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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 L6 |
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管理番号 | 1387554 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-12-21 |
確定日 | 2022-07-21 |
意匠に係る物品 | 唐草 |
事件の表示 | 意願2020− 19414「唐草」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)9月11日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和 3年(2021年)4月19日(起案) 拒絶理由通知書(原審) 同年 6月18日 意見書 同年 8月31日(起案) 拒絶査定 同年 12月21日 審判請求書 令和 4年 4月12日(起案) 拒絶理由通知書(当審) 同年 5月27日 意見書 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「唐草」としたものであって、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」ともいう。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 当審の拒絶の理由及び引用した意匠 当審の拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(以下、これらの形状等を「公知となった形状等」という。)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであり、引用した意匠は、以下のとおりである。 意匠1:特開2016−169484における図2の意匠(別紙第2参照) 意匠2:意匠登録第1388467号の意匠(別紙第3参照) 第4 当審の判断 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「唐草」であり、軒先に取り付ける水切り用の屋根材である。 (2)形状等 本願意匠は、全体が薄い板状体を折り曲げてなるもので、前方の垂直方向片と後方の水平方向片とによって、右側面視で略左倒T字形状(以下、単に「略横倒T字形状」ともいう。)としたものであって、水平方向片の折り曲げ位置が、垂直方向片の中央より上側にあるものである。 垂直方向片については、上方へ突出した片(以下「上方突出片」という。)は、水平方向片に対して直角に突出した立ち上がり面(以下「立ち上がり面」という。)に続いて、前方斜め上方へ傾斜したやや短い載置面、更にその載置面と同程度の長さで前方斜め下方へ傾斜した空隙を伴う略涙型状に折り曲げた突起を備えたものであって、水平方向片の長さに対する立ち上がり面の長さの比率を、約0.22対1としたものであり、下方へ突出した片(以下「下方突出片」という。)は、水平方向片に対して直角に突出した下がり面(以下「下がり面」という。)に続いて、前方斜め下方へ傾斜した面(以下「下がり傾斜面」という。)を設け、その下端を後方へ略V字状に曲げたものであって、水平方向片の長さに対する下がり面の長さ及び下がり傾斜面の長さの比率を、約0.24対0.38対1としたものである。 水平方向片については、後端を上方へ略倒U字状に曲げたものである。 2 当審の拒絶の理由に引用した意匠の形状等 (1)意匠1 意匠1は「軒先唐草」の意匠である。 その形状は、全体が薄い板状体を折り曲げてなるもので、水平方向片の中央やや前方寄りの位置から上方へ突出した片(以下「上方突出片」という。)、水平方向片の前端から下方へ突出した片(以下「下方突出片」という。)からなる。 上方突出片は、水平方向片に対して直角に突出した立ち上がり面(以下「立ち上がり面」という。)に続いて、前方斜め上方へ傾斜したやや短い載置面、更にその載置面と同程度の長さで前方斜め下方へ傾斜した空隙を伴う略涙型状に折り曲げた突起を備えたものであって、水平方向片の後半部の長さ(上方突出片の下端から後方の水平方向片の長さ)に対する立ち上がり面の長さの比率を、約0.35対1としたものである。 下方突出片は、水平方向片の前端から、前方斜め下方へ傾斜した面(以下「下がり傾斜面」という。)とし、その下端を後方へ略V字状に曲げたものであって、水平方向片の後半部の長さに対する下がり傾斜面の長さの比率を、約0.7対1としたものである。 水平方向片は、後端を上方へ略倒U字状に曲げたものである。 (2)意匠2 意匠2は「軒先唐草」の意匠である。 その形状は、全体が薄い板状体を折り曲げてなるもので、前方の垂直方向片と後方の水平方向片とによって、右側面視で略左倒T字形状としたものであって、水平方向片の折り曲げ位置が、垂直方向片の中央より下側にあるものである。 垂直方向片については、上方へ突出した片(以下「上方突出片」という。)は、水平方向片に対して直角に突出した立ち上がり面(以下「立ち上がり面」という。)に続いて、前方へ直角に短く延びた載置面を設けたものであって、水平方向片の長さに対する立ち上がり面の長さの比率を、約0.5対1としたものであり、下方へ突出した片(以下「下方突出片」という。)は、水平方向片に対して直角に突出させた下がり面(以下「下がり面」という。)に続いて、前方斜め下方へ傾斜した面(以下「下がり傾斜面」という。)を設け、その下端を後方へ略V字状に曲げたものであって、水平方向片の長さに対する下がり面の長さ及び下がり傾斜面の長さの比率を、約0.33対0.16対1としたものである。 水平方向片については、後端を上方へ直角に曲げたものである。 3 本願意匠の創作容易性 本願意匠の属する分野において、全体が薄い板状体を折り曲げてなるもので、前方の垂直方向片と後方の水平方向片とによって、略横倒T字形状としたものは、意匠2により公知となった形状等といえるところ、意匠1の形状を基にして、その水平方向片の前半部(上方突出片の下端から前方に延びる水平方向片)及び下がり傾斜面からなる部分を、意匠2の下方突出片の形状に置き換えて、全体を略横倒T字形状とすることは当業者であれば容易になし得るといえる。 しかしながら、前記置き換えの手法を用いた上で、更に、本願意匠の形状のように、水平方向片の折り曲げ位置を垂直方向片の中央より上側とし、下方突出片について、下がり傾斜面の長さを下がり面の長さより長くした構成とすることについては、本願意匠の属する分野において通常なされる程度の改変を加えたものとまではいえない。 したがって、本願意匠は、出願前に当業者が公知となった形状等に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとは認められない。 4 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので、当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-07-07 |
出願番号 | 2020019414 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(L6)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
上島 靖範 正田 毅 |
登録日 | 2022-08-01 |
登録番号 | 1721928 |
代理人 | 永芳 太郎 |