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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1373817 
審判番号 不服2020-15740
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-13 
確定日 2021-04-13 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2020-605「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,令和2年(2020年)1月16日の意匠登録出願であって,同年6月1日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月14日に意見書が提出されたが,同年8月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年11月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1220773号
(意匠に係る物品,包装用容器)の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。

(2)本願意匠の形状
ア.本願意匠は,全体が1対2弱の縦長略円筒状であって,有底で,頂上に口が突出して設けてある。
イ.扁平な円筒状の口部と,本体部から成る。
ウ.本体部は,上から,斜面とネジ山を設けた垂直面から成る肩部,水平方向の浅溝を1本施した寸胴部(以下,肩部と寸胴部を合わせて「上半部」という。),略四角形状のパネル部を4つ配置した略円錐台形状の下半部から成り,上半部と下半部の間に深溝を設けている。
エ.本体周面上側(肩部垂直面と寸胴部を合わせた周面のこと。)と本体周面下側(下半部の周面のこと。)の高さは,約8対10である。
オ.肩部の垂直面は,寸胴部の約2分の1の高さで,垂直面の直径は,寸胴部の直径より少し小さい。
カ.寸胴部は,本体周面上側の約3分の2の高さを占めている。
キ.下半部は,上端の直径が寸胴部の直径より少し大きく,下端寄りで水平方向の溝を介して,曲線で底面につながっている。
ク.パネル部の内側には,3つの凸部からなる凹凸形状が形成されており,中央の凸部は堤型に高く隆起し,その左右に位置する凸部はパネルの縁に向かってなだらかに盛り上がり,パネルの縁付近で浅い谷状に窪んだ態様となっている。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。

(2)引用意匠の形状
ア.引用意匠は,全体が1対2弱の縦長略円筒状であって,有底で,頂上に口が突出して設けてある。
イ.扁平な円筒状の口部と,本体部から成る。
ウ.本体部は,上から,斜面とネジ山を設けた垂直面から成る肩部,水平方向の浅溝を2本施した寸胴部(以下,肩部と寸胴部を合わせて「上半部」という。),略四角形状のパネル部を4つ配置した略円錐台形状の下半部から成り,上半部と下半部の間に深溝を設けている。
エ.本体周面上側(肩部垂直面と寸胴部を合わせた周面のこと。)と本体周面下側(下半部の周面のこと。)の高さは,約10対10である。
オ.肩部の垂直面は,寸胴部の約3分の1の高さで,垂直面の直径は,寸胴部の直径より僅かに小さい。
カ.寸胴部は,本体周面上側の約4分の3の高さを占めている。
キ.下半部は,上端の直径が寸胴部の直径と同じで,下端寄りにおいて曲線で底面につながっている。
ク.パネル部の内側は,平坦面である。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「包装用容器」である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)本願意匠は,全体が1対2弱の縦長略円筒状であって,有底で,頂上に口が突出して設けてある。
(イ)扁平な円筒状の口部と,本体部から成る。
(ウ)本体部は,上から,斜面とネジ山を設けた垂直面から成る肩部,水平方向の浅溝を施した寸胴部,略四角形状のパネル部を4つ配置した略円錐台形状の下半部から成り,上半部と下半部の間に深溝を設けている。
(エ)下半部の下端寄りにおいて曲線で底面につながっている。
イ.相違点について
(ア)寸胴部の浅溝の本数につき,本願意匠は,1本であるのに対して,引用意匠は,2本である点。
(イ)本体周面上側と本体周面下側の高さにつき,本願意匠は,約8対10であるのに対して,引用意匠は,約10対10である点。
(ウ)肩部の垂直面の高さにつき,本願意匠は,寸胴部の約2分の1の高さであるのに対して,引用意匠は,約3分の1である点。
(エ)垂直面の直径につき,本願意匠は,寸胴部の直径より少し小さいのに対して,引用意匠は,寸胴部の直径より僅かに小さい点。
(オ)寸胴部の高さにつき,本願意匠は,本体周面上側の約3分の2の高さを占めているのに対して,引用意匠は,本体周面上側の約4分の3の高さを占めている点。
(カ)下半部における上端の直径につき,本願意匠は,寸胴部の直径より少し大きいのに対して,引用意匠は,寸胴部の直径と同じである点。
(キ)下半部における下端寄りの形状につき,本願意匠は,水平方向の溝を設けているのに対して,引用意匠は,設けていない点。
(ク)パネル部の内側の形状につき,本願意匠は,3つの凸部からなる凹凸形状が形成されており,中央の凸部は堤型に高く隆起し,その左右に位置する凸部はパネルの縁に向かってなだらかに盛り上がり,パネルの縁付近で浅い谷状に窪んだ態様となっているのに対して,引用意匠は,平坦面である点。

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用容器」であるから,一致している。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点(ア)ないし(エ)の,包装用容器を構成する各構成要素が共通しているから,一定程度の共通感を生じさせているが,具体的には,各構成要素内に相違点(ア)ないし(ク)の相違が存在するものであるから,共通点(ア)ないし(エ)の両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。
イ.相違点について
相違点(イ),(ウ),(エ),(カ)及び相違点(キ)によって,本願意匠は,下半部にボリュームがあり安定した形状という印象と,形状的にアクセントを与える印象を与えているのに対して,引用意匠は,上半分にボリュームが認められ,両意匠に別異の印象を生じさせているといえ,両意匠の類否判断に与える影響は,大きいといえる。
また,相違点(イ)に加えて,相違点(オ)によって,本願意匠は,全体に対して寸胴部の占める割合が小さいのに対して,引用意匠は,寸胴部の占める割合が大きく,さらに,相違点(ア)により,引用意匠は,寸胴部の存在感を高めていることから,両意匠に別異の印象を生じさせているといえ,両意匠の類否判断に与える影響は,大きいといえる。
相違点(ク)によって,本願意匠は,形状変化の多い立体的な印象を与えているのに対して,引用意匠は,平滑面でシンプルな印象であるから,僅かながらも両意匠に別異の印象を生じさせているといえ,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響が,限定的であり,この共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア)ないし(ク)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5.結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2021-03-24 
出願番号 意願2020-605(D2020-605) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 玉虫 伸聡 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-05-21 
登録番号 意匠登録第1687353号(D1687353) 
代理人 特許業務法人平和国際特許事務所 
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