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審決分類 |
審判 査定不服 取り消して登録 F5 |
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管理番号 | 1369064 |
審判番号 | 不服2020-10404 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-07-27 |
確定日 | 2020-12-24 |
意匠に係る物品 | 広告具 |
事件の表示 | 意願2019- 321「広告具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法第14条第1項の規定により、秘密にすることを請求する期間を3年とした平成31年(2019年)1月10日(パリ条約による優先権主張2018年7月10日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、その後の主な手続は、以下のとおりである。 平成31年 4月16日 秘密意匠期間変更請求書の提出により、 秘密にする期間を0年に変更 同 年 4月24日付け 拒絶理由通知(1回目) 令和 元年(2019年)9月9日 意見書の提出 同 年10月 9日 手続補正書の提出 同 年10月25日付け 拒絶理由通知(2回目) 令和 2年 3月 5日 意見書の提出 同 年 4月20日付け 拒絶査定 同 年 7月27日 審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「広告具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」とするものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない意匠)に該当するというものである。 引用意匠(別紙第2参照) 大韓民国意匠商標公報 2012年 3月26日12-06号 案内板(登録番号30-0634368)中に表された 「案内表示板」の当該意匠に該当する部分の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH24408917号) 第4 当審の判断 以下において、両意匠を認定した上で、両意匠についての類否判断を行い、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否かの判断を行う。 1 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 両意匠の意匠に係る物品は、本願意匠が「広告具」であり、引用意匠は、表示板及び表示板と一体となって用いられる支持柱からなる「案内板」から表示板に係る部分のみを抽出して「案内表示板」とし、これを引用意匠としたものであって、いずれも人々の目に付きやすい場所に設置して、案内や広告等を表示するための表示板であるから、共通するものである。 (2)両部分の用途及び機能の対比 両部分は、いずれも人々の目に付きやすい場所に設置して、案内や広告を表示するための用途及び機能を有する点で共通する。 他方、本願部分は、部分全体として、支持柱や脚を用いることなく衝立(ついたて)状に自立して用いる用途及び機能を有するものであるのに対し、引用部分は、表示板と一体として用いられる支持柱に配架して用いる用途及び機能を有するものであるから、設置方法において用途及び機能は相違する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部の位置、大きさ及び範囲について、本願部分は、衝立状に自立する表示板のうち、表示板正面側の下寄りに表した破線による分割線及び中央上部に表した模様を構成する破線を除く部分である。 これに対し、引用部分は、支持柱の上端寄りに配設される、案内板全体の約半分の大きさを占める表示板の表示板全面とするものであるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は相違する。 (4)両部分の形態の対比 ア 両部分の形態の共通点 (共通点1)両部分は、略隅丸横長長方形状パネル体である点、 (共通点2)両部分は、帯状フレームにより、当該パネル体の周側面を囲繞(いじょう)してなるものである点、 (共通点3)両部分は、正面視において帯状フレームは表示面より僅かに突出して配設するものである点で共通する。 イ 両部分の形態の相違点 (相違点1)パネル体について、本願部分は、高さ:横幅:奥行きの構成比率を約8:15:1とするのに対し、引用部分は、高さ:横幅:奥行きの構成比率を約10:15:1とするものである点、 (相違点2)帯状フレームの正背面側周縁部について、本願部分は左右側面視及び平底面視において、周側を小さい角R(アール)の面取りを施してなるものであるのに対し、引用部分は断面視を横長長方形状とするものであって、本願部分のような面取りを施していない点、 (相違点3)パネル体正面視四隅の形状ついて、本願部分は、パネル体短辺の約1/20の半径とする1/4円弧状の隅丸形状とするのに対し、引用部分は、パネル体短辺の約1/6の半径とする1/4円弧状の隅丸形状とする点で相違する。 2 両部分の共通点及び相違点の評価 (1)両意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、類似する。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は非類似である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は非類似である。 (4)両部分の形態の評価 ア 両部分の形態の共通点 (共通点1)及び(共通点2)については、いずれも、両部分の基本的な構成に係る点であるものの、この種物品分野において、両部分にのみ見られる態様ではないから、これらの共通点が部分全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点3)についても、この種物品分野において、両部分にのみ見られる態様ではないから、この共通点が部分全体の美感に与える影響は小さい。 イ 両部分の形態の相違点 (相違点1)については、この種物品分野において、パネル体の構成比率を各種のものとすることは、一般的に行われているところであるから、この相違点が部分全体の美感に与える影響は小さい。 (相違点2)については、子細に観察してわかる程度のごく限られた部分に係る相違点であるから、この相違点が部分全体の美感に与える影響は極めて僅かである。 (相違点3)については、この種物品分野において、パネル体の四隅を1/4円弧状に形成することは、両部分のみに見られる態様ではないものの、本願部分は、パネル体短辺の約1/20の半径とする小円弧であるのに対し、引用部分は、パネル体短辺の約1/6の半径とする大円弧とするものであって、需要者は、一瞥(べつ)して当該相違点を把握できるものであるから、この相違点が部分全体の美感に与える影響は大きい。 3 両部分の形態の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分全体として総合的に観察した場合、両部分は、(共通点1)ないし(共通点3)に係る点、並びに(相違点1)及び(相違点2)に係る点については、いずれも部分全体の美感に与える影響は小さいか極めて小さいといえるものの、(相違点3)については、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえるから、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものである。 4 小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似するものの、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は非類似であり、その形態においても類似しないから、両意匠は類似しない。 第3 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-12-10 |
出願番号 | 意願2019-321(D2019-321) |
審決分類 |
D
1
8・
131-
WY
(F5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
濱本 文子 木村 恭子 |
登録日 | 2021-01-12 |
登録番号 | 意匠登録第1677960号(D1677960) |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 山本 泰史 |
代理人 | 鈴木 博子 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |