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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1384326 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-24 |
確定日 | 2022-04-28 |
意匠に係る物品 | 付け毛 |
事件の表示 | 意願2020− 22950「付け毛」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)10月24日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年(2021年) 6月17日付け 拒絶理由の通知 同年 7月 4日 手続補正書の提出 意見書の提出 同年 10月12日付け 拒絶査定 同年 11月24日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「付け毛」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」ともいう。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願の分野において、1本の付け毛を折り曲げて人毛に取り付けるためのループを形成することは、例えば意匠1に見られるように本願出願前より知られています。また、毛髪のボリュームを出すために、毛髪の一点から枝状に毛髪を増やすことも、例えば意匠2に見られるように本願出願前から行われています。よって本願意匠は、端部に意匠1に見られるようなループ部を設け、そこから延びる繊維状部材の途中に、意匠2に見られるような枝状分岐部を複数箇所設け、付け毛として成立させたまでのものであるため、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。 意匠1 特許庁発行の特許公報記載 特許第5247930号 【図1】で表された結毛部の意匠 意匠2 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2012−082556 【図1】の20、120で表された枝状分岐部の意匠」 第4 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、主に増毛サロン等において顧客の頭髪に結びつけ増毛や飾りに用いる「付け毛」である。 (2)本願意匠の形状等 本願意匠は、1本の長毛(以下「幹毛」という。)と、2本の短毛(以下「枝毛」という。)から成るものであって、幹毛は真ん中にこぶ状の結び目を形成して略松葉状とし、幹毛の正面視上側の毛の結び目寄りと結び目からやや離れた位置に同じく略松葉状に形成した枝毛を幹毛と向きを揃えて取り付けたものであり、幹毛の結び目の外側に小さな円環と、枝毛の真ん中にごく小さなこぶ状の結び目を形成している。 2 引用した意匠の認定 (1)意匠1 意匠1は、特許庁が平成25年(2013年)7月24日に発行した特許公報に記載された特許第5247930号における図1に表された「結毛部」の意匠である。(別紙第2参照) その形状等は、毛材を2つ折りして先端にループを設けてループの根元を緩く結んだものである。 (2)意匠2 意匠2は、特許庁が平成24年(2012年)4月26日に公開した公開特許公報に記載された特開2012−82556における図1の20、120に表された「枝状分岐部」の意匠である。(別紙第3参照) その形状等は、太い幹毛の根元部寄りの位置に、細い枝毛を少しずらして左右に1本ずつ木の枝状に取り付け、根元部からやや離れた位置にも細い枝毛を同様に取り付けたものである。 3 本願意匠の創作の容易性の検討 この物品の属する分野において、自毛を通すためのループ(円環)を毛材に形成することは、意匠1に見られるように本願出願前に公然知られており、一本の毛材に複数の毛材を木の枝状に取り付けることも、意匠2に見られるように本願出願前に公然知られているものである。 しかしながら、本願意匠の、略松葉状の幹毛の正面視上側の毛の結び目寄りと結び目からやや離れた位置に同じく略松葉状に形成した枝毛を幹毛と向きを揃えて取り付け、幹毛の結び目の外側に小さな円環、枝毛の真ん中にごく小さなこぶ状の結び目を形成した形状等は、意匠1及び意匠2には見られないものであり、本願意匠独自の態様として、一定の創作を有するものといえる。 そうすると、本願意匠の形状等は、この種物品の分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-04-12 |
出願番号 | 2020022950 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(B3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 正田 毅 |
登録日 | 2022-05-11 |
登録番号 | 1715407 |
代理人 | 石村 貴志 |