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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3
管理番号 1287491 
審判番号 不服2013-18482
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-25 
確定日 2014-05-13 
意匠に係る物品 ストレッチ補助クッション 
事件の表示 意願2012- 28923「ストレッチ補助クッション」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,意匠法第13条第1項の規定による,平成19年(2007年)5月7日付けの特願2012-258440号を原出願とする,平成24年(2012年)11月27日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ストレッチ補助クッション」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,特許庁総合情報館が1994年3月24日に受け入れた外国カタログ「Ba¨nferSportmattenundZubehor」(発行者:WolfgangBa¨nferGmbH)の第8頁所載の「クッション」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD06005715号)であって,その形態は,同カタログに掲載された写真版により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠の意匠に係る物品は,股関節周辺のストレッチを行い易くする目的で前屈運動時に使用される一人用の運動補助クッションであり,一方,引用意匠の意匠に係る物品は,衝撃を吸収する目的で床に置いて使用される大型のクッションであるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通しない。

次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお,引用意匠として示された外国カタログの写真版には,異なる形態の3つのクッションが現されているが,原審拒絶理由通知書の「本願意匠と引用意匠とは,全体を上面を傾斜させた略倒直角三角柱状とした態様が共通し,」の記載から,中央手前のクッションが引用意匠であると考えられるので,当審では以後,写真版中央手前のものを引用意匠とする。
以下,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の写真版を「正面,左側面及び平面を表す斜視図」とし,その他は,これに準じて表されているものとする。

まず,共通点として,
(A)全体は,側面視を略台形状とした略台形柱形状の本体であって,
(B)本体の各構成面は,正面,背面及び左右側面を垂直面とし,下面を水平面とし,上面を正面から背面への上り傾斜面としている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)本体の構成態様について,本願意匠は,正面側垂直面の高さ,背面側垂直面の高さ,正面横幅及び側面横幅の比が,約1:4:8:8であるのに対して,引用意匠は,同比が,約1:5:25:12.5である点,
(イ)本体の水平線の有無について,本願意匠は,略直角三角柱状体の下部に略正方形板状体を配した2種類の部材から構成され,これらの部材の境界部分に沿って水平な線が表れているのに対して,引用意匠には,そのような線が表れていない点,
が認められる。

2.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,共通点(A)の全体の態様,及び共通点(B)の各部の態様は,クッションの分野においては,他にも見られる極ありふれた態様であるので,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)本体の構成態様,及び相違点(イ)水平線の有無については,両者が相まって両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものであり,とりわけ,本願意匠における略直角三角柱状体の下部に,水平な線で区切られた厚みのある略正方形板状体を配した態様は,引用意匠における先端部分を僅かに欠いた略楔形状のものとは,需要者に別異の印象を与えるものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものと言える。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。

3.小括
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品について共通せず,形態においては,両意匠の間には共通点が複数存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-04-30 
出願番号 意願2012-28923(D2012-28923) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平田 哲也木本 直美久保田 麻理 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2014-05-30 
登録番号 意匠登録第1501555号(D1501555) 
代理人 柳橋 泰雄 
代理人 小澤 圭子 
代理人 柳町 亜友美 
代理人 生川 芳徳 
代理人 特許業務法人 津国 
代理人 津国 肇 
代理人 伊藤 佐保子 

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