面状としている点のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様である。
3-4 甲2の4意匠
意匠登録第274344号の類似3号意匠(以下、「甲2の4意匠」という。)は、昭和47年3月31日発行の意匠公報に掲載され、本意匠とともに意匠権の存続期間が満了したものであり、意匠に係る物品を「電線保護カバー」とし、その形態は同意匠公報に掲載したとおりのものである。(審決に添付した「図面第5」参照)
すなわち、形態の全体は、全高に対する左右全幅を約2倍とし、左右全幅に対する長手方向の長さを6倍弱とした構成比のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様であり、その具体的な態様において、コア部の一対の側板の屈曲を鈍角状としている点及び、カバー部について、上面の左右両縁寄りにそれぞれ2本の平行するごく細い筋溝を施し、上面の左右両縁からそれぞれ外側面の中程までのカバー部上方を角面状としている点のほかは、甲2の1意匠と略同様の構成態様である。

4 甲3の1?甲3の4の各意匠
意匠登録第909418号の意匠(以下、「甲3の1意匠」という。)は、1994年10月20日発行の意匠公報に掲載され、甲3の1意匠を本意匠とする意匠登録第909418号の類似意匠登録第1号ないし類似意匠登録第3号(以下、順に、「甲3の2意匠」ないし「甲3の4意匠」という。)は、2000年2月14日発行の意匠公報に掲載され、いずれも意匠に係る物品を「配管カバー」とし、その形態は、それぞれ意匠公報に掲載されたとおりのものである。(甲3の1?甲3の4の各意匠は、審決に添付した「図面第6」?「図面第9」参照。)
すなわち、いずれも薄い板状体により、コア部とその上に嵌め込みかつ分離可能なカバー部により、下端左右両隅が角張りその上方を2段の丸面状とした筒状に形成し、長手方向に連続する構成態様であるが、カバー部の左右両方の形状については、以下のとおりの態様が認められる。
甲3の1意匠は、上方を端面視略4分の1円状の大きな弧状とし、その下端の内側に斜め上向きに鉤状部を形成してコア部の左右両側板のそれぞれ上端と嵌合する態様のものであり、該嵌合部より下方の外側に張り出した部分はコア部の側板部分である。甲3の2ないし甲3の4の各意匠は、上方を端面視略4分の1円状の大きな弧状に続く垂直状とし、その下方を外側へ片銀杏面状に張り出した態様とし(以下、「片銀杏面状張出部」という。)、コア部との嵌合部について、甲3の2及び甲3の4の両意匠は、片銀杏面状張出部の内側面の下端に近接した鉤状の突起を形成してコア部の左右両側板のそれぞれ下端と嵌合し、甲3の3意匠は、カバー部の片銀杏面状張出部の内側面上端に上向きの鉤状部を形成してコア部の左右両側板のそれぞれ上端と嵌合する構成態様のものである。

5 無効理由1についての判断
請求人は、無効理由1として、本件登録意匠は意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである旨主張するので、本件登録意匠が甲2の各意匠及び甲3の各意匠に基づいて容易に創作できるものであるか否かについて以下考察する。
5-1 甲2の各意匠と本件登録意匠の関係
まず、この種電線保護カバーの分野において、コア部を、薄い板状体により、平板上の左右両縁寄りに上方に突出した一対の側板を端面視左右対称状に形成した態様のものは、甲号各意匠のほかにも多数見受けられる。しかしながら、甲2の1及び2の各意匠は、一対の側板をいずれも下方を外側に傾斜し、上方を内側へ略直角に屈曲した態様のものであり、甲2の3及び4の各意匠は、いずれも一対の側板の下方を外側に傾斜し、上方を内側へ鈍角状に屈曲した態様のものであるから、甲号各意匠は、本件登録意匠のように、一対の側板の下方を外側に傾斜し、上方を垂直状に形成した態様のものであるとは言えない。次に、カバー部の態様について、コア部の側板の屈曲部位よりも上方をコア部と同様の薄い板状とし、カバー部下方をその内側面がコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部とした態様のものは、甲号各意匠のほかにも多数見受けられる。しかしながら、甲2の1意匠は、カバー部の上面の左右両縁からそれぞれ外側面の下端寄りまでの上方を角面状とし、これよりも下方を垂直面状に形成した態様のものであり、甲2の2意匠は、カバー部上面の左右両縁からそれぞれ外側面の中程までの上方を角面状とし、これよりも下方を垂直面状に形成した態様のものであり、甲2の3意匠は、カバー部上面の左右両縁寄りにそれぞれ2本の平行するごく細い筋溝を施し、左右両縁からそれぞれ外側面の中程までの上方をやや急傾斜の角面状とし、これよりも下方を甲2の1意匠と同様に形成した態様のものであり、そして、甲2の4意匠は、カバー部上面に甲2の3意匠と同様の筋溝を施し、上面の左右両縁からそれぞれ外側面を甲2の2意匠と同様に形成した態様のものであるから、甲2の各意匠は、本件登録意匠のように、カバー部上方の上端縁を丸面状としてその下方を垂直状とし、カバー部下方を、外側面を互いに対称状の緩やかな端面視弧状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としている態様のものではない。
5-2 甲3の各意匠と本件登録意匠の関係
請求人の、本件登録意匠は、甲2の各意匠に係るコアの形状と嵌合構造を基本構造として、甲3の意匠に係る上部が幅狭で下部が幅広の二段形状を単に合成したに過ぎない旨の主張について、以下考察する。
まず、甲3の1意匠のカバー部自体の下方は、前記のとおり、本件登録意匠のように拡大した部分がなく、嵌合部の位置及び構成態様についても、本件登録意匠の構成態様とは骨格的態様が異なるものである。
次に、甲3の2ないし甲3の4の各意匠は、前記のとおり、いずれも薄い板状体により、カバー部下方に片銀杏面状張出部を形成し、その内側面に鉤状部を形成してコア部と嵌合する構成態様であるのに対し、本件登録意匠のカバー部下方は、外側面を互いに対称状の緩やかな端面視弧状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としている構成態様であり、本件登録意匠と前記甲3の各意匠とは、外側面の具体的な態様及び嵌合構造がいずれも異なるものである。
5-3 本件登録意匠の創作容易性について
以上のとおりであるから、本件登録意匠のコア部とカバー部の形状及び構成態様は、甲2の各意匠及び甲3の各意匠に基づいて容易に創作できたものとは言えないものであり、また、単なる寄せ集めの意匠であるとは言えないものである。
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第2条に規定する意匠に該当しないものであるから、請求人の無効理由1は、理由がない。

6 無効理由2についての判断
6-1 昭和57年(ワ)第5803号判決が無効理由2に与える影響
昭和57年(ワ)第5803号判決(甲4)によれば、原告の意匠登録第274344号の意匠に被告の実施に係る意匠が類似し、同号の意匠の類似の範囲に被告の意匠が属する旨判示がなされたものである。
たしかに、前記判決は、甲2の1意匠について、コア部の形状並びにコア部とカバー部のくの字形嵌合構造からなる意匠の範囲を判示し、それ自体請求人の商品であるとの商品出所表示機能を具有する周知性を獲得していることを立証するものである
しかし、本件審判の無効理由1は、本件登録意匠の創作容易性の当否を問うものであり、前記判決が認定判断した争点とは事案が異なるから、前記判示が直ちに本件審判の無効理由1を立証するものではない。
6-2 本件登録意匠が意匠法第5条第1項第2号に掲げる意匠に該当するか否かについて
本件登録意匠と甲2の各意匠のコア部の形状並びにコア部とカバー部の嵌合部のそれぞれの態様については、前記認定のとおりであって、これらを対比すると、要旨以下のとおりの差異が認められる。
まず、コア部の一対の側板の態様について、本件登録意匠は、下方を外側に傾斜し、上方を垂直状に形成しているのに対し、甲2の1及び2の両意匠は、いずれも下方を外側に傾斜し、上方を内側へ略直角に屈曲し、甲2の3及び4の両意匠は、いずれも下方を外側に傾斜し、上方を内側へ鈍角状に屈曲している点が認められ、本件登録意匠のコア部の一対の側板が、甲2のいずれかの意匠のものに共通する「く」の字形状を形成しているとは言えない。
次に、コア部とカバー部の嵌合部の態様について、本件登録意匠は、カバー部上方は、上端縁を丸面状としてその下方を垂直状とし、カバー部下方は、外側面を互いに対称状の緩やかな端面視弧状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としているのに対し、甲2の各意匠は、いずれも、カバー部上方の外側面の上方を角面状とし、カバー部下方を、外側面を垂直面状、内側面をコア部の一対の側板に密着状とし、下端へ拡大して肉厚に形成してコア部との嵌合部としている点が認められ、本件登録意匠と甲2の各意匠は、カバー部のコア部と嵌合する部分の具体的な態様及びコア部とカバー部が嵌合した状態の端面視態様が異なるものである。
そうすると、本件登録意匠と甲2の各意匠とは、コア部の形状並びにコア部とカバー部の嵌合部の具体的な態様が異なり、これら差異点にかかる態様が相乗して生じる意匠的な効果を考慮したとしても、本件登録意匠は、請求人が甲2の各意匠の支配的要素であると主張するコア形状並びにコアとカバーの「く」の字形嵌合構造を採用したものとは認められないものであり、直ちに、甲2の各意匠との間に混同を生じるものとは言えない。
したがって、本件登録意匠は、他人の業務に係る物品と混同を生ずる恐れがある意匠であるとは言えないから、意匠法第5条第1項第2号に掲げる意匠に該当しないものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由によって、本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。




別掲



























審理終結日 2009-08-04 
結審通知日 2009-08-07 
審決日 2009-08-31 
出願番号 意願2007-6545(D2007-6545) 
審決分類 D 1 113・ 25- Y (M2)
D 1 113・ 121- Y (M2)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂田 麻智佐々木 朝康 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 鍋田 和宣
並木 文子
登録日 2007-08-17 
登録番号 意匠登録第1310538号(D1310538) 
代理人 井澤 洵 
代理人 中畑 孝 
代理人 山下 彰子 
代理人 井澤 幹 

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