ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 F3 |
---|---|
管理番号 | 1385263 |
総通号数 | 6 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-12-27 |
確定日 | 2022-06-01 |
意匠に係る物品 | クリーニングタグ |
事件の表示 | 意願2020−28261「クリーニングタグ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は,令和2年(2020年)12月25日の意匠登録出願であって,令和3年6月21日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月5日に意見書が提出されたが,同年9月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「クリーニングタグ」とし,その形状は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ,頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 「以下では,本願意匠の創作非容易性について検討します。本願意匠は,次の(1)ないし(3)の態様を有します。 (1)全体が細長い帯状であり,左端から全体のおよそ1/3の位置に切り取り線(ミシン目)が,右端から全体のおよそ1/3の位置に直線状の折り曲げ線(折り曲げ部)が設けられた態様 (2)タグの端が直角である態様 (3)切り取り線が,中央の略直線状のスリット1つと,その上下の弧状のスリット2つの計3つのスリットからなり,全体として正面視左方向に丸みを帯びた略弧状を形成する態様 本願意匠の属するクリーニングタグの分野においては,上記(1)〜(3)の態様は例えば下記の意匠1ないし意匠3においてそれぞれみられるとおり,本願出願前より公然知られています。 また,同分野においては,種々のタグ形状や切り取り線,折り曲げ線等を組み合わせてクリーニングタグを構成することは,例えば下記の意匠1ないし意匠3においてみられるとおり,本願出願前より広く一般に行われています。 そうすると,本願出願前より公然知られた下記の意匠1ないし意匠3の態様を組み合わせて構成したに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものと認められます。 【意匠1】 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2017−040695 【図1】,【図2】及び【図5】に表されたクリーニングタグの意匠 【意匠2】 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2017−013413 【図1】に表されたクリーニングタグの左端の部分(タグの端が直角である態様) 【意匠3】 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1559006号の意匠 の切り取り線の部分」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の認定 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「クリーニングタグ」であって,耐洗紙製で,直角状を成す4つの角部を有する細長い長方形状の実体に,切取り線と折り曲げ線を備えている。実体は,切取り線より左側を「切取り部」,切取り線より右側を「取付け部」としている。 折り曲げ線は,正面視で,取付け部の中央よりやや右側に位置している。 切取り部を切取り線に沿って切り取ると,その取付け部の端部は,略円弧状となる。 この取付け部を,折り曲げ線にて折り曲げてクリーニング品に止めると,円弧状端部は,折り曲げ線が取付け部の中央よりやや右側に位置しているため,2つの角部が直角状を成す側の端部から突出した状態になる。 こうすることによって,洗浄時等においてクリーニングタグが他のクリーニング品に引っ掛かったり,他のクリーニング品を傷付けたりする不具合を防止することができ,また,クリーニングタグの製造時には,端部を円弧状にカットする必要がないため,製造コストを低減できるものである。 (2)本願意匠の形状 本願意匠は,主に以下の形状を認めることができる。 〔形状A〕実体は,細長い帯状である。 〔形状B〕四隅は全て直角である。 〔形状C〕長手方向約3分の1の位置に,短手方向の切取り線を設けている。 〔形状D〕長手方向約3分の2の位置に,短手方向の折り曲げ線を設けている。 〔形状E〕切取り線は,3つのスリットからなっている。 〔形状F〕中央のスリット(以下「中央スリット」という。)は,実体の幅の約3分の1の長さの直線状である。 〔形状G〕正面視で,中央のスリットの上下に2つの端側スリットを設けている。 〔形状H〕2つの端側スリットは,実体の上下端から僅かに離れている。 〔形状I〕2つの端側スリットは,共に円弧状である。 〔形状J〕円弧状の端側スリットと,直線状の中央スリットで,切取り線は,正面視で左に凸の略円弧状になっている。 〔形状K〕折り曲げ線は,直線状である。 〔形状L〕折り曲げ線は,正面視で,取付け部の中央よりやや右側に位置している。 2.本願意匠の創作の容易性について (1)出願前に公然知られた形状 本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。 ア.意匠1より 〔形状1a〕実体は,細長い帯状である。 〔形状1b〕四隅は全て角丸である。 〔形状1c〕長手方向約3分の1の位置に,短手方向の切取り線を設けている。 〔形状1d〕長手方向約3分の2の位置に,短手方向の折り曲げ線を設けている。 〔形状1e〕切取り線は,3つのスリットからなっている。 〔形状1f〕中央のスリット(以下「中央スリット」という。)は,実体の幅の約3分の1の長さの直線状である。 〔形状1g〕正面視で,中央のスリットの上下に2つの端側スリットを設けている。 〔形状1h〕2つの端側スリットは,実体の上下端から僅かに離れている。 〔形状1k〕折り曲げ線は,直線状である。 イ.意匠2より 〔形状2a〕実体は,細長い帯状である。 〔形状2b〕平面図において,左側の角は直角で,右側の角は角丸である。 〔形状2c〕長手方向約3分の1の位置に,短手方向の切取り線を設けている。 ウ.意匠3より 〔形状3a〕実体は,細長い帯状である。 〔形状3c〕長手方向約3分の1の位置に,短手方向の切取り線を設けている。 〔形状3e〕切取り線は,3つのスリットからなっている。 〔形状3f〕中央のスリット(以下「中央スリット」という。)は,実体の幅の3分の1強の長さの曲線状である。 〔形状3g〕正面視で,中央のスリットの上下に2つの端側スリットを設けている。 〔形状3i〕2つの端側スリットは,共に円弧状である。 〔形状3j〕円弧状の端側スリットと,曲線状の中央スリットで,切取り線は,平面視で左に凸の略円弧状になっている。 (2)本願意匠の創作の容易性について 本願意匠の形状A及び形状CないしKは,それぞれ本願の出願前に公然知られた意匠1ないし3の形状をモチーフとして容易に創作をすることができたものと認められる。 そして,形状Bについては,四隅の形状を全て同じ形状とすることが意匠1に表れているところ,隅の形状を直角とした形状が意匠2に表れており,これらのことから四隅を全て直角とすることは,当業者が容易に創作することができたものと認められる。 しかし,本願意匠において,切取り部を切り取ってから折り曲げ線に沿って二つ折りにしてクリーニング品に取り付けた状態で,洗浄時等においてクリーニングタグが他のクリーニング品に引っ掛かったり,他のクリーニング品を傷付けたりする不具合を防止し,なおかつ,製造コストを低減する目的で,形状Jとしつつ,形状Lとしたことは,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。 3.結び したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2022-05-11 |
出願番号 | 2020028261 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(F3)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2022-06-13 |
登録番号 | 1717775 |
代理人 | 山田 哲也 |
代理人 | 樺澤 襄 |
代理人 | 樺澤 聡 |